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~2024年のテーマ~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 2024年のテーマ
2024年のテーマ 灸術を高める

 

 

今年、2024年・令和6年の通常営業が開始しました。本年もよろしくお願いします。

毎年恒例、今年のテーマを書いていきます。

 

今年のテーマは『灸術を高める』です。年初にテーマを決めてそれを意識しながら1年を過ごすようにしてきました。

 

過去7年のテーマが以下の通り。

2017年『取捨選択

2018年『ハングリーでいる

2019年『願う

2020年『臨床能力を上げる

2021年『知識技術を届ける

2022年『衝動を生む

2023年『身体を鍛える

 

これだけみると抽象的で意味がわからないものも少なくありません。毎年達成できたかというとそうでもなく、結局特に変わらなかったということもあります。ただその時々で意識したこと、こうありたいと願ったことがテーマとして顕在化しています。その年は達成できなかったものが数年を経て目標値に到達したこともあります。2018年の『ハングリーでいる』というテーマは昨年2023年に特にできたように感じます。減量することによって飢餓感がありましたし、以前よりも貪欲に仕事に取り組めたように思います。2021年の『知識技術を届ける』というテーマは翌年の2022年の鍼灸マッサージ学生向けにセミナーをたくさん開催することで結実したと思っています。そして2020年の『臨床能力を上げる』というテーマ。年初では想像していなかったコロナ禍によりあやふやになった感もありました。このときにおざなりにしたお灸に関するレベルアップを今年しっかりと取り組むという感じです。2020年の4月はほとんど患者さんが来ませんでした。東京都の休業要請がかからない医療機関の区分でしたから開店状態にしていました。その際にオイルマッサージについて書籍を購入し座学を学び、年の後半には実際に練習をしました。このときお灸もやろうと考えていたのですが重い腰が上がらず今に至っています。あのときの忘れ物を取りに行く。そのような気持ちで今年は『灸術を高める』というテーマにしました。

 

では具体的に何をするのか。その前に少し資格区分について説明します。私は4つの国家資格を持っています。それは

あん摩マッサージ指圧師

はり師

きゅう師

柔道整復師

です。これらは厚生労働省が管轄する国家資格であり免許制度となっています。所定の養成施設(専門学校など)で最低3年間の勉強と練習をして所定単位を取得することで年に一度の国家試験に合格すると免許が得られます。あん摩マッサージ指圧師試験、はり師きゅう師、柔道整復師の3日間試験を受けました。はり師ときゅう師は免許が分かれているのですがほぼ鍼灸師とセットになっている状況で、国家試験も9割以上が共通問題で各免許専門の問題がわずかにあるだけです。健常者の養成施設では、はり師だけきゅう師だけ取得するために学ぶということはできず鍼灸として両方一度に3年間で学びます。それに対してあん摩マッサージ指圧師は按摩(あん摩)とマッサージ(massage)と指圧という発祥地も技術も理論も異なる3種類の徒手療法を一まとめにしています。更に本科と言われるあん摩マッサージ指圧、鍼灸の3資格を同時並行で学び3年間で国家試験受験資格が得られる科があります。私はその本科を卒業しているので3年間の専門学校生活であん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師の3免許を取得したことになります。更に急性外傷の処置(保存療法に限る範囲で)においてスペシャリストたる柔道整復師免許もその後取得しています。

 

技術体系という考えでみると按摩(あん摩)massage(マッサージ)指圧鍼(はり)灸(きゅう)の5つの柱があるという感じです。それに柔道整復師の急性外傷に関する知識技術が上乗せされているという。そして5つの柱のうち前4つ、すなわち按摩・massage・指圧・鍼に関してはそれなりの技量が身についたと考えています。柔道整復師免許取得後に鍼灸マッサージ教員養成科に進学し、更に鍼灸マッサージに関して勉強と実技練習を積みました。その上であじさい鍼灸マッサージ治療院を開業して今年で10年。免許を取得した時点で世間的には人様にしてもいいですよというお許し(すなわち各国家資格免許)を得たわけです。しかし灸に関しては技術が低いと考えてきました。当然お灸はできますし、世間一般の人に比べれば遥かに技術も知識もあることでしょう。それが本当に灸術をしている同業者に比べたらどうかと自身に問うと、まだまだ足りないという答えが出ます。

 

その理由は艾を捻って直接皮膚に置く“直接灸”の技術と経験が足りないことにあります。臨床では普段は台座灸という間接灸にあたるものばかりを使っています。艾(もぐさ)を捻る昔ながらの直接灸を用いることがほとんどありません。それは修業先の職場環境が影響しているのですが、結局のところ私個人の怠慢。きちんと研鑽を積まなかった結果です。教員養成科を卒業して開業してから、きちんと艾を捻る“きゅう師”に多数出会いました。飯塚聡先生、有山優子先生、横山奨先生、内原拓宗先生、滝沢ゆみえ先生、藤田葉月先生ら。その方々の灸術をみると私は鍼灸師と言いながらほぼ“はり師”で“きゅう師”ではないと思ってしまいます。確かにきゅう師免許は持っていますが灸術が拙い。艾を捻る直接灸を臨床で使えないようでは<真っ当なきゅう師>ではないと個人的に考えています。他人がどうこうという話ではなく個人の意識の話です。2020年にmassageに向き合って一つ得た気がしています。ここで艾を捻る直接灸をスキルアップして灸術を高めたいと考えています。

 

その準備は昨年2023年のうちからしていて、母校の卒後研修に出て直接灸を体験、見学しました。座学から深い灸法に関する知識を増やしました。器材についても良質な艾や湿気をとる桐の箱をいただき設備を整えました。竹筒に艾を捻って置いて線香で着火するという基礎練習を始めました。今年は本格的に、テーマとして1年間しっかりと灸術向上に向き合っていきます。①艾を捻る②捻った艾を皮膚に置く③線香で着火する④その後の処置。この4つが主な直接灸の行程です。これらを正確にいつでも同じレベルで行えるようにする。それが今年の具体的なテーマ。それらができるようになることで灸法の汎用性が大いに広がります。知識はあるのでそこに技術が伴うようにしたいのです。昨年の筋トレのように灸トレを時間を作って継続していきます。

 

プロのきゅう師として灸術向上の取り組む1年にします。本年もよろしくお願いいたします。

 

甲野 功

 

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