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通称「あはき法」と言われる「あん摩マツサージ指圧、はり師、きゅう師に関する法律」によって、あん摩マッサージ指圧師免許なしに按摩、マッサージ、指圧を業として行うことを禁止しています。このことを業務独占といいます。なお医師免許を持つ者は除きます。よって医師を除いた非あん摩マッサージ指圧師がマッサージ業をすることは法律で禁止されています。法律でいう“業”とは反復継続の意思をもって行うことと解釈されており、無料でやるから構わないということはではなく仕事にしようがしまいが続けていく意思をもって行うことをいうのです。非あん摩マッサージ指圧師が行うマッサージ行為を行政では無資格マッサージという文言を用いてきました。それに関する問題を無資格マッサージ問題と表現してきました。法律によって明確に規定してある(業務独占)にも関わらず無資格マッサージ問題が実質黙認されている背景は色々とあります。大きな原因としてあるのがHS式無熱高周波療法事件における昭和35年の最高裁判決なのですが、今回はそのことに触れず、平成17年に衆議院で提出された無資格マッサージ対策に関する質問主意書を紹介します。この内容から当時の、いや当時からあった問題が浮き彫りにし、政府がどのような認識と対応しているのかを読み取ります。
平成17年(2005年)10月27日に国会衆議院にて高橋千鶴子衆議院議員による『無資格マッサージ等の対策と視覚障害者の雇用確保に関する質問主意書』が提出されます。
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無資格マッサージ等の対策と視覚障害者の雇用確保に関する質問主意書
その質問主意書に対して同年11月4日に『衆議院議員高橋千鶴子君提出無資格マッサージ等の対策と視覚障害者の雇用確保に関する質問に対する答弁書』が当時の内閣総理大臣小泉純一郎の名前で出されています。
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衆議院議員高橋千鶴子君提出無資格マッサージ等の対策と視覚障害者の雇用確保に関する質問に対する答弁書
まず質問主意書の前段として現状を説明しています。それを要約します。
あはき法の免許を受けない、すなわち無免許で行われている按摩、マッサージ、指圧、鍼灸等の行為についてこれまでに何度か取り締まり強化、取扱いについて通知が出されてきた。現在、視覚障害者の約9割が、按摩、マッサージ、指圧等の業に従事しており、無免許、“類似行為”の増加は視覚障害者の自立にとって大きな障害となっていることから、関係団体からのあはき法の実効ある適用を求める請願・要望によって、国・県からの通知等も出されてきた。しかし、依然として、違法な医業類似行為またはそれに類する行為を行うものは増加を続けている。厚生労働省の連絡、県の通知などにより違法行為を摘発した案件もあるが、その現状は傷害など被害があったものや、悪質な行為をおこなった場合にとどまっている。ホテル・旅館で無免許者が“類似行為”を行っていたり、リラクゼーションと称しての“類似行為”などは放置されたりしている。同時にサービスを受ける消費者にも、無免許で按摩、マッサージ、指圧等を(業として)行うことが違法であることもよく知られていないのが実態。あはき法の徹底は視覚障害者の自立にとって重要な施策であり、あはき法の適正運用を図り視覚障害者の職域を確保することは障害者の自立を支える重要な施策であると考える。そこで、以下ついて質問する。
あん摩マッサージ指圧師免許を持たない視覚障害者の自立にとってリラクゼーションと称して行われていることが放置されていることが大きな障害になっていることを説明しています。
ここで気になる点があります。「類似行為」という言葉です。「医業類似行為」という言葉はあはき法にも登場する用語。ところが医業が取れた類似行為ということはいったい何を指すのでしょう。何かに似ている行為、という意味であるでしょうが唐突に出てきて、具体的に何を指すのかが定かにないと感じました。
具体的な質問内容とその回答をまとめて紹介します。『』の中が質問と回答の内容です。なお法律では小さいツを大きいツと表記するのでマッサージをマツサージと表記します。それだと読みづらいので原文の言葉を読みやすいように変換して表記しています。その他にも意味が変わらない範囲で表記を変えています。原文を参考として最後に記載しております。
最初の質問です。
『
(1)無免許者によるマッサージ業などが増加している。その背景に、認可をうけない養成施設・学校の増加がある。このような施設・学校(事業者)に対してどのような対応をおこなっていこうとしているのか。
(2)別の呼称(リラクゼーション、〇〇式マッサージ、気・・等)を用いて、「免許」を必要とするマッサージ等の「医業類似行為」を含む「類似行為」がさまざまな場所でおこなわれている。また、「類似行為」者によって技術者養成などの講習がおこなわれている。これらは、あくまで「類似行為」であり、マッサージ等をおこなった場合、違法と考えられる。
無免許者の営業行為、技術取得講座の件数、内容などの実態調査、指導はおこなわれているか。具体的に回答されたい。
』
質問(1)で無免許マッサージ業増加の背景は認可を受けない養成施設・学校の増加があり、それらに対しての対応を質問しています。どこから認可を受けていないのかを明確にしていません。おそらくあん摩マッサージ指圧師を養成する認可が下りていないという意味合いだと思われますが。あはき法によって当分の間、晴眼者(視覚障害のない健常者)向けのあん摩マッサージ指圧師を養成する専門学校は新設することができません。質問(2)では「類似行為」と「」付けで表現しています。あくまで「類似行為」でありマッサージ等を行った場合、違法と考えられると意見を述べているのですが「類似行為」とはどのような行為を示すのか釈然としていません。文面からあん摩マッサージ指圧師免許が無い者が行うマッサージに類似した行為ではないかと推測できます。その無免許者の営業行為、技術取得講座の件数などの実態を調査し、それに対する指導していうのか質問しています(ここの指導とは行政指導のことだと思われます)。
その回答が以下の通り。
『
(1)及び(2)について
あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(昭和22年法律217号)第1条において、医師以外の者で、あん摩、マツサージ又は指圧(以下「マツサージ等」という。)を業としようとする者は、あん摩マツサージ指圧師免許を受けなければならないこととされており、これに違反する行為は、処罰の対象となる。
そのため、厚生労働省においては、「免許を受けないであん摩、マッサージ又は指圧を業とする者の取締りについて」(昭和39年11月18日付け医発第1379号厚生省医務局長通知)及び「医業類似行為に対する取扱いについて」(平成3年6月28日付け医事第58号厚生省健康政策局医事課長通知。以下「平成3年通知」という。)を各都道府県知事等に通知し、これらの通知については厚生労働省のホームページにおいても広く周知を図るとともに、毎年開催している全国医政関係主管課長会議を通じて、あん摩マツサージ指圧師免許を受けていない者がマツサージ等を業として行っている場合には、必要な指導等を行うことを求めているところであり、「認可をうけない養成施設・学校」に対して何らかの対応を行うことは考えていない。
なお、お尋ねの「無免許者の営業行為、技術取得講座の件数、内容などの実態調査」は行っていない。
』
(1)と(2)をまとめた回答をしています。あはき法での業務独占について処罰の対象となる、と断りを入れた上で「平成3年通知」と言われる「医業類似行為に対する取扱いについて」という通知を周知させるようにしている。また全国医政関係主管課長会議で無免許者のマッサージ等を行っている場合には必要な指導等を行うことを求めているところであるとしています。この文面の言葉尻をとれば必要な指導等を行うことを“求めているところ”であった、指導などを行っているとは回答していません。さらに「認可を受けない養成施設・学校」に対して何らかの対応を行うことは考えていないと続きます。ここは対応を行うことは考えていないと断言しており、最初に処罰の対象だとしながらもそれを教える学校には何も対応しないというのです。極め付きは「免許者の営業行為、技術取得講座の件数、内容などの実態調査」は行っていないと、処罰が対象である行為であるにも関わらずそれを調査していないというのです。調査しているかどうかと聞かれたのでしていないということですが、あはき法とは一体何なのかと感じてしまいます。
続いての質問です。
『
(3)顧客の身体に対して直接施術する多様な「類似行為」について、医学的な基準や、医学的な講習の必修もなくおこなわれている現状について、なんら問題がないと考えるか。医学的検討はなされているか。
』
ここでも「類似行為」という言葉を使用しています。医学的な基準や医学的な講習の必修もなくそれが行われている現状について質問しています。
回答です。
『
(3)について
御指摘の「顧客の身体に対して直接施術する多様な「類似行為」」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、マツサージ等、はり、きゆう及び柔道整復以外の医学的観点から人体に危害を及ぼすおそれがある医業類似行為は問題があると考えており、平成3年通知において、そのような医業類似行為が処罰の対象となることを示しているところである。
また、医業類似行為に係る医学的検討については、厚生労働省において、いわゆるカイロプラクティック療法に関し、平成2年度に「脊椎原性疾患の施術に関する医学的研究」のための研究会を設け、検討を行ったところであり、同研究会が平成3年3月にとりまとめた報告書では、カイロプラクティック療法の医学的効果についての科学的評価はいまだ定まっておらず、今後とも検討が必要であるとの認識が示されたところであり、平成3年通知において、同報告書の内容を踏まえ、カイロプラクティック療法に係る取扱いを示したところである。
』
回答ではやはり「類似行為」が何を示すのかはっきりしないとしています。その上で人体に危害を及ぼすおそれがある医業類似行為は問題があると考えていると回答しています。個人的な私の感想として人体に危害を及ぼすおそれがあることは何であれ問題があることは明白だと思われるのですが。それは「平成3年通知」でそのような医業類似行為は処罰の対象となると示していると。ここで唐突に“いわゆるカイロプラクティック療法”について述べています。質問には「類似行為」と表現していて具体的なカイロプラクティックという文言は出していません。それが前段で「類似行為」が何を指すのか明らかではないとしながらも、カイロプラクティックについて述べているところが理解しがたいものがあります。
質問内容はホテル・旅館の「マッサージ」についてに映ります。
『
(4)ホテル、旅館等の事業者が、無免許者であることを知りうる状況にありながら、客に「マッサージ」等としてあっせん、また、施術場所(マッサージルーム等の個別の場、客室、浴場の一部等を含む)の提供をおこなっている。このような事業者に対して、どのように指導するのか。
ホテル・旅館等の事業者および派遣事業者が、顧客およびホテル・旅館等の事業者に対して、「免許」を有するものによる施術であるかのような誤解をまねく表示、広告等をおこなった場合、ホテル・旅館等の事業者、および派遣事業者に責任が及ぶようにする必要があると考えるがどうか。
』
ホテル・旅館などの宿泊事業者があん摩マッサージ指圧師免許を持たない者だと知りながら客に“「マッサージ」等”を斡旋、場所を提供していることに対してどう(行政)指導をするのか。そしてあたかもあん摩マッサージ指圧師免許を有する者が行っているかのような誤解を招く広告を行った場合は関係事業者に責任が及ぶようにする必要があると考えるかと質問しています。
回答です。
『
(4)について
厚生労働省においては、「無免許あん摩師の取り締り等について」(昭和32年11月20日付け発医第166号厚生省医務局長通知)を各都道府県知事に通知し、旅館、料亭等の営業者の積極的な協力を要請し、無資格者と知りながらこれを客に仲介し、施術を行わせることのないよう徹底した指導を行うことを求めているところである。
また、御指摘の「責任が及ぶようにする」とは、何を指すのか必ずしも明らかではないが、マツサージ等が行われていない施設において「マツサージ」等と広告することは、当該施設においてマツサージ等が行われていると誤認されるおそれがあり、公衆衛生上も看過できないものであることから、全国医政関係主管課長会議を通じて、このような広告が行われることがないよう、必要な指導等を行うことを求めているところである。
』
昭和32年(1957年)に通達した「無免許あん摩師の取り締まり等について」で徹底した指導を行うことを求めているところであると回答しています。この質問がされたのが2005年のことでその時点で50年近く前の1957年の通知により指導を行うというのは常識的なことなのでしょうか。さらに徹底した指導を行うことを求めているところ、であって、指導を行ってもいません。広告に関しても同様です。指導している実態があるとは思えません。
質問は求人広告の話題に向かいます。
『
(5)ハローワーク等の求人行為において、求人票または求人広告などで、免許の有無などまぎらわしい表現をおこなう求人者に対して、どのような指導がおこなわれているか。求職者に対する窓口等の照会において、「あはき法」による免許保有の必要性の確認などにより、「類似行為」との違いへの理解をうながす明確な説明をおこなう必要があると考えるがどうか。
』
ハローワーク等の求人で紛らわしい表現をする求人者に対する指導があるのか。求職者への照会で明確な説明は行う必要があると考えるのかを質問しています。この質問文面では正確に分からないのですが、想像するにあん摩マッサージ指圧師免許が無い者をマッサージするスタッフとして求人している実態についてきちんと対処しているのかを問いただしているのではないかと思われます。ここでも出てくる「類似行為」が何かを含めて質問内容が漠然としているように感じます。
回答です。
『
(5)について
公共職業安定所において、職務内容が「あん摩、マツサージ若しくは指圧、はり又はきゆうを行う」ものである求人の受理に当たっては、求人票の「必要な免許資格」欄に該当免許を必ず記載させるとともに、求人票等の職務内容等に関し、求職者に誤解を招くおそれのある記述がある場合は、明確な記述に修正するよう、求人者に対し指導しているところである。
また、公共職業安定所の職業相談窓口においては、当該求人に応募を希望する求職者に対し、免許保有の必要性や職務内容の詳細を説明し、適切な職業選択が可能となるよう支援しているところである。
』
それについてはきちんと対応していますという回答だと思われます。
次は出張施術に関する質問です。
『
(6)自らの施設を持たず主として出張等によって施術をおこなう場合(移動による仮施術箇所も含む)は、顧客に対して法にもとづく「免許」の有無を提示するなど、消費者(顧客)に説明をおこなうことを義務付ける措置が必要と考えるがどうか。また、広告等に法にもとづく「免許」者による施術ではないことがわかるよう明示を義務付けることは可能と考えられるがどうか。
』
あん摩マッサージ指圧師は店舗を持たず出張専門の業態があはき法で許可されています。その場合に免許の有無を明確にすることを義務付けることは可能かを質問しています。これは無免許者も同様の出張マッサージ行為を行っている現状を踏まえて、無免許者であることが分かるように義務付けることという、術者が自ら私は無免許者であると明示することを義務付けることに触れています。
回答です。
『
(6)について
マツサージ等、はり及びきゆうを業として行う場合には、原則として、あん摩マツサージ指圧師免許、はり師免許又はきゆう師免許を受けなければならないとされているとともに、これに違反した場合には処罰の対象となるなど、既に公衆衛生上必要な措置が講じられており、新たに御指摘のような免許の提示等を義務付ける必要はないと考えている。
』
免許の提示義務は必要なしと考えていると回答しています。つまり消費者が免許の有無を判別するようにさせる義務はないと。
最後の質問です。
『
(7)以上のような、無資格者による「類似行為」の拡大は、「あはき法」附則第19条にいう視覚障害者等の自立、生計の維持を圧迫する一要因となっていると考えるがどうか。
』
これまでの文面から判断するに、あん摩マッサージ指圧師免許のない者による無免許マッサージ行為が視覚障害者の自立、生計の維持を圧迫していないかと質問の体で投げかけています。
回答です。
『
(7)について
御指摘の「無資格者による「類似行為」の拡大」が何を指すのか必ずしも明らかではなく、その影響も必ずしも明らかではないため、これが視覚障害者の自立及び生計の維持を圧迫する一要因となっているかどうかについて、一概にお答えすることは困難である。
』
結局、質問にある「無資格者による「類似行為」の拡大」とは何か分からないからお答えできません、ということでしょう。
約20年前のもの。現役で働くあん摩マッサージ指圧師としてこの質問内容を読んだときに、その後も浸透していない「類似行為」という文言を使用していることで不可解にしているように思いました。結局、「類似行為」のはっきりした定義は分からず。私も専門学校生時代から20年間この業界にいますが「類似行為」なる言い回しは他で見たことがありません。社会状況がどのようなものかは理解できていると自負がある分、なぜこのような言葉を一般用語かのように使用して質問してしまったのか。疑問でなりません。また回答に関しては、違法行為、処罰が必要な行為だとしながらも実質指導は行いません、と宣言しているように感じます。質問の最初に述べていた視覚障害者の職域を侵しているという状況に対してどう向き合うのか、対応するのか、という姿勢を問われていると考えられるのですが、お答えできませんという結論。2024年現在の状況を見るに20年前から変わっていないのだと思いました。
原文を下記に記載しておきます。
〇無資格マッサージ等の対策と視覚障害者の雇用確保に関する質問主意書
『
平成十七年十月二十七日提出
質問第三六号
無資格マッサージ等の対策と視覚障害者の雇用確保に関する質問主意書
提出者 高橋千鶴子
無資格マッサージ等の対策と視覚障害者の雇用確保に関する質問主意書
医業類似行為として「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」(以下「あはき法」)による免許を受けない(無免許)でおこなわれている、あん摩、マッサージ、指圧、はり、きゅう等の行為について、旧厚生省医務局をはじめ、これまで何度か取り締まりの強化、取り扱いについて通知がだされてきた。
現在、視覚障害者の約九割が、あん摩、マッサージ、指圧等の業に従事しており、無免許、類似行為の増加は、その自立にとって大きな障害となっていることから、関係団体からの、「あはき法」の実効ある適用を求める請願・要望によって、国、県からの通知等もだされてきたところである。
しかし、依然として、違法な医業類似行為、又はそれに類する行為をおこなうものは増加を続けている。
厚生労働省の連絡、県の通知などにより、違法行為を摘発した案件もあるが、その現状は、傷害など被害があったものや、エステと称して性的サービスをおこなうなど悪質な行為をおこなった場合にとどまっており、ホテル・旅館で無免許者が類似行為をおこなっていたり、ショッピングセンターや駅などでリラクゼーションと称しての類似行為などは放置されており、同時に、サービスを受ける消費者にも、無免許でのあん摩、マッサージ、指圧等をおこなうことが違法であることもよく知られていないのが実態である。
「あはき法」の徹底は、視覚障害者の自立にとって重要な施策であり、法の適正運用を図り、視覚障害者の職域を確保することは、障害者の自立を支える重要な施策であると考える。
そこで、以下の点について質問する。
(1)無免許者によるマッサージ業などが増加している。その背景に、認可をうけない養成施設・学校の増加がある。このような施設・学校(事業者)に対してどのような対応をおこなっていこうとしているのか。
(2)別の呼称(リラクゼーション、〇〇式マッサージ、気・・等)を用いて、「免許」を必要とするマッサージ等の「医業類似行為」を含む「類似行為」がさまざまな場所でおこなわれている。また、「類似行為」者によって技術者養成などの講習がおこなわれている。これらは、あくまで「類似行為」であり、マッサージ等をおこなった場合、違法と考えられる。
無免許者の営業行為、技術取得講座の件数、内容などの実態調査、指導はおこなわれているか。具体的に回答されたい。
(3)顧客の身体に対して直接施術する多様な「類似行為」について、医学的な基準や、医学的な講習の必修もなくおこなわれている現状について、なんら問題がないと考えるか。医学的検討はなされているか。
(4)ホテル、旅館等の事業者が、無免許者であることを知りうる状況にありながら、客に「マッサージ」等としてあっせん、また、施術場所(マッサージルーム等の個別の場、客室、浴場の一部等を含む)の提供をおこなっている。このような事業者に対して、どのように指導するのか。
ホテル・旅館等の事業者および派遣事業者が、顧客およびホテル・旅館等の事業者に対して、「免許」を有するものによる施術であるかのような誤解をまねく表示、広告等をおこなった場合、ホテル・旅館等の事業者、および派遣事業者に責任が及ぶようにする必要があると考えるがどうか。
(5)ハローワーク等の求人行為において、求人票または求人広告などで、免許の有無などまぎらわしい表現をおこなう求人者に対して、どのような指導がおこなわれているか。求職者に対する窓口等の照会において、「あはき法」による免許保有の必要性の確認などにより、「類似行為」との違いへの理解をうながす明確な説明をおこなう必要があると考えるがどうか。
(6)自らの施設を持たず主として出張等によって施術をおこなう場合(移動による仮施術箇所も含む)は、顧客に対して法にもとづく「免許」の有無を提示するなど、消費者(顧客)に説明をおこなうことを義務付ける措置が必要と考えるがどうか。また、広告等に法にもとづく「免許」者による施術ではないことがわかるよう明示を義務付けることは可能と考えられるがどうか。
(7)以上のような、無資格者による「類似行為」の拡大は、「あはき法」附則第十九条にいう視覚障害者等の自立、生計の維持を圧迫する一要因となっていると考えるがどうか。
右質問する。
』
〇衆議院議員高橋千鶴子君提出無資格マッサージ等の対策と視覚障害者の雇用確保に関する質問に対する答弁書
『
平成十七年十一月四日受領
答弁第三六号
内閣衆質一六三第三六号
平成十七年十一月四日
内閣総理大臣 小泉純一郎
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員高橋千鶴子君提出無資格マッサージ等の対策と視覚障害者の雇用確保に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員高橋千鶴子君提出無資格マッサージ等の対策と視覚障害者の雇用確保に関する質問に対する答弁書
(1)及び(2)について
あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(昭和二十二年法律二百十七号)第一条において、医師以外の者で、あん摩、マツサージ又は指圧(以下「マツサージ等」という。)を業としようとする者は、あん摩マツサージ指圧師免許を受けなければならないこととされており、これに違反する行為は、処罰の対象となる。
そのため、厚生労働省においては、「免許を受けないであん摩、マッサージ又は指圧を業とする者の取締りについて」(昭和三十九年十一月十八日付け医発第千三百七十九号厚生省医務局長通知)及び「医業類似行為に対する取扱いについて」(平成三年六月二十八日付け医事第五十八号厚生省健康政策局医事課長通知。以下「平成三年通知」という。)を各都道府県知事等に通知し、これらの通知については厚生労働省のホームページにおいても広く周知を図るとともに、毎年開催している全国医政関係主管課長会議を通じて、あん摩マツサージ指圧師免許を受けていない者がマツサージ等を業として行っている場合には、必要な指導等を行うことを求めているところであり、「認可をうけない養成施設・学校」に対して何らかの対応を行うことは考えていない。
なお、お尋ねの「無免許者の営業行為、技術取得講座の件数、内容などの実態調査」は行っていない。
(3)について
御指摘の「顧客の身体に対して直接施術する多様な「類似行為」」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、マツサージ等、はり、きゆう及び柔道整復以外の医学的観点から人体に危害を及ぼすおそれがある医業類似行為は問題があると考えており、平成三年通知において、そのような医業類似行為が処罰の対象となることを示しているところである。
また、医業類似行為に係る医学的検討については、厚生労働省において、いわゆるカイロプラクティック療法に関し、平成二年度に「脊椎原性疾患の施術に関する医学的研究」のための研究会を設け、検討を行ったところであり、同研究会が平成三年三月にとりまとめた報告書では、カイロプラクティック療法の医学的効果についての科学的評価はいまだ定まっておらず、今後とも検討が必要であるとの認識が示されたところであり、平成三年通知において、同報告書の内容を踏まえ、カイロプラクティック療法に係る取扱いを示したところである。
(4)について
厚生労働省においては、「無免許あん摩師の取り締り等について」(昭和三十二年十一月二十日付け発医第百六十六号厚生省医務局長通知)を各都道府県知事に通知し、旅館、料亭等の営業者の積極的な協力を要請し、無資格者と知りながらこれを客に仲介し、施術を行わせることのないよう徹底した指導を行うことを求めているところである。
また、御指摘の「責任が及ぶようにする」とは、何を指すのか必ずしも明らかではないが、マツサージ等が行われていない施設において「マツサージ」等と広告することは、当該施設においてマツサージ等が行われていると誤認されるおそれがあり、公衆衛生上も看過できないものであることから、全国医政関係主管課長会議を通じて、このような広告が行われることがないよう、必要な指導等を行うことを求めているところである。
(5)について
公共職業安定所において、職務内容が「あん摩、マツサージ若しくは指圧、はり又はきゆうを行う」ものである求人の受理に当たっては、求人票の「必要な免許資格」欄に該当免許を必ず記載させるとともに、求人票等の職務内容等に関し、求職者に誤解を招くおそれのある記述がある場合は、明確な記述に修正するよう、求人者に対し指導しているところである。
また、公共職業安定所の職業相談窓口においては、当該求人に応募を希望する求職者に対し、免許保有の必要性や職務内容の詳細を説明し、適切な職業選択が可能となるよう支援しているところである。
(6)について
マツサージ等、はり及びきゆうを業として行う場合には、原則として、あん摩マツサージ指圧師免許、はり師免許又はきゆう師免許を受けなければならないとされているとともに、これに違反した場合には処罰の対象となるなど、既に公衆衛生上必要な措置が講じられており、新たに御指摘のような免許の提示等を義務付ける必要はないと考えている。
(7)について
御指摘の「無資格者による「類似行為」の拡大」が何を指すのか必ずしも明らかではなく、その影響も必ずしも明らかではないため、これが視覚障害者の自立及び生計の維持を圧迫する一要因となっているかどうかについて、一概にお答えすることは困難である。
』
甲野 功
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