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~柔整の社会保障制度と職業倫理~

社会保障制度と柔道整復師の職業倫理 公益社団法人全国柔道整復学校協会監修 川渕孝一・長尾淳彦・前田和彦著 医歯薬出版株式会社
社会保障制度と柔道整復師の職業倫理 公益社団法人全国柔道整復学校協会監修 川渕孝一・長尾淳彦・前田和彦著 医歯薬出版株式会

 

 

昨日、一昨日は厚生労働省管轄の国家資格「あん摩マッサージ指圧師免許」、「はり師免許」、「きゅう師免許」の第32回国家試験が開催されました。5月のような陽気から一転、冷たい雨が降る寒いなか。受験生は大変だったと思われます。今週末は同じく国家資格「柔道整復師免許」国家試験が開催されます。私が前の3つの国家試験を受けたのが17年前、柔道整復師国家試験を受けたのは13年前になります。もうずいぶんと時間が経ちました。特に柔道整復師国家試験は2011年3月5日で翌週東日本大震災が発生。1週間ずれていたら開催できなかったもしれません。今年は元日に北陸で大地震が起きたのでより記憶に残っています。あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師の国家試験の方は日数を忘れてしまっているのに。

柔道整復師国家試験に合格して柔道整復師免許を取ってから10年以上。その間に社会環境、業界状況は変化していきました。おそらく私が柔道整復師専門学校に在学中の3年間と卒業後の10年を比較するとパラダイムシフトと言えるくらい違うと思います。常識そのものが変わったと思うくらいに。その要因になるのか分かりませんが、私が柔道整復師専門学校を卒業してから大幅な学校カリキュラム改正がありました。その影響が決して小さくないと考えています。平成30年度(2018年度)から変わったカリキュラム改正により授業時間、実習時間が大幅に増えました。柔道整復師国家試験も必修問題数が多くなりました。特に私が気になったのが新しい教科。その教科書が『社会保障制度と柔道整復師の職業倫理』です。公益社団法人全国柔道整復学校協会監修のもと、川渕孝一長尾淳彦前田和彦著、医歯薬出版株式会社が出版しています。社会保障制度、すなわち保険請求の仕組みをきちんと学ぶことは外傷で保険を扱うことがある柔道整復師にとって大切です。そして職業倫理。それと保険請求が密接にかかわります。

 

新しい教科書は社会保障制度、(柔道整復師の)職業倫理。私が柔道整復師専門学校在学当時には無かった項目です。社会保障制度については少しやりました。それは医学史の授業の一環として。当時は医学史の授業がありますが国家試験に出ないので学生たちは力を入れていなかった気がします。その中で保険の種類を説明されました。当時、既にあん摩マッサージ指圧師、鍼灸師として鍼灸整骨院で働いていた私は実務に保険請求が大きく関係していたのでとても勉強になったものでした。その一方、客観的にみても不正請求、不適切な請求があることを知っていました。医療機関で扱う医療サービスには現物給付現金給付があります。現物給付はサービスそのものを提供するもの。地方自治体のサービスで病院に行って無料で検診が受けられるといったものは、“検診”という現物を給付しているということ。それに対して医療にかかった費用をお金で支払うのが現金給付です。柔道整復師には特例として受領委任払いが認められています。これは窓口負担分だけを患者が施術所(接骨院)に支払い、保険分を柔道整復師が患者の代わりに請求するというやり方です。患者が接骨院に全額支払い、その後患者自らが保険者(保険証を発行している団体。地方自治体、企業、協会など。)に請求をして保険分を返金してもらうやり方を償還払いといいます。受領委任払いの方が患者の手間や一時的にお金を出してしまうので負担が軽減され舞う。ところが保険請求に関して患者はタッチしないのでどのような請求内容になっているのかが分かりにくいのが受領委任払い。そこで柔道整復師が実際の内容と異なる過剰な保険請求(水増し請求と言われる)をすることがあります。もちろん違法なのですが、色々とあって私が学生の頃は野放しに近い状況でした。たまに逮捕者が出るのですが。そこに柔道整復師の職業倫理が求められます。

 

社会保障制度と職業倫理はセットになっています。それらを、教科書を作り学生に教える。当然のことだと思われますがきちんとやってこなかったと言えるでしょう。カリキュラムに入れないといけないくらい社会的に問題になっていたともいえます。現場で働きつつ勉強する立場だった頃。多くの矛盾を感じていました。この状況がいつまでも続くはずがないと当時考えていました。それが勤めていた職場を去る理由の一つになります。柔道整復師免許を取ったら整形外科のある医療機関で柔道整復師として働きたい。そのような想いが強くなりました。そして整形外科のあるクリニックに就職した後に鍼灸マッサージ教員養成科進学を決めて退職。保険請求を行わないやり方としてあじさい鍼灸マッサージ治療院を開業したのでした。開業してから数年後にこの新カリキュラムになるというニュースを知り、職業倫理が入るとはどんなことを教えるのだろう?と凄く興味があったのです

 

今回その教科書を購入し読んでみました。第1版第3刷で2021年1月10日発行でした。内容は新型コロナウィルスのことに触れていました。今の状況で読むと非常に優れた教科書でした。改訂された現在の社会保障制度について書かれており、その歴史的経緯も掲載されていました。柔道整復師の療養費についても細かく書いてあり、これがあればあの頃仕事を理解しやすかっただろうなと思いました。職業倫理については、倫理とは何か、生命倫理について、医療倫理について歴史を踏まえて説明されています。私が学生の頃はインフォームド・コンセントまででしたがインフォームド・アセントも紹介しています。そして各項目でケーススタディがあり、現実に起きた事例をもとに考えるように促しています。開業した者として非常に勉強になりました。今の教科書はここまで書いてあるのかと驚きます。実践的な参考書でした。

この教科書を柔道整復師学生当時読んでもここまでの学びはなかったことでしょう。試験対策でポイントだけまとめる。国家試験で多く出題される解剖学、生理学、柔道整復理論などに注力して。この教科書はこの内容は開業した今だからこそためになるものだろうと思います。そして今はここまで教科書にして柔道整復師養成施設で教えているのだと知り、時代が変わっていることを痛感します。鍼灸マッサージは現役学生とのふれあいや母校との繋がりで今を知ることができますが、柔道整復師は現状を知る機会がかなり減ってしまっています。これは浦島太郎状態になっているなと

 

敢えて教科書を購入して良かったです。情報をアップデートする。単純に知らなかった知識も多数ありました。国家試験をとうの昔に終えた者ですがきちんと教科書を読むという勉強をして重要な学びが得られました。

 

甲野 功

 

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