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~総務省が出した医業類似行為等による事故対策フォローアップ2回目~

総務省資料より 
総務省資料より

 

 

もう1年前になっていましたが総務省が『消費者事故対策に関する行政評価・監視 ―医業類似行為等による事故の対策を中心として― <勧告に対する改善措置状況(2回目のフォローアップ)の概要>』という報告をしました。

 

総務省トップ > 広報・報道 > 報道資料一覧 > 消費者事故対策に関する行政評価・監視―医業類似行為等による事故の対策を中心として― <勧告に対する改善措置状況(2回目のフォローアップ)の概要>

 

この報道資料は昨年令和5年(2023年)3月27日に出されたものです。どういう内容なのか説明します。

 

まず始まりとして総務省が消費者の安全・安心を図る観点から、医業類似行為等による事故について関係府省における被害防止対策の実施状況等を調査しました。

 

総務省トップ > 広報・報道 > 報道資料一覧 > 消費者事故対策に関する行政評価・監視 -医業類似行為等による事故の対策を中心として-<結果に基づく勧告>

 

かなり大規模な調査で年単位の調査を行っています。平成30年(2018年)3月~令和2年(2020年)11月までの2年半を費やし関係各所への大規模調査でした。その背景には都道府県及び市区町村の消費者行政担当部局や衛生担当部局にいわゆる医業類似行為による健康被害が生じたとする相談が多数寄せられています。これまで厚生労働省と消費者庁は対応をしてきたのですが、医業類似行為等による消費者事故に対する関係行政機関の対応状況の実態は必ずしも明らかとなっていないと判断し、それに対する関係府省における被害防止対策の実施状況、都道府県等における取組状況等を調査しました。なお医業類似行為には「あん摩マッサージ指圧」、「鍼灸」、「柔道整復」という国家資格免許が必要な施術とこれら以外の国家資格がない手技、温熱等による療術行為であって人体に危害を及ぼすおそれのあるものも含まれるとしています。つまり国家資格の有無は問わず健康被害のおそれがある行為は全て調査対象にしました。医業類似行為にあん摩マッサージ指圧、鍼灸、柔道整復は含まれない(それらは医業の一部である)という主張が一部でありますが総務省は国家資格の有無を問わず医業類似行為に分類して調査をしています。

 

調査対象機関は衛生担当部局(46保健所等)、警察機関(19都道府県警察)、消防機関(20消防本部)となっています。調査対象分類は医業類似行為(32保健所を調査)、エステティックの医療行為(32保健所を調査)、エステティックの美容行為(32保健所を調査)です。このように保健所だけなく警察、消防にも調査を行っており、その対象はエステの美容まで含むのです。調査報告で特に私が注目した箇所がこちら。抜粋します。

 

一方、厚生労働省は、これまで国家資格が必要な医業類似行為に係る健康被害に対する指導等の要請は行っていないが、国家資格が不要な医業類似行為に係る健康被害やエステサロンにおける無資格者による医療行為又は美容行為について、事業者に対する指導等の徹底を都道府県、保健所を設置する市及び特別区に要請している。

 

しかし、調査した保健所においては、その大半が健康被害に関しては、事業者に対する指導監督権限がないと認識しており、無資格者による医療行為に関しても、事業者に対する指導監督権限がないと認識していること等から、保健所による事実確認が行われていない状況がみられた。

 

厚生労働省は保健所に向けて、国家資格のない医業類似行為をする事業者に対する指導を要請しているが、総務省が調査した保健所の大半は事業者に対する指導監督権限がないと認識しているため事実確認が行われていないことが分かったのです。保健所はあん摩マッサージ指圧師、鍼灸師、柔道整復師が開設する施術所を管理する業務があるのですが、国家資格のない、いわゆる無資格者は対象外であるという認識がまかり通っているが、厚生労働省はそうは考えていないということが浮き彫りになっています。

 

このような状況を踏まえて令和2年(2020年)11月17日付けで「消費者事故対策に関する行政評価・監視-医業類似行為等による事故の対策を中心として-<結果に基づく勧告>」という名目で、“総務大臣から消費者庁長官に勧告”と“総務大臣から厚生労働大臣に勧告”と総務省から消費者庁と厚生労働省に注意勧告をだしたのでした。消費者庁に対しては

保健所、警察機関及び消防機関が受け付けた健康被害情報を含む苦情、相談及び救急搬送を通じて得られた情報が、消費者庁に通知されていないという実態がみられたことから、通知制度の意義等の周知徹底などの取組を消費者庁に求めました。

とし、厚生労働省に対しては

保健所では、受け付けた医業類似行為による健康被害等に関する相談に対して、多くは事実確認を行わず、関係機関の案内のみ実施している実態がみられたことから、都道府県等に対し、関係法令に基づく指導の権限を示した上で、事業者等に対する必要な指導の徹底を要請するよう厚生労働省に求めました。

としました。

 

この総務省が出した勧告に対して厚生労働省は、令和3年(2021年)3月15日付で厚生労働省医政局が各都道府県、保健所を設置する市、特別区の衛生担当部(局)に向けて医政医発0315第1号「医業類似行為業等に関する指導について」と題する通知を出しました。総務省の勧告を受けて4カ月経って厚生労働省は各所に指導するよう通達しました。

 

医政医発0315第1号 令和3年3月15日 医業類似行為業等に関する指導について

 

また総務省としても勧告を出したもののきちんと対応しているのかを確認するフォローアップを令和3年(2021年)12月10日に行っております。

 

総務省トップ > 広報・報道 > 報道資料一覧 > 消費者事故対策に関する行政評価・監視―医業類似行為等による事故の対策を中心として― <勧告に対する改善措置状況(1回目のフォローアップ)の概要>

 

厚生労働省に関しては、3月に保健所等に通達して同年12月に総務省が進捗状況を確認したわけです。その報告によれば

(1)消費者庁は、都道府県等、関係省庁に通知制度の周知を依頼するとともに、各都道府県等内での消費者庁への通知手順の整理・確認結果を公表

(2)厚生労働省は、都道府県、保健所設置市及び特別区に対し、事業者等への指導徹底を要請

など、勧告した事項については、現時点で必要な改善措置が講じられています。

とあります。消費者庁も厚生労働省も必要な改善措置が講じられているとしています。ただ消費者庁は厚生労働省、警察庁、消防庁に対して依頼をする、あるいは地方公共団体へのヒアリングをするといった具体的な施策を実行しているのに対し、厚生労働省は“指導の徹底を図った”と報告するのみ。徹底した指導をしたわけではなく図っただけ、と読み取れる報告書の文言でした。

 

そして本題に戻り、昨年3月に2回目のフォローアップがされたということです。あらためて消費者庁と厚生労働省に改善状況の回答を求め、令和3年11月に続いて2回目の回答を消費者庁は令和5年(2023年)3月8日に、厚生労働省は同年3月15日に総務省へ回答しました。その内容をまとめたものです。

 

これによると今回の回答で消費者庁が講じた主な改善措置状況は以下の通り。

 

 

総務省資料より 消費者庁

 

・消費者庁への消費者事故等の通知の徹底を求めた通知を関係省庁や都道府県等に発出(令和3・4年度)

・通知件数が多い都道府県等において取り組んでいる手法を把握・分析し、通知件数の増加につながる工夫例を都道府県等に通知。当該通知を受けて、107機関が145方策等(周知の徹底、業務マニュアルの工夫等)を新たに導入又は導入予定

消費者事故等の通知の徹底し、通知件数が多い都道府県のやり方を分析して工夫例を周知させます。通知、公表件数の推移については

・消費者庁への消費者事故等の通知件数は過去最多(令和3年度)

・生命・身体に被害が生じた消費者事故等の公表件数についても、令和3年度は3,992件であり過去最多、令和4年度上半期の公表件数についても前年度同期と比較し同程度以上

・ 医業類似行為等に係る消費者事故等の公表件数は、勧告前の7件(R1.12~R2.11)から勧告後には28件(R2.12~R3.11)、27件(R3.12~R4.11)と推移

とあり消費者事故の通知、公表件数は増加しています。消費者庁が公表することで事故にあった人が泣き寝入りしない環境作りが進むと思われます。

 

そして厚生労働省が行った主な改善措置状況です。既に述べたように令和3年(2021年)3月に通達を出して以下の2点を周知させるように図りました。

 

総務省資料より 厚生労働省

 

 

① 医業類似行為によって健康被害が生じた場合、あはき法等に規定する行政指導の対象となること。

② エステサロン等における無資格者による医療行為が医師法違反に該当すること。

その上でどのような具体的なことをしたのか。報告によれば、全国の保健所に上記通知の認知状況等を確認するアンケート調査を実施し、回答のあった391保健所のうち370保健所(94.6%)が通知の存在及び記載されている内容について認知しました。391保健所のうち28保健所が施術者への指導等を実施します。そしてこの28保健所のうち、5保健所は上記通知により初めて指導権限を認識しました。また、引き続き、都道府県担当者会議等の場で通知の内容を周知し事業者等に対する必要な指導の徹底を要請するとあります。前回第1回目のフォローアップに比べると具体的な行動を起こしていることが伺えます。

 

ながらく無資格者のやることは保健所、厚生労働省の管轄外であるという認識がありました。それがここ数年で健康被害が起きる消費者事故に国家資格の有無は関係ない、等しく調査・指導するという流れができていると感じています。私の同業者には「国家資格持ちは法律で縛られていて、これなら無資格者の方が有利ではないか」と嘆く声がよく聞かれます。その問題は少しずつ解決に向かっているように感じます。総務省の調査と勧告により厚生労働省、保健所も変わってきているのではないでしょうか。

 

甲野 功

 

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