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あの東日本大震災から13年。3月11日。この忘れられない日に日本映画界快挙の報せが届きました。邦画『ゴジラ-1.0』がアメリカの本場アカデミー賞で視覚効果賞を受賞したのでした。
「ゴジラ-1.0」アカデミー賞 視覚効果賞を受賞 山崎貴監督
アカデミー賞と言えば世界最大の映画の祭典。アメリカで行われますが受賞対象は全世界の映画となります。世界には映画賞が多数ありますが最高峰と言われています。最優秀賞に輝いた俳優がオスカー像を持ってスピーチする映像を一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。今回の視覚効果賞は、日本はおろかアジア勢で初だそうです。
アカデミー賞は映画界関係者の会員の投票によって各部門数作品がノミネートされます。その中から会場で受賞者あるいは受賞作品を発表するのです。今年第96回アカデミー賞では以下の項目がありました。
作品賞
監督賞
主演男優賞
主演女優賞
主演女優賞
助演男優賞
助演女優賞
脚本賞
脚色賞
長編アニメ映画賞
国際長編映画賞
長編ドキュメンタリー映画賞
短編ドキュメンタリー映画賞
短編映画賞
短編アニメ映画賞
撮影賞
編集賞
衣装デザイン賞
美術賞
音響賞
作曲賞
歌曲賞
視覚効果賞
どうでしょう。作品、監督、主演、助演までは馴染みがあると思います。ドキュメンタリー、アニメ、国際といった種類の分類もいいと思います。その他のいわゆる裏方スタッフでしか分からない編集や音響、美術などの賞があるのが特徴です。映画関係者には評論家だけでなくスタッフも含まれるため同業者からみても優れていると判断された(投票された)作品が受賞するのです。今年は長編アニメーション映画賞に宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』が受賞しました。宮崎駿作品は二度目の受賞で日本アニメが世界で評価されていることは周知の事実。先日マンガ家の鳥山明氏が亡くなれましたが世界にその作品が浸透していることが分かる反応でした。アニメに比べると実写の邦画はまだまだと言えるのですが、その状況で今回のアカデミー賞視覚効果賞受賞は快挙です。
私は邦画観賞が趣味でした。鍼灸マッサージ専門学生の頃がそのピークで、多いときで週に4本邦画を観賞していました。東京には名画座という新作ではない映画を上映する映画館が複数あります。横浜にも。かなり数は減りましたがまだ残っております。テーマに合わせて2本立て、3本立て上映をしてくれます。1回のチケットで2本観ることができるのです。また専門学生であるため学割という制度を活用して映画館に足を運んだのでした。映画好きというより邦画好き。あまりハリウッド映画をはじめとした海外作品はそこまで好きではありません。やはり日本の映画、邦画です。私が子どもの頃から大学生くらいまで、1990年代半ばまでは洋画の方が圧倒的に上でした。どこか邦画をみるのはダサいという風潮もありました。私もバックトゥザフューチャー、ターミネーター、タイタニックといった有名な大作は観てきました。しかし日本人の日本語の映像が好きでした。毎年日本アカデミー賞授賞式は録画してその動向をチェックしています。
今回受賞した山崎貴監督はビジュアルエフェクツ=VFXの達人と知られています。私が山崎監督を知ったのは平成17年(2005年)に大ヒットした『ALWAYS 三丁目の夕日』からです。邦画をよく観ていた時期で当然のように映画館で観賞したのですがその出来栄えに驚きました。今では当たり前の技術ですが当時は衝撃的で。昭和30年代の東京が再現されていました。私は東京都出身で昭和52年生まれ。昭和50年代の東京を覚えています。その記憶と照らし合わせても、そういえばこうだったなと感じました。これは両親にみせた方がいいと考え新宿の映画館に連れていきました。小さいときは母親に映画館に連れて行った記憶がありますが、親子3人で映画をみたという記憶はありません。それも大人になって。おそらく最初で最後の経験だと思います。ヒロインの堀北真希さんが演じる役の年齢と当時の母親の実年齢がほぼ同じ。東京都赤坂出身の母は作中に出てくる都電をみて、これに乗っていたと話しました。高度経済成長期に会社員だった父は作中の「日本はこれから豊かになる。でっかいビルだってきっとできる!」というセリフに本当に当時はこうだったと話しました。世代を超えて観賞できる名作でした。
今回の受賞はアカデミー賞、すなわち世界に、山崎監督の日本の技術が通用したことを知らしめることです。あのアーノルド・シュワルツェネッガー氏がプレゼンターを務め彼の口から「ゴジラ」と発表されました。監督として視覚効果賞を受賞したのは『2001年宇宙の旅』のスタンリー・キューブリック監督以来、2人目の快挙で55年ぶりだそう。それ以外にもこれまでの受賞作品らに比べて圧倒的に安い製作費で『ゴジラ-1.0』が制作されていることも注目されているそうです。それはスタッフの人件費を抑えてこき使っているという批判もありますが、高い技術に対してお金がかからないコストパフォーマンスとも言えます。この製作費でこれだけのものを作ってくれるならと海外資本が邦画に投資して資金面で実現できなかった作品制作に繋がるかもしれません。今後に期待がもてます。
先日、子ども達とドラえもん映画を観にいきました。その帰り、TOHOシネマズ新宿のゴジラ像が火を噴くパフォーマンスをしていて、それを大勢の海外観光客が嬉しそうに動画におさめていました。ゴジラという日本生まれのキャラクターは海を渡りました。ハリウッドでリメイク版が制作されました。既存のキャラクターを現代技術で制作した結果、アカデミー賞受賞です。ゴジラは戦争、核兵器を現わしているといいます。今作『ゴジラ-1.0』は戦後が舞台。太平洋戦争に負けて焦土となった日本をゴジラが襲います。その誕生には核実験が関わっている。今回のアカデミー賞では『オッペンハイマー』が多数受賞しました。オッペンハイマーとは原子爆弾を生み出した科学者の名前。『オッペンハイマー』と『ゴジラ-1.0』は対になっていると言われています。また前作で大ヒットした庵野秀明監督作品『シン・ゴジラ』。こちらは東日本大震災をモチーフにしていると言われていました。アカデミー賞受賞のニュースが3月11日にもたらされたのも何か運命を感じてしまいます。
実写の邦画でも世界的なコンテンツになることを願っています。クールジャパンは大きな期待。映画は配給することで簡単に海を渡ることができます。アニメに続いて強い武器に成長してくれることを期待しています。
甲野 功
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