～日光二荒山神社～

日光二社一寺という言葉をご存知でしょうか。平成１１年（１９９９年）１２月２日にユネスコ世界文化遺産に登録されたのが「日光の社寺」です。奇しくも１２月２日は私の誕生日です。今では日本各地にユネスコ世界遺産がありますが、日光の社寺はかなり早い方です。日光にある神社やお寺が世界文化遺産登録されました。この日光の社寺を「日光山内」あるいは「二社一寺」ということがあります。世界文化遺産登録のまえの平成１０年（１９９８年）に国の史跡指定されているのですが、その指定名は日光山内です。では二社一寺とは何か。二つの神社（社）と一つの寺ということ。よって日光二社一寺とは

・日光東照宮

・日光二荒山神社

・日光山輪王寺

のことをいいます。これまで日光東照宮、輪王寺の大猷院と相輪橖を紹介しました。今回は日光二荒山神社です。

日光二荒山神社

初めて日光を観光で訪れると日光東照宮のインパクトが強すぎて二荒山神社のほうが疎かというか見落としがちになるかもしれません。東照宮が徳川家康公のお墓があり、輪王寺大猷院は徳川家光公のお墓があります。二社一寺の残り二荒山神社はどういうところなのでしょうか。

御祭神は二荒山大神で親子三柱の神を祭っています。父の大己貴命、母の田心姫命、子の味耜高彦根命です。そして日光市内に奥宮（男体山山頂）、中宮祠（中禅寺湖湖畔）、御本社と３社が鎮座しています。男体山は二荒山の別名です。今回紹介するのは日光東照宮の奥にある御本社です。なお日光市は栃木県にありあすが同じ栃木県内の宇都宮市にも二荒山神社がありそれを宇都宮二荒山神社といいます。日光市の方は宗教法人登記上の正式名称がシンプルに「二荒山神社」となっていますが宇都宮と区別するために日光二荒山神社と称されます。もちろんこの文章で述べる二荒山神社は日光二荒山神社のことです。日光は山がたくさんあり日光連山を形成しています。そのうち日光三山を祭っています。日光三山は男体山（二荒山）・女峰山・太郎山からなりそれぞれ神をあてて日光二荒山神社では祭っているのです。男体山（二荒山）が父の大己貴命、女峯山が母の田心姫命、太郎山が子の味耜高彦根命となります。

日光二荒山神社は下野国の僧である勝道上人（７３５年～８１７年）が神護景雲元年（７６７年）に二荒山（男体山）の神を祭る祠を建てたことに始まるとされています。これは現在の別宮となっている本宮神社にあたります。成立については諸説あり社伝の内容と発掘研究が合致していないところがあるようです。戦国時代に豊臣秀吉に領地を没収され衰退するも、江戸時代に東照社（日光東照宮）が創建されると、二荒山神社もまた江戸幕府、朝廷、諸大名、民衆からも厚い崇敬を受けるようになります。元和５年（１６１９年）に２代将軍徳川秀忠によって本殿が再建されます。日光東照宮ができたことで日光は徳川家との関係が深くなります。

輪王寺の先、日光東照宮の横を通り過ぎて杉並木道を進みます。徳川家光の墓所である大猷院と並ぶように日光二荒山神社があります。境内には様々な特徴的なところがあります。立派な大鳥居。そのそばには「良い縁打出の小槌」と「むすび大黒」があります。相当な大きさです。大きく育った杉が多数あり御神木となっています。「縁結びの御神木」、「親子杉」、「夫婦杉」、「神話の絆杉」、「高野槙」、「恋人杉」。これだけ御神木の種類があるところも珍しいです。拝殿の前には「良い縁うさぎ」。金色で球体を持ったうさぎの像。兎年だった年は非常に注目されていました。そして「良い縁狛犬」。良、縁の一文字ずつ刻まれた狛犬。拝殿の横には渡殿。横の道を通ると本殿が見られます。本殿、拝殿ともに国重要文化財であり世界文化遺産に登録されています。同じく世界文化遺産の「化け灯籠」。

境内社も多数あります。裏山の道に七福神像が点在しており散策しながら七福神巡りができます。大国殿にはとてつもない長さの日本刀（太刀）が展示されています。二荒山霊泉では二つの聖なる泉の水が引き込まれています。日光連山遥拝所には巨大な刀のオブジェが地面から突き出ており、アニメのような光景が見られます。良縁ハート投げというアトラクションのような場所もあります。江戸時代には現在のテーマパークにあたる存在が神社で庶民が楽しんだという話を聞いたことがありますがまさに日光二荒山神社はそうなのだろうと思いました。とにかくいたるところに良縁に関わるものがあって面白かったです。

日光東照宮がとても目立ちますが奥の日光二荒山神社も興味深いところです。日光二社一寺。東照宮、輪王寺そして二荒山神社までセットで参拝してもらいたいものです。

甲野　功

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