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~国家資格とは何か~

文部科学省資料より 国家資格の概要について
文部科学省資料より 国家資格の概要について

 

 

私はこのブログで何度も国家資格があることを書いています。人によってはもう知っているよと疎まれるでしょうが、その都度書かないといけないと思っています。この仕事をする最低限のことなので。法律がありながら国家資格を持たない者が似たような仕事をしている現状があり、だからこそ知らせておかないといけないと考えています。それは自らを上に見せたいという気持ちもありますが、かつて民間療法と称してリラクゼーション店で働いていた過去があることも理由です。どちらも経験しているからこそ“国家資格”というものにこだわります。

 

さてそもそも国家資格とは何でしょうか。当事者でありながら深く理解していないなと最近気付きました。私の持つ国家資格は厚生労働省が管轄する4つで

あん摩マッサージ指圧師

はり師

きゅう師

柔道整復師

です。それに鍼灸マッサージ専門学校の教員免許(厚生労働省)や医療専門課程の専門士(文部科学省)、介護保険法が定める機能訓練指導員の資格もあります。挙げた4つの国家資格とあとの3つの資格は何が違うのでしょうか。ここで国家資格についてきちんと調べてみました。

 

まず国家資格というくらいですから国が管轄しています。対義語として民間資格があるでしょう。民間の団体が認定した資格。ときに強いブランド、効力があるものもあります。国家資格は国、具体的には省庁が認定を出している資格だと思われます。私の場合は厚生労働省であるように。それでは国は国家資格についてどう定義しているのでしょうか。文部科学省ホームページに「国家資格の概要について」というページがあります。

 

文部科学省 国家資格の概要について

 

これによれば国家資格の定義として

国家資格とは、国の法律に基づいて、各種分野における個人の能力、知識が判定され、特定の職業に従事すると証明される資格。

とあります。“国の法律に基づいて”という点に注目しました。各国家資格にはそれぞれ規定する法律があるのですね。法律があることが国家資格の目安と言えそうです。確かに民間資格にはその資格のための法律があるとは思えません。実際にあるのか不明ですが。そして法律があるということは違反すればその資格特有の罰則があるということでもあります。また最後の“証明される資格”という文言も意味深いと感じます。何を証明するかというと“各種分野における個人の能力、知識が判定され、特定の職業に従事すること”です。能力・知識が判定され、つまり最低限のハードルを乗り越えていること。そして特定の職業に従事すること。それらを“証明する資格”が国家資格なのですね。そのため『法律によって一定の社会的地位が保証されるので、社会からの信頼性は高い。』と述べています。

 

つづいて国家資格の分類です。私の持つ4つの国家資格は戦後に制定された法律によってでき、昭和時代に柔道整復師が単独法になるまで一つの法律でした(※現在は「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師に関する法律」と「柔道整復師法」に分かれている)。そのため根っこは同じなので、国家資格に分類があるという実感はありませんでした(種類が違うのはもちろん認識しています)。国家資格は、法律で設けられている規制の種類により4つに分類されるのです。

 

業務独占資格:有資格者以外が携わることを禁じられている業務を独占的に行うことができる資格

名称独占資格:有資格者以外はその名称を名乗ることを認められていない資格

設置義務資格:特定の事業を行う際に法律で設置が義務づけられている資格

技能検定:業務知識や技能などを評価するもの

この4種類です。

 

私がもつ国家資格は①業務独占資格に分類されます。言いかえれば②、③、④は該当しません。なお医師資格は①業務独占資格と②名称独占資格の両方を有します。①と②は知っていましたが③設置義務資格と④技能検定という分類があることは知りませんでした。

 

設置義務資格とは、事業を行う際にその企業や事業所にて特定の資格保持者を必ず置かなければならないと法律で設置が義務づけられている資格です。この中には国家資格ではないものもあるようです。私の父親はある設置義務資格を持っていてしかも国家試験の問題作成員もしていました。それを思い出すと確かに国家資格だよなと納得できます。

 

技能検定は、『働くうえで身につける、または必要とされる技能の習得レベルを評価する国家検定制度』(厚生労働省ホームページより)です。現在131職種の試験があり合格すると「技能士」と名乗ることができます。建建設、金属加工、一般機械器具、電気・精密機械器具、食料品、衣服・繊維製品、木材・木製品・紙加工品、プラスチック製品、貴金属・装身具、印刷製本、その他の関係する種類があります。これも国家資格に分類されるのかという個人的な感想です。

 

続いてどこが試験を行うかという分類です。国家資格を行う主体は国、地方公共団体、法律で指定された団体に分けられます。

 

1)国が行う試験

2)地方公共団体が行う試験

3)法律で指定された団体が行う試験

 

あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の3つに関しては公益財団法人東洋療法研修試験財団が国家試験を行い、柔道整復師は公益財団法人柔道整復研修試験財団が行います。

1)国が行う試験の具体例として、①業務独占資格では医師、②名称独占資格では管理栄養士、③設置義務資格では学芸員が挙げられます。

2)地方公共団体が行う試験の例として、①業務独占資格では栄養士、②名称独占資格では職業訓練指導員が挙げられます。

3)法律で指定された団体が行う試験の例として、②名称独占資格では技術士、③設置義務資格として衛生管理者、④技能検定として技能検定が挙げられます。

 

このように国家資格は分類されていました。なお私の本業である国家資格は厚生労働省の管轄となっています。

 

厚生労働省資料 国家資格について

 

 

厚生労働省資料より 国家資格のについて
厚生労働省資料より 国家資格のについて

 

 

厚生労働省の国家資格分類は①業務独占資格、②名称独占資格、③設置義務資格の3種類としています。④技能検定はありません。

 

厚生労働省としては①の業務独占資格について『国民の生命、健康、財産などを守ることにつながる業務について、国が責任を持って一定の基準を定め、一定の水準以上の知識・技術を修得していることを国又は都道府県が確認する必要があるもの。』と説明しています。また注釈として『憲法第22条には国民の人権として「職業選択の自由」が定められているが、医師等の資格についてはその例外として規制されている。』と書いています。これが意味するところは大きいのですがまた別の機会に触れることにします。

②名称独占資格についてどのような資格なのかについて『一定の水準以上の知識・技術を有する者に対して資格を付与することによって、有資格者の提供する業務の質を担保する必要があるもの。』と説明しています。さらに『有資格者以外の者に対して、当該資格の名称を用いて業務を行うことを禁ずることにより、事業主や利用者等にとって質の高い者の選択が容易となる。』と更なる解説を加えています。

③設置義務資格については具体例として衛生管理者、放射線取扱主任者を挙げています。医療機関ではレントゲン、CT等放射線を用いる器具があることから分かります。

 

以上のように国家資格とはどのようなものかを整理してみました。分類、試験実施者など知らなかったことがありました。仕事の基盤となっている制度について理解が深まりました。

 

甲野 功

 

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