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~広告規制はあはき柔整以外にも適応される方針~

厚生労働省資料 あはき・柔整広告ガイドラインに記載する内容(案)より
厚生労働省資料 あはき・柔整広告ガイドラインに記載する内容(案)より

 

 

先月の5月20日に『第10回あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会』が開かれました。

 

あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の頭文字をとってこの3資格を総称して“あはき師”、柔道整復師を略して“柔整師”と業界内で呼びます。この検討会は略して“あはき柔整広告検討会”とこの文章内では便宜上呼ぶことにします。あはき柔整広告検討会は既に挙げた4つの国家資格などの広告方法についてガイドラインを作るための会議です。厚生労働省が管轄しています。第1回が平成30年(2018年)5月に開催されており、もう6年も議論しています。途中、新型コロナウィルス感染、柔道整復師国家試験問題漏洩事件があり審議が進まなかったと思われます。前回第9回が昨年2月ですから丸一年以上空いてしまいました。この第10回の内容については議事録がまだ公表されていないので何とも言えませんが、今後に非常に影響が出てくるものだと考えています。というのは「あはき・柔整広告ガイドラインに記載する内容(案)」という資料が公開されたからです。

 

そのタイトルが示すようにあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師の活動における広告をどうするのかを案としながらも示しています。私はこの4つの国家資格を有しているので直接関係してくる内容であります。この4つの国家資格は通称、あはき法柔整法と言われる専門の法律によって広告内容に制限がかけられています。また病院などの医療機関に関する広告に対する「医療広告ガイドライン」の影響も受けることになります。法律が制定されたときには存在しなかったインターネットやSNSに対して広告規制をどのようにしていくかガイドラインを作成しようとしています。法改正には非常に時間がかかってしまいますし。その具体案が今回の資料で提示されたと言えます。

 

その内容を読むとこれまで以上に踏み込んだ内容になっており、厚生労働省の本気が垣間見えます。気になった点を抜粋して説明していきましょう。

 

最初の『1 趣旨』において注目した点です。それは「無資格」の定義です。この案には

あはき又は柔整の免許を有していない者等(あはき又は柔整等の免許を有しているが当該免許に係る業以外の行為を提供している者も含み、以下「無資格者」という)』。

とあります。これまで厚生労働省がいう「無資格者」というのは医療系国家資格を持たない者という認識がありました。具体的にはあはき柔整のいずれかを持っていない者。ところがこの認識を逆手にとって、国土交通省管轄の普通自動車免許を持っているから「無資格者」ではないという屁理屈や、理学療法士免許を持っているから「無資格者」ではないという言い分が出ていました。特にあん摩マッサージ指圧師免許を持たない者が整体と称して、あん摩マッサージ指圧師が行う施術内容を業として行っているケースが多数ありました。あん摩マッサージ指圧師国家資格は業務独占免許に分類され医師を除いてあん摩マッサージ指圧を業とする(※反復継続の意思を持って行うこと、と解釈される)ことは禁止されています。ところが鍼灸師や柔道整復師、理学療法士がそれを守らず行っているという現状があります。この場合、国家資格を持っているから無資格者ではないという言い分がありました。我々を無資格者と一緒にするな、という。そのため厳密にはあん摩マッサージ指圧師無免許者という表現が好ましいわけです。ところが今回の厚生労働省が公表した文書には

あはき、柔整免許を有していない者(→従来の認識である無資格者)

上記免許を有しているが当該免許に係る業以外の行為を提供している者(→保有免許範囲外の行為を業としている者)

のいずれも「無資格者」と定義しています。よって例えば柔道整復師しか持っていない者が鍼灸施術を業としたら無資格者であり、鍼灸師しか持っていない者がマッサージを業としたら無資格者であるということ。このように「無資格者」を定義したことは非常に重要であると捉えています

 

どういうことかというと『2 基本的な考え方(2)今回の広告規制の考え方』において

③無資格者による行為により発生した事故の情報が寄せられていることなどを踏まえ、その広告の適切な在り方について、本指針に定めることとした。

とあります。上の方で無資格者が定義されたことで“その広告=無資格者の広告”の適切な在り方について指針を定める、すなわちあはき柔整資格を持っていない者だけでなく該当資格外の業務を行っている者もガイドラインに該当することが言えるのです。これまでは国家資格を持たない者は医療広告規制に該当しないと誇大広告を出したい放題でした。はっきり言えば保健所も厚生労働省もそちらは管轄外だと言わんばかりに対応をせず。理由の一つに昭和35年の最高裁判決が影響しているとは言えますが。そのことを逆手にとって、鍼灸師や柔道整復師が整体師を名乗り保健所に届け出を出さないでお店を始めるという事例もあります。そういったことに対しても広告のルールを作っていくということが伺えます。

続く『2 基本的な考え方(4)禁止される広告等の基本的な考え方』でも

内容が虚偽にわたる広告や比較優良広告等、あはき・柔整に関する広告としてふさわしくないものについても、ウェブサイト等の情報提供も含め、厳に慎むべきものである。これは、無資格による行為に関する広告についても同様の考え方で取り扱うべきものである。

無資格者の広告も同様であると明言しています

つまりこのあはき・柔整広告ガイドラインはその指示に従う対象はあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師の国家資格を持つ者にとどまらないということです。そのことをはっきりさせたことがとても重要だと考えています。

 

そのことを更に明示しています。『4 あはき・柔整に関する広告規制の対象者 (1)あはき・柔整に関する広告規制の対象者』では関連する法律を挙げています。

 

あはき師法第7条第1項

あん摩業、マツサージ業、指圧業、はり業もしくはきゆう業又はこれらの施術所に関しては、何人も、いかなる方法によるを問わず、左に掲げる事項以外の事項について、広告をしてはならない

 

柔整師法第24条第1項

柔道整復の業務又は施術所に関しては、何人も、文書その他いかなる方法によるを問わず、次に掲げる事項を除くほか、広告をしてはならない

 

上記のように法律で規定されているのですが、どちらも“何人も”と入っています。つまりマッサージ院、鍼灸院、接骨院といった保健所が管轄する施術所に関する広告については

施術者又は施術所だけでなく、マスコミ、広告代理店、いわゆるインフルエンサー及びアフィリエイター※等、何人も広告規制の対象とされるものである。

 

※本指針において、「いわゆるインフルエンサー及びアフィリエイター」とは、個人のホームページやブログ、SNS等で商品やサービスを紹介し、広告料収入を得る者をいう。

と明記しているのです。自分のところを宣伝するためにマスコミやインフルエンサーを使うことも規制するとしているのです。法律を根拠に釘を刺しているといえます。

 

まだ(案)でありますが、あはき・柔整広告ガイドラインは規制対象が上記4つの国家資格だけにとどまらないことを示唆しています。このガイドラインが完成し遂行されるとなると業界の状況が大きく変わると思われます。これまで無視していたところにも厚生労働省、そして保健所が規制に動くことになるかもしれません。そもそも数年前の総務省の医業類似行為等の被害に関する調査により、厚生労働省や保健所が自分の管轄だと認識していなかったことが問題であると指摘し勧告を出しています。本腰を入れて広告規制に動くようだと推測します。何よりこの会議は「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会」であり、“等”が入っている以上あはき柔整だけが対象ではないのです。そのことをはっきりとし始めていると私は感じた資料でした。

 

甲野 功

 

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