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~厚生労働省のHIFU施術に対する通達~

医政発0607第1号 医師免許を有しなかった者が行った高密度焦点式超音波を用いた施術について1
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医政発0607第1号 医師免許を有しなかった者が行った高密度焦点式超音波を用いた施術について

 

 

先日厚生労働省から各都道府県衛生主管部(局)長に向けてHIFU施術における通達が出されました。今後大きな影響を及ぼすものと思われます。

 

医師免許を有しない者が行った高密度焦点式超音波を用いた施術について

 

医政医発0607第1号

令和6年6月7日

 

各都道府県衛生主管部(局)長

 

厚生労働省医政局医事課長

 (公印省略)

 

医師免許を有しない者が行った高密度焦点式超音波を用いた施術について

 

消費者安全調査委員会による調査報告書「消費者安全法第23条第1項の規定に基づく事故等原因調査報告書 エステサロン等でのHIFU(ハイフ)による事故(令和5年3月29日)」において、医師免許を有しない者が高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound。以下「HIFU」という。)を用いて行った皮下組織に熱作用を加える施術(以下「HIFU施術」という。)が原因となって急性白内障や神経麻痺等の身体に被害を受けたという事例が相当数ある旨が報告されている。

今般、消費者安全調査委員会から厚生労働省に対して、HIFU施術に対する医師法(昭和23年法律第201 号)上の取扱いの整理が求められているところ、国民への危害発生を未然に防止するべく、下記のとおり見解を示すこととしたので、御了知の上、貴管内の市町村、特別区、関係機関及び関係団体等に周知方願いたい。

 

 

第1 HIFU施術に対する医師法の適用

用いる機器が医療用であるか否かを問わず、HIFUを人体に照射し、細胞に熱凝固(熱傷、急性白内障、神経障害等の合併症のみならず、HIFU施術が目的とする顔・体の引き締めやシワ改善等も含む。)を起こさせ得る行為(以下「本行為」という。)は、医師が行うのでなければ保健衛生上危害を生ずるおそれのある行為であり、医師免許を有しない者が業として行えば医師法第17条に違反すること。

 

第2 実施場所について

医師による本行為は、医療法(昭和23年法律第205号)第1条の2第2項に規定する医療提供施設において行うこと。

 

第3 違反行為に対する指導等

違反行為に関する情報に接した際には、実態を調査した上、行為の速やかな停止を勧告する等必要な指導を行うほか、指導を行っても改善がみられないなど、悪質な場合においては、刑事訴訟法第239条の規定に基づく告発を念頭に置きつつ、警察と適切な連携を図られたいこと。

 

まずHIFUとはどのようなものか。HIFUとはHigh Intensity Focused Ultrasoundの頭文字をとったもので高密度焦点式超音波というものです。皮下組織らに超音波を集中させる温熱刺激を与える物理療法です。皮膚表面にダメージを与えず美容効果が期待できるとされています。そのためエステサロンや美容クリニックで使用されています。HIFUを用いた施術、すなわちHIFU施術が問題になっております。

 

消費者庁はエステサロン等でのHIFU施術による事故について報告書を昨年令和5年(2023年)3月29日に報告しました。以下が概要をまとめた資料です。

 

消費者安全法第23条第1項の規定に基づく事故等原因調査報告書【概要】

−エステサロン等でのHIFU(ハイフ)による事故−

 

これによれば年々HIFU施術による健康被害は増加しています。これは今に始まったことではなく以前から危険性が叫ばれていました。平成29年(2017年)の段階で独立行政法人国民生活センターは消費者に対して、皮下組織に熱作⽤を加え危害を及ぼすHIFU施術をエステサロン等で受けないように注意喚起を行っています。それを受けてエステ業界主要団体は加盟するエステサロンでHIFU施術を行わないよう指導しているのです。ところが加盟しているエステサロンは全体の1割以下と推測されてHIFU施術禁止ということが徹底されていないとしています。更に国内で使用されているHIFU器機の多くは輸入品。医師では国内未承認の医療機器として個人輸入、医師ではない者は医療機器を輸入することはできないので医療機器ではない製品(雑品)として輸入していると推定されています。つまりHIFUは国が認証している医療機器ではないので、各器機がどれくらいのスペック(能力、出力)か把握できていないのが現状です。そのようなものですから使用しないように指導しているのです。

それにも関わらず健康被害(事故)が増える一方です。具体的には目の症状(急性白内障など)や神経症状(顔面神経麻痺など)、皮膚症状(火傷など)が報告されています。未承認の医療機器であるため医師法や薬機法上での取り扱いが定まっていませんでした。その法的取扱いについて今回厚生労働省が見解を示したのです。

 

通達を抜粋します。

第1 HIFU施術に対する医師法の適用

用いる機器が医療用であるか否かを問わず、HIFUを人体に照射し、細胞に熱凝固(熱傷、急性白内障、神経障害等の合併症のみならず、HIFU施術が目的とする顔・体の引き締めやシワ改善等も含む。)を起こさせ得る行為(以下「本行為」という。)は、医師が行うのでなければ保健衛生上危害を生ずるおそれのある行為であり、医師免許を有しない者が業として行えば医師法第17条に違反すること。

まず文頭の“用いる機器が医療用であるか否かを問わず”という部分。医療機器であれば医師法の適応を受けますが医療用とされていない機器も含めるというわけです。最初にことわっています。そしてHIFUを照射して細胞に熱凝固を起こさせる行為は(実質医行為であるとして)、医師免許を持たない者が業として行えば医師法違反となると明言しました。細かく説明すると法律上違反とされる行為として“医師が行うのでなければ保健衛生上危害を生ずるおそれのある行為”という表現を用います。すなわちこれらを医行為とみています。危害が生じたらそれはもちろん違反行為。いえいえ美容目的で行う施術ですから医行為などではありませんよ、という言い訳を認めない内容だと私は受けておりました。

そして医師法第17条。医師法は医師に関係する法律なのですがその第17条は『第十七条 医師でなければ、医業をなしてはならない。』というもの。国家資格の業務独占について規定しています。医業とは“医行為を業とすること”。業とする、とは反復継続の意思を持って行うこと、と解釈されて、簡単に言うと仕事として行うことです。そのためHIFU施術が実質医行為に該当すると判断されるのです。

通達により医師でない者がHIFU施術を業として行うことは医師法第17条違反になるとしています。これはかなり重たいことで、医師法第31条では

第三十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 第十七条の規定に違反した者

と罰則が規定しており、非医師がHIFU施術を業として行った場合は3年以下の懲役あるいは100万円以下の罰金、又はその両方を課される可能性が出てくるのです。似たような法律にあはき法第12条という医業類似行為を禁止するものがありますが、それよりも医師法第17条の方がずっと罰則が重たいのです。これにより医師免許を持たないエステティシャンがHIFU施術を繰り返せば逮捕、起訴されるかもしれなくわけなのです。

 

続いて実施場所に関する部分を抜粋します。

第2 実施場所について

医師による本行為は、医療法(昭和23年法律第205号)第1条の2第2項に規定する医療提供施設において行うこと。

医療法とは病院、診療所、助産所の開設、管理、整備の方法などを定める法律であり、医師法が医師の行動に関するものだとしたら医療法は環境に関するものと言えます。医療法第1条の2、第2項とは以下の通り。

2 医療は、国民自らの健康の保持増進のための努力を基礎として、医療を受ける者の意向を十分に尊重し、病院診療所介護老人保健施設介護医療院調剤を実施する薬局その他の医療を提供する施設(以下「医療提供施設」という。)、医療を受ける者の居宅等(居宅その他厚生労働省令で定める場所をいう。以下同じ。)において、医療提供施設の機能に応じ効率的に、かつ、福祉サービスその他の関連するサービスとの有機的な連携を図りつつ提供されなければならない。

つまり文章で医療法第1条の2第2項に規定する医療提供施設とは「病院」、「診療所」、「介護老人施設」、「介護医療院」、「調剤を実施する薬局」、「その他の医療を提供する施設」ということになります。例え医師が行うHIFU施術であってもこの医療提供施設で行わなければいけないというわけです。つまり医師が行うからといってエステサロンのような医療提供施設でない施設で行うことはいけないということです。施術する施設も限定したわけです。

 

そして通達の3項目目です。

第3 違反行為に対する指導等

違反行為に関する情報に接した際には、実態を調査した上、行為の速やかな停止を勧告する等必要な指導を行うほか、指導を行っても改善がみられないなど、悪質な場合においては、刑事訴訟法第239条の規定に基づく告発を念頭に置きつつ、警察と適切な連携を図られたいこと

上記のHIFU施術に関して違反行為があった場合は実態調査の上、停止勧告などの指導をしなさいとしています。通達先は実質、各地方自治体の関係機関・関係団体です。具体的には保健所や役所などでしょう。そして指導を行っても悪質な場合においては“刑事訴訟法第239条の規定に基づく告発を念頭に置きつつ”、“警察と適切な連携を図られたい”こととしています。刑事訴訟法第239条では『何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる。』とあり、誰も犯罪だと思えば告発することを法で認めているということ。そして警察と連携してくださいという。医師法第17条違反ということは警察が逮捕する内容です。数年前は美容関連の事故は警察沙汰にならない感じがありました。まさかエステサロンで起きたことで警察が介入するなんてという。そうではなく医師法第17条違反と具体的な違法行為であることを示した上で警察と連携して指導しなさいと通達しているのです。

 

このことも前段階があります。総務省は平成30年(2018年)3月から令和2年(2020年)11月までの2年半に医業類似行為等による事故について大規模な調査を行っています。そこで浮き彫りになったのが国家資格を有さない者の医業類似行為による健康被害と、エステティックによる医療行為が問題視されました。指導する保健所が機能していない、健康被害が生じたときに対応先が定まっていない(警察なのか、保健所なのか、など)ことが現状にあるとして、総務省は令和2年(2020年)11月17日に消費者庁と厚生労働省に対して是正勧告を出しています。それを受けて消費者庁は警察庁に対して、エステティックを含む医業類似行為で生じた事故情報を通達してくれるように依頼しました。厚生労働省は保健所に指導の徹底を指示しました。この動きがHIFU施術に対する対応に繋がっているものと予想しています。

 

今回の通達によって

医師でない者が行うHIFU施術は医師法違反にあたる

たとえ医師が行うHIFU施術でも医療提供施設で行わなければならない(エステサロンではできない)

違反行為があれば警察と連携し刑事告訴を念頭において指導せよ

ということを厚生労働省が明らかにしました。これまで大目に見ていてことを徹底して指導するという方針を示したように思えます。

 

これまで美容目的であれば医師でなければやってはいけないこと(医行為)も見逃されるという感じがあったと思います。それが昨年あたりから厳しく取り締まるようになってきたと感じています。脱毛サロンでのレーザー脱毛で施術を行った女性スタッフが医師法違反疑いで書類送検され、美容クリニックで医師ではない元エステティシャンがレーザー施術をしたことで医師法違反疑いで逮捕されました。今回のHIFU施術に関する通達も一連の動きと思われます。

 

甲野 功

 

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