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~パリオリンピックのブレイキンから思うこと~

パリオリンピック公式サイト ブレイキンより
パリオリンピック公式サイト ブレイキンより

 

 

パリオリンピックが閉幕しました。日本は金メダル20個という海外開催でのオリンピックで過去最高の金メダル数及び総メダル数を獲得しました(もちろん国内開催の2度の東京オリンピックの方がメダルは多い)。その結果、前回東京オリンピックと同様にメダルランキングがアメリカ、中国に次ぐ世界3位となりました。毎回オリンピックに注目している私は嬉しいです。ただ色々と議論が起きた大会でありました。毎回、大小様々な問題がオリンピックには起きますが今回はそれが多岐に渡っていたように思います。何にせよ参加した選手やサポートスタッフの皆様、感動をありがとうございました。

 

さて今大会唯一の新競技がブレイキンです。ブレイクダンスといった方が通りがよいブレイキン。日本選手陣でも非常に期待されており選手団騎手に半井重幸(ダンスネーム SHIGEKIX)選手が選ばれました。男女ともに金メダル候補とされており、実際に湯浅亜実(ダンサーネーム AMI)選手は女子ブレイキンで金メダルを獲得しました。そのブレイキン競技をテレビの画面越しに観ていて少々複雑な想いに駆られました。恐らく社交ダンス、競技ダンスに関わってきた者なら少なからずあったのではないでしょうか。

 

まず長らく社交ダンスを競技として行う「競技ダンス」をオリンピック正式種目にすることに業界団体は奮闘してきました。その際に副次的に選ばれたのがブレイキンでした。

 

パリ五輪 日本のメダル獲得は? 社交ダンスは落選し、新競技に選ばれた“ブレイキン” 関係者が明かす秘話

日本テレビ放送網

 

この記事に簡単に触れていますが数十年前からオリンピック種目に「社交ダンス」を入れようとしていました。そしてそのことにより、日本国内の社交ダンス界は大混乱となったのです。オリンピックの種目になるには、運営組織がしっかりしていて競技人口が一定数いて世界選手権が定期的に開催されているとった基本的な条件があります。その上で採択されるかはIOC(国際オリンピック委員会)が判断します。ブレイキンの組織は世界ダンススポーツ連盟(World Dance Sport Federation:WDSF)。その日本代表組織が公益社団法人日本ダンススポーツ連盟(Japan DanceSport Federation:JDSF)となります。JDSF。それは日本のアマチュア競技ダンスの組織でした。私が大学で学生競技ダンス連盟に出会い、1999年の12月(大学4年の冬)に学生競技ダンスを引退しました。その1999年に当時あった日本アマチュアダンス協会(JADA)はJDSFになります。ですから私にはJADAの方がイメージがありました。JDSFは2002年に社団法人化し2007年にJOC(日本オリンピック委員会)に正式加盟、2011年に公益社団法人に移行。JDSFとなり本格的にオリンピック種目採用へ進んでいました。そう歴史的にJDSFは社交ダンス(競技ダンス)の団体でした。「金スマ」というバラエティ番組でお笑い芸人のキンタロー。さんや元フィギアスケーターの浅田舞さんが日本代表としてJDSFの名前が入ったジャージを着ている姿を目にしたことはないでしょうか。

 

ところが。社交ダンスというイメージがスポーツの祭典であるオリンピックにそぐわないという意見(考え)があり、“ダンススポーツ”という概念を打ち出します。WDSF、JDSFのDSはダンススポーツ(DanceSport)のことです。従来の舞踏会で行われる社交ダンスをスポーツとして打ち出します。そのため既存の社交ダンスからよりスポーティーなものに変容していきます。そしてダンススポーツの一つとして社交ダンス以外にもブレイキンがあるとブレイキンを加えます。ストリートダンスが発祥のブレイキンと社交ダンスが発祥の競技ダンス(スタンダード&ラテンアメリカン)という異文化のダンスが混在します。そしてダンススポーツとして種目申請をした結果、競技ダンスではなくブレイキンがブエノスアイレスユースオリンピックで正式競技となり、今回のパリオリンピックで追加種目となったのです。元々は競技ダンス(スタンダード&ラテンアメリカン)のオリンピック種目を目指していたのに

 

競技ダンスをオリンピック種目にするという動きにより日本の社交ダンス界は大いに混乱しました。元々プロ団体が分裂していった経緯があるところに、日本最大のプロ団体JBDFがこれまでのWDC(世界ダンス議会)からWDSFにつくという方針が出たせいで上層部と選手が対立。除名や競技会ボイコットなど騒動に発展しました。深い細かいところまでは分かりませんが、その頃私が面識のあるプロ選手達が大変なことになっていたことをよく覚えています。また東京オリンピック2020が決定し自国開催ということでJDSFは競技ダンスを追加種目にしようと力を入れてプロモーション活動をしました。業界の端っこにいる私でも東京オリンピックで正式種目になれば日本の社交ダンス界がオールジャパンでオリンピックに取り組むのではないかと期待したものでした。結果は空手や野球・ソフトボールらが追加種目として採択されて競技ダンスは落選。その後にブレイキンがオリンピック種目へ。海外では更に団体の分裂や新しい団体が設立されるなど混乱しています。ここら辺のことは書くときりがありませんので詳しくは触れません。ただ、ブレイキンに何の恨みもありませんが今回のパリオリンピックでブレイキン競技が行われた様子を見たときに、社交ダンス業界が目指したものだったなと私は思いました。

 

いざブレイキン競技が始まると。ダンススポーツという概念がオリンピックに導入されてどうなるのかに注目しました。競技ダンスとは異なりますが問題点は似ているのではないかと。パフォーマンスそのものは世界トップレベルのダンスが披露されて感嘆するばかりでした。ところがやはりというか。ジャッジの審査に観客らが異論を唱える場面が出てきました。日本の大能寛飛(ダンスネーム HIRO10)は圧巻のパワームーブを披露するも予選落ち。会場からは大きなブーイングがありました。また金メダル候補とされた半井重幸(SHIGEKIX)選手の3位決定戦もどうして負けたのだという声がありました。ジャッジは9名でどちらかに票を入れる審査方法。いまどきのオリンピック競技ではまずありません。かつての柔道であった旗判定のよう。5種類の評価項目から審査をするといいますが、競技中はその内訳は公表されません。極端な採点を避けるために上位と下位の点数を除外する、というやり方もしません(飛び込み競技などはこの方法)。世界的に注目するオリンピックだとこの審査方法は自ずと問題視されていくだろうなと観ていて思いました。最終的に体操やフィギアスケートのようにこのトリック(技、振り付けのこと)は何点と小数点単位で細かく規定していきビデオ判定も導入しないと世間が納得しなくなるのではないでしょうか。

ブレイキンの競技を観ながら競技ダンスがオリンピック種目になったらどうなるのかも考えてみました。従来の6~10組ほどが同時に踊ってそれをジャッジが規定数のカップルにチェックを入れるという方法は無理がありそうです。必ず見落としがあると思います。そうなると自ずとフィギュアスケートのように一組ずつソロで踊ってそれを細かく採点するという方法になるのではないかと想像します。そうなったときに舞踏会の文化をルーツに持つ社交ダンスがまさにダンススポーツとして割り切れるのかという懸念も抱きます。武道である柔道なのか国際的なスポーツであるJUDOなのか、という議論が起きるように。

 

競技ダンスが正式種目にもなっていないのに考えが飛躍しすぎという気もしますが、あながち的外れでもないかもしれません。それはブレイキンは次回ロサンゼルスオリンピックでは種目から外れるのです。ブレイクダンスはアメリカで生まれました。発祥国アメリカはブレイキンを除外し、ベースボール(野球)やラクロスといった球技を追加種目として復活させます。ブレイキンを外す背景には、ブレイクダンスはカルチャーでありスポーツではないという考えがあるとも言われています。そうだとするとブレイクダンスへの強いこだわりがブレイキン種目を外すという一見矛盾した対応に納得できる気もします。日本でいうと剣道が武道であることにこだわりオリンピック種目を目指さないという話のように。

他にもアメリカの報道ではブレイキンは今後オリンピック種目に復帰することはないという意見が出ているようです。

 

ブレイキンの五輪競技復帰は今後も無しと米紙報道「追加したのはバッハ会長とその取り巻き」

 

この報道が現実のものになるのか、またIOCバッハ会長らがブレイキンを強引に正式種目に入れたという内容は事実なのか、それらは私には判断できません。種目採用には政治的な背景があることは伺えますし、これまでの日本国内の状況から実感しています。ブレイキンが今回限りになるのか。そうなったときにその状況はダンススポーツの「スタンダード&ラテン」として競技ダンスが今後オリンピック種目になるチャンスになるのか、あるいは。競技ダンス選手をみている私にとっても注目しているところです。

 

パリオリンピックで正式種目になったダンススポーツのブレイキン。日本人金メダリストが誕生しました。そしてこの先ダンススポーツはどうように進むのか。歓喜の裏に様々なことを考えされられました。

 

甲野 功

 

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