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昨年5月10日に景品表示法が改正されるという報道がありました。
NHKのニュースでは
『
消費者に誤解を与える過度な宣伝を行うインターネット広告などが問題になる中、悪質な事業者に対して行政処分を経ずに100万円以下の罰金を科す規定などを盛り込んだ改正景品表示法が、10日の参議院本会議で可決・成立しました。
改正景品表示法では、ウソや誇大な宣伝を故意に行った事業者に対して、行政処分を経ずに100万円以下の罰金を科す規定や、一定期間内に違反行為を繰り返した場合などには、課徴金の額を1.5倍にする規定などを新たに盛り込んでいます。
また、違反の疑いのある広告の迅速な改善をはかるために、事業者が自主的に改善計画を申し出て認められれば、行政処分の免除を受けられる制度も盛り込まれています。
改正景品表示法は、10日の参議院本会議で可決・成立しました。
改正景品表示法は、公布から1年半以内に施行される予定です。
』
とあります。
昨年令和5年(2023年)5月10日に可決・成立した改正景品表示法。実行に移す施行はそれから1年半以内とされていました。
このニュースを自ら取り上げておきながら忘れていました。単純に昨年5月から1年半後は今年の11月になります。しかし、正確には1年半以内という条件なので今年令和6年(2024年)10月1日から改正景品表示法が施行されることになります。そのことが消費者庁のホームページに掲載されています。
『
景品表示法等改正について
(略)
確約手続等を導入する法改正について(施行日:令和6年10月1日)
不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律(令和5年法律第29号)は、令和5年5月10日までに衆参両院で可決成立し、同月17日に公布されました。
この法律は、一部の規定(※)を除き、令和6年10月1日から施行されます。
(※)一部の規定の施行時期について 改正法第15条第2項(弁明の機会の付与の通知の方式)については、公布の日から起算して3年を超えない範囲(令和8年5月まで)において、政令で定める日から施行されます。
』
改正法第15条第2項(弁明の機会の付与の通知の方式)を除いて今年10月1日から改正された内容の景品表示法が施行されるのです。そのことについて改めて触れます。
まず景品表示法とはという話です。景品表示法は正式名称を「不当景品類及び不当表示防止法」といいます。ここでいう“表示”とは広告全般を指し、看板・チラシ・POPといった物理的なものからCM、口頭での宣伝、SNS投稿、ホームページなど広く示します。誇大広告、虚偽広告を禁止する法律となります。説明ではこの法改正の目的を『事業者の自主的な取組の促進、違反行為に対する抑止力の強化等を講ずることで、一般消費者の利益の一層の保護を図る。』としています。スマートフォンが普及しSNS等がより一般化した現代。広告に関するトラブルが増えています。特に新型コロナウィルス流行時にいわゆるデマ情報が拡散して大小様々な問題やトラブルが生じました。SNSの使い方を含めて広告内容をきちんとしないといけなくなりました。
景品表示法には主に違反事項が3つあります。それが優良誤認表示、有利誤認表示、ステマです。3つ目のステマ(ステルスマーケティング)に関してはつい最近施行された項目で、初めてのステマによる処罰が下されたばかりです。細かい違反事項についての説明はここでは割愛します。次に違反があった場合に下される処罰内容です。それには措置命令と課徴金納付命令があります。前者は景品表示法に違反した表示(広告内容)をしたという事実を周知に告知し、改善措置を行い、再発防止に取り組むようにさせることです。後者はいわゆる罰金にあたる課徴金を納付させるものです。違法広告による売上が高額だった場合に、その売上のいくらかを課徴金として納付するというものです。メルセデス・ベンツ日本に出た課徴金納付命令では億単位の課徴金が出ました。なお処罰が下されると消費者庁がその内容を発表します。それとは別に命令がくだった事業者(企業や団体など)は自ら告知しないといけません。
さて今回の改正事項は3つあります。それが事業者の自主的な取組の促進、違反行為に対する抑止力の強化、円滑な法執行の実現に向けた各規定の整備等です。
概要をまとめたものから抜粋すると以下の通りです。
『
主な改正事項
1 事業者の自主的な取組の促進
■確約手続きの導入
・優良誤認表示等の疑いのある表示等をした事業者が是正措置計画を申請し、内閣総理大臣から認定を受けたときは、当該行為について、措置命令及び課徴金納付命令の適用を受けないこととすることで、迅速に問題を改善する制度の創設(第26条~第33条)
■課徴金制度における返金処置の弾性化
・特定の消費者へ一定の返金を行った場合に課徴金額から当該金額が減額される返金措置に関して、返金方法として金銭による返金に加えて第三者型前払式支払手段(いわゆる電子マネー等)も許容(第10条)
2 違反行為に対する抑止力の強化
■課徴金制度の見直し
・課徴金の計算の基礎となるべき事実を把握することができない期間における売上額を推計することができる規定の整備(第8条第4項)
・違反行為から遡り10年以内に課徴金納付命令を受けたことがある事業者に対し、課徴金の額を加算(1.5倍)する規定の新設(第8条第5項及び第6項)
■罰則規定の拡充
・優良誤認表示・有利誤認表示に対し、直罰(100万円以下の罰金)の新設(第48条)
3 円滑な法執行の実現に向けた各規定の整備等
■国際化の進展への対応
・措置命令等における送達制度の整備・拡充、外国執行当局に対する情報提供制度の創設(第41条~第44条)
■適格消費者団体による開示要請規定の導入
・適格消費者団体が、一定の場合に、事業者に対し、当該事業者による表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の開示を要請することができるとともに、事業者は当該要請に応ずる努力義務を負う旨の規定の新設(第35条)
』
この内容については昨年紹介しています。改めて注目するのが2つめの<違反行為に対する抑止力の強化>です。その内容は更に2種類あります。
<課徴金制度の見直し>では課徴金を計算する際に、事実を把握できない期間でも売上額を類推できる規定を整備するとしています。そして過去10年以内に課徴金納付命令を受けた場合は課徴金納付額を1.5倍に加算するとしています。これはより課徴金を取っていくという姿勢がみられます。大企業に対してのものだと思われます。10年というのはかなり長い期間だと感じます。先に挙げたメルセデス・ベンツ日本はまた10年以内に課徴金納付命令が出るとしたら5割増しの金額になってしまうという事。相当厳しく再発防止を図らないといけないでしょう。
そしてこれが一番重要だと私は考えている<罰則規定の拡充>です。優良誤認表示および有利誤認表示に対し“直罰”(100万円以下の罰金)を新設するのです。説明した通り課徴金納付命令はある程度の売上がないと対象にならないのですが、これは優良誤認表示・優良誤認表示に対してなのでその金額は問いません。直罰という名前の100万円以下の罰金を科すということです。優良誤認表示・有利誤認表示による措置命令は比較的小規模な事業所でも過去に出ています。そこに100万円以下の罰金は非常に大きな金額となることでしょう。さらに私の国家資格に基づいた仕事は関連する法律(あはき法、柔道整復師法)があります。それには罰金刑以上の刑を受けた場合はその免許を失効されるという条文があります。これは厚生労働大臣が判断する内容です。きちんと調べていないので分からないのですが、仮に景品表示法違反の優良誤認表示・有利誤認表示により措置命令が下されて直罰がくだった場合、これが罰金刑に該当するのでしょうか。まだ事例がないので何とも言えないかもしれませんがどうなのでしょう。罰金の金額以上に我々の職種では致命傷になります。
今後10月1日から施行される改正景品表示法。直罰が導入されることは業界にとって大きな影響を与えるはずです。より一層クリーンな広告をしていかないといけません。それとは別にこれから「あはき柔整等の広告ガイドライン」施行も控えています。知りませんでした、これくらいは大丈夫でしょう、と楽観視できなくなると考えています。
甲野 功
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