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~日光東照宮の五重塔~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 日光東照宮の五重塔
日光東照宮の五重塔

 

 

ちょうど一年前のこの時期に上の子が移動教室で日光に行っていました。そのことを思い出して今年ように台風にやきもきしなくて良かったねと話ました。そしてその前に子ども達と日光へ旅行をしたことも思い出しました。昨年の1月終わり。雪が降った寒い中、日光東照宮周辺を巡ったものでした。

ちょうどNHK大河ドラマ「どうする家康」の放送があった頃。徳川家康を御祭神とし、お墓のある日光東照宮は大キャンペーンをしていました。その一環なのか普段は見ることができない五重塔も中を観ることができたのでした。今回は日光東照宮の五重塔を紹介します。

 

日光観光ライブ情報局 五重塔

 

五重塔はその名前の通り、5段の塔です。仏塔に分類されます。東照宮は神社ですが五重塔は仏教施設になります。五重に連なる屋根を持ちます。下から地(基礎)、水(塔身)、火(笠)、風(請花)、空(宝珠)からなる5つの世界(五大思想)を示しており、仏教的な宇宙観を表しています。仏塔そのものは古代インドのストゥーパに起源を持ち、中国に伝えられると楼閣建築となります。それが朝鮮半島を経て日本へ伝えられます。他にも七重塔、九重塔、十三重塔など五重塔以外の形式もあります。五重塔は日本各地にあり、有名なところですと奈良県法隆寺の世界最古の五重塔、京都府東寺の日本一の高さを誇る五重塔、東京都浅草の浅草寺の五重塔。またその構造が有名で内部に心柱を釣るし地震に強くしています。この構造は東京スカイツリーにも応用されています。

 

日光東照宮の五重塔は石鳥居をくぐると左手にあり、東照宮入口にあたる表門の手前にあります。慶安3年(1650年)酒井忠勝によって奉納されました。徳川幕府誕生が慶長5年(1603年)で元和2年(1616年)に徳川家康死去。元和9年(1623年)に徳川家光が3代将軍に就任。五重塔が奉納されたのは家光時代の末期です。酒井忠勝は2代将軍徳川秀忠、徳川家光、4代徳川家綱に仕え大老の役職を務めた徳川幕府の重鎮です。その五重塔は文化12年(1815年)に火災に遭い焼失してしまいます。しかしその3年後の文政元年(1818年)に酒井忠進によって再建されました。高さが36m、大きさは一辺が約6mあります。明治41年(1908年)に国の重要文化財に指定されました。

 

その姿は極彩色。日光東照宮らしい緑や赤、青、金色が入った美しいものでした。私は京都東寺の五重塔を見ていますが比べ物にならないくらい色彩が鮮やかです。豪華絢爛。特別公開だったので普段はみることができない周囲を一周できて内部の仏像も見ることができました。内部は撮影禁止ですが外側の彫刻は写真に収めることができました。蟇股(かえるまた)という日本寺社建築における部材があります。2本の水平材の間にあって上に斗を載せる台形の斜辺に繰形をつけたような部材で、蛙が脚を広げた姿に似ているところからこの名がつきました。装飾部材としても用いられるようになります。その蟇股なのですが一階部分のそこに、東西南北の4つの面に「十二支の彫刻」が彫られています。これらは日光の名工後藤正秀が手掛けました。日光東照宮と言えば日暮らしの門と称される細かい彫刻がたくさん施された陽明門が有名です。それに負けないくらい彫刻や装飾が施されているのです。

 

正面にあたる東面には右から寅(虎)・卯(兎)・辰(龍)の彫刻があります。なお初代将軍徳川家康は寅年二代将軍徳川秀忠は卯年三代将軍徳川家光は辰年生まれ。日光東照宮の建築が始まったのはもちろん家康の死後。そして3代家光のときに完成しています。そしてこの五重塔ができたのは家光の時代。偶然にも3人の将軍、そして祖父、父、子の十二支が並んでいるのです。正面である東面にこの彫刻があるのは徳川家康が寅年生まれであることからだと言われています。なお次代、次々代の将軍の十二支も並ぶという。言われなければ気付かないものでしょう。更に寅の周りは、卯の周りは浪(波)、辰の周りは浪(波)と雲があしらわれています。この組み合わせももちろん意味があってのことです。植物、自然物です。

南面は右から巳(蛇)・午(馬)・未(羊)です。この面には各十二支に花があしらわれています。巳には牡丹(ぼたん)、午には躑躅(つつじ)、未には黄蜀葵(とろろあおい)。なお彫刻が無数にある日光東照宮においてつつじと思われる彫刻はこれを含めて4体しかないそうです。

裏側にあたる西面には右から申(猿)・酉(鳥)・戌(犬)の彫刻です。こちらにも植物があしらわれています。申には、酉には、戌には芙蓉(ふよう)。ふようとはアオイ科フヨウ属の落葉低木。

北側は右から亥(猪)・子(鼠)・丑(牛)です。方位を十二支にあてはめると北が子年ですのでこの並びになります。十二支最後の亥と最初の子が並びます。ここも植物があしらわれています。亥には松(大和松)、子には葡萄(ぶどう)、丑にはです。松は徳川の旧姓が松平であることから縁起のよいとされました。

解説文を読むととても興味がわきます。なお日光東照宮にある彫刻で鼠(子)・蛇(巳)・馬(午)のものはこの五重塔以外には存在しないそうです。

 

そして東京スカイツリーも構造を参考にしたという心柱。屋根から吊るされており礎石の穴の中で10cmほど浮いています。地震が起きたときに揺れを振り子のようにして力を逃す役割をしています。特別公開で中がライトアップされて浮いている状態を確認することができました。

 

現代でも通用する、そして現代にも現存する建築物。日光東照宮の中ではあまり注目されませんがここまで派手な五重塔はなかなかないでしょう。他が豪華すぎて目立たない。注目すると面白いです。

 

甲野 功

 

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