開院時間
平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)
土: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)
休み:日曜、祝日
電話:070-6529-3668
mail:kouno.teate@gmail.com
住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202
本日、鍼灸柔整新聞のニュースを目にして驚きました。
北海道柔道整復専門学校が2年後に閉校するというのです。北海道柔道整復専門学校の方も確認しました。
北海道柔道整復専門学校ホームページ>募集停止に伴う閉校のお知らせ
『
北海道柔道整復専門学校 募集停止に伴う閉校のお知らせ
2024年07月26日
公益社団法人北海道柔道整復師会附属
北海道柔道整復専門学校
校長 當瀬 規嗣
教頭 西巻 英男
本校は昭和53年4月学校運営母体である社団法人北海道柔道整復師会の附属校として開校して以来、地域貢献できる柔道整復師、業界の優れた後継者の育成を理念に掲げ、今日まで46年間、柔道整復師の養成を責務、使命として携わり、これまで数多くの優秀な卒業生達を輩出して参りました。
ここ数年、社会的な経済不安、少子化が進む中、学生数の減少や全国的な柔道整復師国家資格取得希望者が減じている実情を踏まえ、併せて本校校舎や諸設備等の老朽化を含め熟慮された結果、令和8年3月末日をもって閉校となりました。皆様におかれましては、このような突然の決定によりご心配やご迷惑をお掛けいたしますこと誠に心痛であり、深くお詫び申し上げる次第であります。
令和6年度の新規入学生の募集は停止となり、それに伴い2年後には閉校となりますが、現在、学んでいる大切な在校生に対しましては、卒業まで従来と変わることなく、現在の教育環境の維持とともに質の高い医療技術の提供ができる専門職養成教育機関としての使命を全うし、責任をもって社会に送り出すよう教職員一同、今まで以上に注力を注いで、学生一人ひとりに丁寧な教育支援を行って参る所存です。今後とも相変わらずのご支援、ご協力のほど何卒 よろしくお願い申し上げます。
末筆ではありますが、長年にわたるご高誼、ご厚情に心から感謝申し上げますと共に、皆様方のご多幸、ご発展を心よりお祈り申し上げます。
令和6年7月吉日
』
このように7月の段階で閉校すると発表しているのでした。正直なところ、驚きました。
私は普段があん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師(総称して「あはき」と呼ぶ)の業務がメインですが柔道整復師(略して「柔整」)の資格も持っています。あはき柔整の4つの国家資格(免許)は全て東京呉竹医療専門学校(当時は東京医療専門学校)で勉強して国家試験に合格しました。東京呉竹医療専門学校はあはき柔整、そして教員養成科ももつ総合的な専門学校となります。晴眼者(視覚障害のない者)の専門学校、大学の多くは鍼灸と柔整の両方を学科に持っています。一方、あん摩マッサージ指圧科のみ、鍼灸科のみ、柔整科のみという単科の専門学校も少数ですが存在します。北海道柔道整復専門学校は数少ない柔整単科の専門学校です。
そして北海道柔道整復専門学校は“伝統校”であります。伝統校とは業界の通称で平成12年(2000年)よりも前からある養成学校を指します。2000年以降に創立した学校を“新設校”と呼んでいます。なぜこのような区分をしているかというと柔道整復師の養成施設新設には規制がありました。申請を出しても国が通さなかったのです。それを福岡裁判あるいは北九州裁判と言われる裁判で国(旧厚生省)が敗訴して柔道整復師養成施設を新たに設けることが解禁となります。よって2000年以降、柔道整復師専門学校及び鍼灸専門学校は爆発的に増えていくことになります。つまり新設規制前からある学校が伝統校、解禁後にできたのが新設校というわけです。伝統校というくらいですから設立してから時間が経っていて老舗であります。この北海道柔道整復専門学校も昭和53年(1978年)創立で46年の歴史があります。
柔整単科でかつ伝統校の閉校。柔道整復師としては衝撃です。伝統校でも閉校していくのかと。
私は北海道に行ったことがありません。本州の最北端は青森県までです。直接、北海道柔道整復専門学校のことは知らないですし、卒業生や関係者にも会ったことがありません。しかしこの業界のことはずっと調査しているので北海道に伝統校があることは前々から知っていました。鍼灸の方は北海道に伝統校はありません。そして(晴眼者向けの)あん摩マッサージ指圧師養成校は未だに北海道には無いのです。そうやってみると柔整は古くから北海道に根付いていたと言えるでしょう。客観的な情報から状況を推察してみます。
現在、北海道にある柔道整復専門学校は4校あります。以前はあったが閉校してしまった学校もあります。学校名(所在地)、設立年、運営の順番で記載しています。
・北海道柔道整復専門学校(札幌市)、昭和52年(1978年)、公益社団法人北海道柔道整復師会
・北海道ハイテクノロジー専門学校(恵庭市)、平成14年(2002年)、学校法人滋慶学園
・札幌青葉鍼灸柔整専門学校(札幌市)、平成16年(2004年)、学校法人札幌青葉学園
・札幌スポーツアンドメディカル専門学校(札幌市)、平成27年(2015年)、学校法人三幸学園
見ての通り北海道柔道整復専門学校は他校に比べると特に古いです。そして学校法人ではなく公益財団法人北海道柔道整復師会が運営をしております。
北海道ハイテクノロジー専門学校は一度新しい学校が独立するも閉校し、本体が残っている状況です。全国に学校を展開している学校法人です。
札幌青葉鍼灸柔整専門学校は先に鍼灸専門学校として設立されて後で柔整科が加わり校名が現在のものになりました。
札幌スポーツアンドメディカル専門学校も柔整以外にも複数種類の学校を展開している学校法人が運営しています。
広大な北海道に4校しかないのか、あるいは、4校もあるのか。時代によって意見は変わることでしょう。21世紀の初頭は柔整専門学校が渇望されていました。全国で学校が増えて国家試験受験者数もどんどん増えていきました。私が柔整国家試験を受けた頃(2011年3月開催)がピークに近い受験者数でした。その後、バブルが弾けるように受験者数は減少していき、専門学校も減っていきます。北海道柔道整復専門学校の新卒受験者数を見てみましょう。
第26回(2018年3月実施) 43名
第27回(2019年3月実施) 47名
第28回(2020年3月実施) 24名
第29回(2021年3月実施) 28名
第30回(2022年3月実施) 19名
第31回(2023年3月実施) 15名
第32回(2024年3月実施) 20名
この通り第29回で新卒受験者数が大幅に減少します。新卒受験者とはいわゆる現役生で専門学校3年生の受験者です。成績が届かず受験要件を満たしていない学生がいることを考えるとこの人数よりも3年生は多いでしょうが、それでも人数が減りました。その後新卒受験者数は回復していないことが数字で分かります。要因の一つとして考えられるのはやはり新型コロナウィルス。特に北海道は東京よりも先に独自の緊急事態宣言を出して対策を取りました。2020年3月第一週に行われた第28回国家試験の受験を辞めた生徒がいるのかもしれません。時期的に東京よりも緊急度が高かったです。母校もそうですが新型コロナウィルスによる行動規制を契機に専門学校を退学する生徒はいたそうです。新型コロナウィルスの影響はあったのではないかと私は思いました。
そして北海道にある柔整専門学校は3校が札幌市です。土地勘が全くないので分からないのですが、広い北海道で競合しているのではないかと思いました。生徒の取り合いになっているのではと。新しく学校ができている地域がありますが、全国的に生徒集めに苦労しており柔整養成施設は減ってきています。そもそも日本は少子化が進行していますからジャンルを問わず学校運営は厳しいわけです。伝統校で言えば、日本で最初の柔整専門学校であった大阪行岡医療専門学校長柄校が柔整科を閉じてしまったことも衝撃的でした。あの行岡が、という気持ちでした。大阪行岡医療専門学校長柄校は別の科があり存続しています。北海道にある他の3校も柔整科以外の科があります。北海道柔道整復専門学校は柔整科単科であったことが経営面で苦しくしたのかもしれません。
北海道柔道整復専門学校のコメントにある通り、社会不安、少子化、柔整資格希望者減少がありました。そこに施設の老朽化も重なった上での結論。柔整業界における大きなニュースだと私は驚きました。
甲野 功
コメントをお書きください