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~西尾琉璃 個展 黎明~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 西尾琉璃 個展 黎明
西尾琉璃 個展 黎明

 

 

昨日は縁のあるアーティストKanako Yamaguchi(以下、Kanakoさんと表記)さんの作品を観に浅草まで行ってきました。Kanakoさんは武蔵野美術大学卒のフォトグラファー。学生競技ダンス連盟出身で大学では競技ダンス選手でした。私は東京理科大学在学時に学生競技ダンスをしていました。理科大の後輩の知り合いで当院のホームページに載せる写真撮影の際に手伝ってもらった過去があります。今でも当院で使用している写真の何枚かは学生時代のKanakoさんが撮影し、またモデルとして映っています。そのKanakoさんが個展を開いたのが今年6月のこと。会場は自宅からほど近い江戸川橋。Kanakoさんは撮影した写真に絵具を加えるという作品を製作しています。それを知り、写真撮影も絵を描くのも好きな長女に見せたいと思い、連れていきました。今まで見たことのない技法による作品と直接Kanakoさんと会い、初めてアーティストを目の当たりにする経験から長女は影響を受けたものでした。真似て1枚自分でも描いていました。

 

そのKanakoさんがまた作品を出すと知ります。場所は浅草。前回よりも遠くなりますがとても遠方ではありません。また長女を連れて行ってみようと思い、長女を誘っていました。色々と都合が合わず、日曜日の午前中に残念ながら一人で観にいくことになりました。(※後々長女がいなくて良かったかもと思いました)

 

場所は浅草ブレーメンハウス仲見世商店街の目抜き通りから裏道に少し入ったところでした。イベント名称は『西尾琉璃 個展 黎明』。実は事前に場所と時間しか確認しておらず、どのような個展なのかは分からないまま向かいました。行けばKanakoさんの作品があるだろうし、本人も在廊しているようだと。名称が『西尾琉璃個展』というのは何故なのだろうという疑問ももちませんでした。西尾琉璃さんとは誰かも考えずに。

自転車で浅草に着き雷門の横から会場の浅草ブレーメンハウスへ。場所はマップで分かるのですが観光客が多くて進みづらいのです。日曜日。予想通り、大勢のインバウンド。表道ではないのに凄い混雑です。オーバーツーリズム(観光公害)が問題視されていますが、コロナ禍で閑散とした浅草仲見世通りを知っているので混雑している方がましだと外側からは考えてしまいます。人をかき分けて到着しました。

浅草ブレーメンハウス。古民家を改装した貸しギャラリー。まず会場が想像以上に面白かったです。古民家でネジ式の窓。曇りガラス。現在の建築基準法では許されない急な階段。へこんだ畳。時代の割に高い天井。昔の家具類。よく再開発に巻き込まれず残っているなと感心します。昭和52年生まれの私にはギリギリ経験のある、記憶のある感じの内装です。その会場を活用して展示されています。

 

色々と解説してもらって分かりました。西尾琉璃さんというモデルがいて、6名のアーティストが彼女を題材に作品を製作して展示しているのでした。西尾琉璃さんは被写体。6名のアーティストのうちの一人がKanakoさんでした。そしてKanakoさんが6月に開いた個展『絵具の滑走路で逢いましょう』で作品のモデルを務めていたのが西尾琉璃さんでした。作品の技法やKanakoさんに注目していて同じ被写体だったことに気づいていませんでした。西尾琉璃さんをそれぞれどのように表現するのか。それがこの個展のキモでした。

 

まず主目的のKanakoさんの作品を探しに。会場の浅草ブレーメンハウスは2階建てでKanakoさんの作品は2階にあるようでした。手摺を持たないと上るのが大変なくらいの急な階段を上って和室へ。Kanakoさんがいて彼女の作品がありました。展示方法が凝っていて壁に曇りガラスの戸が閉まっていて、それを開けると作品が見られるというものでした。戸のガラスは曇っていて透明ではありません。しかし、その奥に何かがあるのかは分かります。開けると西尾琉璃さんが旅館で撮影された写真、そこに岩絵の具で日本画の技法で手を加えられたKanakoさんの作品が複数あります。畳の座布団に座ります。すると正面を向いた西尾琉璃さんの写真が目の前にあり、写真の西尾琉璃さんと目が合うというもの。写真は和紙にプリントされています。加える絵具は石を砕いて作る岩絵の具。今回は原画を展示しているので絵具の凹凸が分かります。また写真はパネルして厚みがあり、縁にも絵具が塗られています。そのため座って見上げる、立って見下ろすと見る角度によって縁の違いが出ます。モデルの西尾琉璃さんは下着姿だったので長女と一緒でなくて良かったと思いました。

 

撮影場所は旅館。昭和の雰囲気があるロケーションでありながらモデルは令和的な顔つき体つき。そこに衣装、絵具。江戸時代の妖怪図を意識したような絵や模様が加えられています。その技法は日本画。Kanakoさんは大学で日本画専攻でした。現実には存在しない花が西尾琉璃さんの前に浮き出ている。不思議な感覚を覚えます。実写にアニメーションを加えているようでそうではない。間違いなくアナログで生成AIでは作れない質感。写真、絵画という2次元情報でありそうで、絵具の凹凸やパネル立体感がある3次元の作品。Kanakoさんは学生時代に彫刻も制作していたというので納得できました。

 

更に絵具を載せていないポラロイドも会場の色々なところに貼っていました。階段の途中に貼っていてその写真に誘われるように2階の和室に辿りつく。閉じられた戸の横に貼られたポラロイドでこの先に本編があると知る。和室の片隅にある箪笥の戸棚を引くと写真が入っている。棚には撮影で使用した装飾品が展示してある。説明されて気付きました。戸棚にはポストカードの原本、絵具がのったものが入っていました。会場からインスピレーションを得て作成したそう。Kanakoさんの様々なこだわりを感じました。

 

撮影についても興味深いことを知りました。Kanakoさんは西尾琉璃さんと話し合いコンセプトをすり合わせて撮影したそうです。昭和時代を体験したことがない若い女性が大正~昭和のテイストで撮影をする。それを昭和末期を経験している私が見る。感じ方が違います。会場でKanakoさんと話をしてこちらの感じることと彼女たちが表現したかったものがどうなのかを答え合わせするような。制作秘話もたくさん聞けて、その上で再度作品を観ると印象が変わります。

 

Kanakoさんに言われて被写体が全て同一人物だと知り、その視点で作品群を見直しました。同じ人とは思えないくらいアーティストによって表情が違います。その中で気になったものを幾つか紹介します。

 

明星』というタイトルで長野県の山で撮影したゆかさんの写真作品。デジタルではなくフィルムで撮影したといいます。私は世代的にフィルムカメラを使っていたのでその面倒くさいことが分かります。敢えてそれを選ぶ。デジタルなら何万枚も撮影できてすぐにモニターで確認できます。フィルムは36枚撮りならそれ以上撮影するならフィルム交換をしないといけないですし現像しないとどう映っているか分かりません。また朝日が昇る山中で撮影したといいます。日が昇ることで光がどんどん変化していきます。私は高校時代に山岳部で小学生の頃は多くの山を登ったのでその状況が想像できます。まさに1分1秒、刻々と変化していく中、フィルムカメラの撮影は苦労したことでしょう。何より器材を持っていくのが本当に大変だったでしょう。その分、雲海を背にした気取らない姿を写真に納めていました。自然光ならではの光加減。撮影背景が予想できることで感心していまします。

 

フォトグラファーMutou Yuusukeさんの『炎舞』。大きな写真作品で赤い薄手のショールを用いています。暗い背景、黒の和服、濃いメイク。1枚の芸術作品として単独であり、ショールが舞うことでぼやけて炎のような霧を纏っているような写真になっています。とにかくカッコいい。今は写真をスマートフォンやパソコン、タブレットで見ることが多くなっています。印刷した写真を見る機会がない。紙に印刷し、かつそれを大きく引き伸ばしたときに写真の良し悪しがはっきり出ます。画素数はもちろん、ピント、構図、印刷技術。スマートフォンで見る分にはいいが引き伸ばしてみると見るに堪えないということはよくあります。縦1mくらいの大きな作品で迫力がありました。拡大されるので文字通り細部までこだわったのでしょう。メイク、衣装、小物、ライティングを含めてプロでないとできないものだと思います。

 

イシハラダイキさんの作品『黎黒』。ハガキサイズの写真がたくさんあります。上半分はモノクロ。下半分はカラー。カラーは熱海の港町で撮影されています。西尾琉璃さんが映っていない風景だけのものもあります。詳しくは明かしませんがその時のモデル、フォトグラファーの心境が現れている、表しているのだとか。西尾琉璃さんは喫煙をしないそうですが敢えて煙草を持った姿。港の風景。モノクロにした理由。イシハラダイキさんに話を撮影秘話を聞くと印象が変わります。所見での感想は邦画のようだと私は思いました。私は専門学校時代にたくさんの邦画をみていました。多いときで週に4本。無数の写真は西尾琉璃さん主演の映画を観ているような。映画のパンフレットのような。女優を感じました。実際に映像作品にも西尾琉璃さんは出演しているそうで。本当に見え方が違うなと思いました。

 

そして受付に西尾琉璃さん本人がいたのでした。入ったときは綺麗な女性がいるな、アイドルかなと思いつつもKanakoさんの作品を観ればいいと頭にあって気にしていません。色々知って被写体の女性が受付にいるのだと分かり。作品の中にいる姿と現実に動いている姿が一致しなくて不思議な気分です。動画や映画で台詞や動きがあるものを見ていたらまた違ったのかもしれません。今まで経験したことないことだったなと思います。日常ではほぼ関りのない芸術作品と触れた半日でした。この体験を少しでも長女に伝えようとポストカードを購入しました。会場内撮影禁止だったので雰囲気が少しでも分かるように。やはりできたら会場に長女を連れていきたかったですし、アーティスト本人に会わせてあげたかったです。私自身にとっても凄くいい体験でした。

 

甲野 功

 

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