開院時間
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先日は京都に行ってきました。京都のお土産というとたくさんありますが、トップに来るのは生八つ橋ではないでしょうか。今回も身内にお土産として買って帰りました。古くからあり、スイーツとしてもいけるもの。その八つ橋と関わりがあるのが京都熊野神社です。
<京都 熊野神社>
この京都熊野神社。本当に偶然見つけたのでした。昨年平安神宮を目指して歩いていた時に見かけた小さな神社。京都は神社、お寺が山ほどあり、有名なところがたくさんあります。失礼ながらこの神社を知らなかったのです。住宅地の平地にあり、境内も大きくない。熊野神社とありますが、熊野神社自体は全国に点在しているよくみかけるもの。ちょっと見ておこうかと眺めてみると。八ツ橋発祥之地の石碑があるではありませんか。あの八ツ橋はここで?興味が湧き参拝しました。
京都熊野神社は弘仁2年(811年)、修験道の日圓上人が国家護持のために紀州熊野大神を勧請したのが始まりです。既に述べたように熊野神社は全国にあります。京都には京都三熊野と呼ばれる神社があり、それがこの京都熊野神社、新熊野神社、若王子社です。その京都三熊野でも最古の社が京都熊野神社です。寛治4年(1090)に白河上皇の勅願により創立された聖護院は当社を守護神として崇められ、別当職を置いて管理しました。応永3年(1396年)、室町幕府第3代将軍足利義満から広大な社地を寄進されます。その境内はなんと鴨川に至る広大なものでした。歴代天皇からも崇敬されていいました。しかし応仁の乱により社殿は焼失してしまい衰退します。江戸時代に入った寛文6年(1666年)、聖護院宮道寛法親王は令旨を下し再興されます。江戸時代末期の天保6年(1835年)にも大修造が行われます。この時、賀茂御祖神社(下鴨神社)から譲り受けたものが現在の本殿です。あの下鴨神社から移築したものとは。下鴨神社は上賀茂神社と並ぶ京都でも格式の高い神社です。1912年(大正元年)の京都市電丸太町線の開通、次いで1926年(大正15年)の東大路通の拡幅によって境内が狭くなってしまいます。
御祭神は原初の夫婦神である伊弉諾尊(いざなぎのみこと)・伊弉冉尊(いざなみのみこと)、二人の御子神である太陽神天照大神(あまてらすおおみかみ)、そして速玉男尊、事解男尊です。ご利益は縁結び・安産・病気平癒・鎮火。いちど戦災で焼失していますし。節分の日に「火の用心のお札」を受ける風習が古くからあります。
最初の述べたように八ツ橋との関りが深いのがこの京都熊野神社。境内には八ツ橋中興の祖、西尾為治の像があります。平安遷都1200年記念により建立されました。ここで京都の銘菓八ツ橋について説明しましょう。八ツ橋が誕生したのは江戸時代前期の元禄2年(1689年)の頃。箏の名手であり作曲家でもあった八橋検校にちなんだもの。「検校」というのは視覚障害者(当時は盲人といった)の階級で、検校は最高位です。私の仕事は按摩、鍼と江戸時代以前から視覚障害者の生業としてわが国にありました。ですから検校の役職に就く人と言えば杉山和一検校がよく知られています。杉山和一は鍼の名手として知られております。八橋検校は「六段の調べ」など数々の名作を生み出し、近世筝曲の開祖と称えられています。箏の名手というと当院のすぐ近くに山瀬松陰という人間国宝、文化勲章の称号を持つ先生がいらっしゃいます。この方も視覚障害者(盲人)の山瀬検校(山田流山瀬家)からの流れです。八橋検校の死後もお墓参りに訪れる人は絶えることがなく、琴に似せた干菓子を「八ツ橋」と名付けで聖護院の森の茶店にて販売し始めるのです。この茶店があった場所が現在の「聖護院八ッ橋総本店」にあたるのです。八ツ橋を販売するお店ですね。
八ツ橋は琴の形?と思った人も多いのではないでしょうか。現在よく売られているのは生八ツ橋。形は三角形です。もともとの八ツ橋は固く、琴の台座のような細長い瓦のような形状をしているのです。堅焼き煎餅です。それを蒸し終えて薄く伸ばした生地をそのまま一定サイズに切り出したものが生八ツ橋で1960年代に発売開始します。私は生八ツ橋が本来の八ツ橋だと思っていました。
八ツ橋を、京都を代表する銘菓に押し上げたのが西尾家12代目の西尾為治です。京都熊野神社の境内に像がある。彼は改良を重ねて明治から昭和初期にかけて八ツ橋を世界の博覧会に出品します。明治22年(1889年)のパリ万博では銀賞を受賞。世界的に評価させる銘菓にしました。そのため「中興の祖」と称されます。
熊野神社で下鴨神社と関係が深く、八ツ橋発祥の地。色々とエピソードが多い京都熊野神社。有名な神社が多い京都ではあまり知名度がないですが興味深い神社です。八ツ橋が好きな方は訪れておきたいところです。
甲野 功
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