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昨日は鍼灸専門学校2年生の学生さんが教員養成科について聞きに来ました。
鍼灸専門学校に通う2年生。専門学校は3年制なのであと1年半くらいで卒業です。実際には2月最終週の日曜日にはり師・きゅう師国家試験が開催されます。それに合格することが専門学校の最大の目標といえます。国家試験は座学のみで、多くの学校が10月から12月くらいで卒業認定試験を行い、その後は国家試験対策に専念します。それよりも前に卒業後の進路を考えていく必要に迫られることでしょう。進路の一つとして教員養成科進学もあると思います。
今回参加した学生さんはSNS上での疑問に私が回答したことからです。何かの拍子に教員養成科という存在を知り実態を知りたくなった。そのような投稿があったので私がいくつか条件を重ねながら回答をしていきました。私も自分が教員養成科進学を考えたのは柔道整復科時代の同級生からの体験談を聞いたからでした。何回かやり取りをして時間をとってきちんと説明しましょうという話になり場を設けたわけです。そしてもう一人。こちらは10月に行われた「鍼灸学生&プレ学生BBQ交流会」で出会った鍼灸学生さんです。話をしてみて教員養成科に興味があるということでした。既に決定が決まっていた話をする場に興味があれば参加しませんかとお声掛けをして参加したのでした。一人は当日初めてお会いし、もう一人は2回目でした。
過去に教員養成科について進学希望者に向けて話をしたことがあります。そのときに資料をしっかり作っておいたものを少し改良しました。ちょうど母校である東京呉竹医療専門学校鍼灸マッサージ教員養成科の1次日程入学試験が終わったところ。入試に臨んだ方と会いましたし、9月に教員養成科で特別授業をしたところ。情報を追加しておきました。
当日はまず私のこれまでの経緯を紹介しました。生い立ちや学歴、職歴など。毎回初対面の参加者に行うようにしています。これは話す人のバックボーンと主義・思想が分かっていた方が好ましいと考えるからです。鍼灸という共通項がありますが、私は鍼灸師以外にあん摩マッサージ指圧師、柔道整復師でもあります。もっと言えば身内に鍼灸師がいない一般家庭で育ち、大学卒業後に一般企業に就職しています。そこから突如この業界に進むもうと行動しています。これが親や親類が鍼灸師である家庭の人だと前提条件が違います。また既に鍼灸以外の医療資格を取得している方でもそうです。どのような経緯で今に至るのか。それを知ってもらった上で話を聞いてもらいたいのです。
私に続いて参加者の自己紹介をしていだたきました。なぜ鍼灸師を目指しているのか。そして教員養成科になぜ興味があるのか。卒業後の不安や展望。そういったことを話してくれました。こちらが自己開示をすると相手もしやすくなります。事前に参加者の考えを知っておくことで関連するエピソードを交えて話すことができます。
本題へ。まず教員養成科の基礎知識。そもそも教員養成科とは何かという話。教員養成科とはあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師のいずれか、あるいは全ての国家資格免許を取得した者が入学できる、同養成施設の教員になるための学科です。専門学校の教員になるための学校が現在4校。視覚障害者向けの視覚支援学校の教員になるための学校が1校あります。私が出たのが東京にある現・東京呉竹医療専門学校鍼灸マッサージ教員養成科。他に東京に東京医療福祉専門学校、そして大阪に2校、教員養成科があります。視覚支援学校向けの教員養成科が筑波大学理療科教員養成施設となります。
私の母校である東京呉竹医療専門学校の教員養成科は40年以上前に旧校名の東京鍼灸柔整専門学校時代に日本初の教員養成科として設置されます(後に校名を東京医療専門学校、そして現在の東京呉竹医療専門学校に変更していきます)。当然ながら他校教員養成科の詳しい情報がないので東京呉竹医療専門学校教員養成科のことが中心になっていきます。現在の入試情報、募集要項・入学条件・学費など。先日学校事務にいって冊子の募集要項をもらってきたので参加者に渡します。来年度入学の募集要項なので2年後は変更があるかもしれないという注意のもと。ここら辺はホームページを見れば得らえる情報です。
ここから私の体験談に入ります。実際にどのような事情で入学したのか。在学中2年間をどう過ごしたのか。何があったのか。卒業してどうなったのか。ちょうど今年は東京医療専門学校鍼灸マッサージ教員養成科を卒業して10年。その後を語るのには十分な時間が経ったと思います。もちろん当時と今は状況が異なっていることを確認した上で当事者の生の声を届けようと思いました。
私が入学したときは同年の1月に長女が生まれたとき。家庭状況としてはかなり無理がある状態でした。一人目の赤ちゃんがいながらまた学生になる。それも拘束時間が長いという。どうして教員養成科進学を選択したのか。そして実行したのか。結構このような話が重要です。それは参加した学生さんも各々置かれている状況があります。行きたいからまた2年学校に行こうと簡単に決められないこともあるわけです。東京呉竹医療専門学校教員養成科は10年間の修業を2年間ですると謳う、実践教育を売りにしています。単に教員免許が取れますよというわけではなく、「“食える鍼灸師”を育成する」をモットーにしています。その上で教員としての学習、そして研究もする。かなり高度な授業内容です。特に東京理科大学を出ている私でも生理学実験の授業は大変でした。午前中いっぱい実験をしてレポートを作成し次週までに提出。課題もあります。他には1年間かけて取り組む卒業研究。課題選定、先行研究調査、実験(研究)計画作成、研究、統計処理、考察、抄録作成、論文作成、発表資料作成、発表まで最初から最後まで行います。この経験は人生においても貴重なものでした。
自身のことを語ったあとは現在の東京呉竹医療専門学校教員養成科の紹介です。今年の夏に代々木から四ツ谷の校舎に引っ越してきました。ちょうど新しい施設を見学することができたので参加者に伝えることができました。現2年生は授業で会っているので学生の年齢層がだいたい分かります。既に触れたとおり来年度入学者向け入試のことも受験者から聞いていたのでどのような様子かも話しました。
その上で私が考える東京呉竹医療専門学校教員養成科を卒業するメリットと入学するデメリット、双方の意見を述べました。完璧なところならば誰も迷うことはないでしょう。デメリット(障害となること)もしっかり伝えました。学費はかかります。学費以外にも2年間の諸費用もかかります。拘束時間が長いので仕事をして収入を確保することは大変になります。
これらの情報、意見を参考に進路を考えてくださいと伝えました。まだ2年生なので進路決定まで時間があります。少なくとも個別学校見学に行って足を運んで自分の目で見ましょうと言いました。そして質疑応答や参加者同士の意見交換、座談会のような時間を過ごしました。
私の場合は実際に進学した元同級生の声が進学理由でした。それが無かったら存在は知っていても(当時は柔道整復科と教員養成科は同じ代々木校舎だったので柔道整復科学生の3年間で教員養成科のことはよく見ていました)、本当に進学を決断したかは分かりません。学校見学もしなかったのです。他校であればなおさら分からないでしょう。今回縁があって参加した学生さんが2年後どのような進路を選択しているかは分かりませんが今回のことが参考材料になることを願います。
甲野 功
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