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~S&Tの可能性~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 S&Tパネル
ALL JAPAN S&T championships パネル

 

 

今週の月曜日はザ・プリンスパータワー東京のコンベンションホールで行われた「第3回 All JAPAN S&T Championships Supported by つきじ喜代村すしざんまい」(以下、S&T)に出店ブースで参加しました。前回はそのことを書きました。今回は参加者としてこのイベントについて書いていきます。

 

大学で出会った学生競技ダンス連盟(通称、学連)の世界。人生に大きな影響を与えて、今もそれは続いています。東京理科大学を卒業後、半導体商社に新卒で入社した私は大学生活からは大きく違う会社員生活に辟易としていました。それだけ大学の学連生活が充実していたというか情熱を燃やしていたというか。会社員になってからストレスからなのか体調を崩しがちになり、社会3年目には麻疹にかかり入院することに。点滴を9日間打たれて病室で天井を見上げながら今後の人生を真剣に考えました。社交ダンス関連の仕事をしたいなと、というより今の会社を辞めて別の世界に行きたいと願いました。残念ながらプロとしてやるだけの能力が無いことは分かっていました。先輩、同期、後輩と多くの周囲にいる者がターンプロといってプロの世界に飛び込みました。みんな学生時代のトップ選手でした。一方、大学の合宿で部員をマッサージして喜ばれた体験が印象強く、高校生の一時期はスポーツ医学を学んでトレーナーになりたかったことを思い出します。競技ダンス選手をサポートする側になりたいと考え、今の仕事に進むことを病室で決意します。24歳の5月でした。

 

あれから20年以上時間が経って、S&Tに、同じく学連卒のあん摩マッサージ指圧師の先生2名と一緒にマッサージブースを出店したのでした。競技ダンス選手はもちろん、S&Tに出場した生徒さんや同じく出店していたダンス関連ブースの店員さん、ダンス教師などを会場でマッサージ(正確には按摩指圧)しました。学連時代を一緒に過ごした同世代の方がプロになりS&Tを主催する側にいました。同世代のプロ達は、現役選手もいますが多くは引退し後進の育成と業界の発展を考えて動いています。四半世紀以上関わってきた社交ダンス業界。そこで同世代が生み出したS&Tというイベントを現場で体感したのでした。

 

社交ダンス業界は岐路に立たされています。もうずっと前からですが社交ダンス人口が減少し続けていると言われています。日本の人口が減少していくのですからそれは自然のことではあるのですが、私がダンスを知った20世紀の頃と状況はかなり変わりました。そこに2020年に起きた新型コロナのパンデミック。約4年間続いたコロナ禍は社交ダンス業界の衰退を加速させたと言えるでしょう。3密回避といって他人同士が密着する、大勢が密集する、閉鎖空間を避けるということが叫ばれたコロナ禍。社交ダンスはそれを満たすもの。特に横浜の豪華客船で起きた日本最初の集団感染(クラスター)は社交ダンスによって起きたと報道されました。2020年の春頃から非常に印象が悪くなりました。東京都及び全国に緊急事態宣言が出されて飲食店を筆頭に多くの業種に休業要請が出され不要不急の外出を推奨されることになります。社交ダンス教室も休業。ダンスパーティーは中止・延期。競技会も行われなくなりました。2020年は学連でも史上初の全日本選抜戦が不開催でした。春前に行う考えもありましたが結局叶わず。東京オリンピックですら1年の延期を余儀なくされました。社交ダンスの競技会はもちろんのこと。

その後もコロナ感染は長引き中々コロナ前のようには戻りませんでした。柔道や相撲、レスリングがマスクなしで試合をする中、競技ダンス、社交ダンスはかなり長い期間マスク着用で行っていました。見た目を重視する審美スポーツであるのに顔を隠すという。2020年以降、私が知るだけでも決して少なくないダンス教室が閉鎖あるいは規模縮小となりました。あの老舗が。あの有名な先生が。学連も新入生歓迎が行えず、また以前のような会食で入部を促すという手段が行えず、部員数は激減し、多くの大学で競技ダンス部が無くなりました。東部日本ブロックでは東京電機大学、東洋大学、工学院大学、神奈川大学など。現在プロで活躍する選手を輩出してきた大学。共同加盟校を入れるともっとあることでしょう。

 

一方、コロナ禍による苦境は社交ダンス業界の変革を大きく進めました。現在は当然となっているライブ配信。分かりづらかった大会の入場。SNSでの情報発信。ひと昔前は肖像権を盾にSNSでの投稿を禁止していた社交ダンス業界。最もよく見られている社交ダンスは学連だという話もあったくらいです。IT化が遅れていた部分が飛躍的に進歩したと言えます。

コロナ禍以降増えたのがプロアマ戦と言われるもの。それまでプロフェッショナル部門、アマチュア部門と明確に分かれていたところに、プロの先生とアマチュアの生徒が組んで競技会に参加するという形式です。社交ダンスから競技へ。競技となると真剣度が増してハードルが高くなります。学連のように最初から競技ダンスである世界は特殊で、多くは社交ダンスから始めて上達していくと競技の方に進んでいきます。先生としか踊らない。他人と組んで時間を掛けて競技に取り組む暇やモチベーションがないという方にも競技会を体験できます。社交ダンス愛好家が人前でダンスを披露するとなるとパーティーでデモンストレーションをするというのが従来のやり方でした。先生と振り付け、音楽を決めてリハーサルをして。ホテルの会場で参加者の前で披露する。このようなスタイル。アマデモ(アマチュアデモンストレーション)と言われます。参加者の声によるとアマデモよりプロアマ戦の方が価格が安いと言います。アマデモだと出場するのに1曲いくら。ランクがあって照明効果が付いて長めだと高単価になる。それがプロアマ戦だとそれより安くなるといいます。競技は選手にとって日常のこと。曲を決めて(更に編集をして)、振り付けを作ってそれを覚えて行うより先生にとっての負担は少ないでしょう。この取り組みは先に学連OBOG戦でコロナ前から行われたと記憶しています。学連OBOGの先生とその生徒さんも学連を出た人間が集まる競技会に出場できるようにしたのです。プロアマ戦は大ヒットし、日本インターナショナルという国内最大規模の競技会では例年2日間開催されるのですが、2年前は丸1日をプロアマ戦にしました(この時は日本インターナショナルアマプロダンス選手権大会という名称)。日本武道館で一日プロアマ戦をするという。コロナ前では考えられないことでした。近年のヒット企画だと言えるでしょう。

 

このS&Tも生徒(student)と教師(teacher)なので厳密にはプロアマ戦とは異なるのかもしれませんが大きくは同じカテゴリーに入ると思われます。プロの先生とアマチュアの生徒が同じフロアーに立って競技をするという点で。しかしS&Tはそれ以上の、既存の社交ダンスパーティーを超えているというのが参加した私の感想です。長くなりましたがここから本題です。

 

S&Tはレストラン型ではなく、バーベキュー型のイベントであると言えます。どういうことかというと外食をするということは同じでも席に座って全てお店側がしてくれるレストランと、自ら食材を調理して食べるバーベキューでは、体験内容が異なります。自分ではできないプロの料理を洗練された空間で楽しむのがレストラン。一方、自分たちで火を調整して調理する(場合によっては場所の確保、設営、食材・器材等の調達、後片付けまで全て行う)バーベキュー。屋外で寒かったり暑かったり。風で灰や埃が食べ物に付いて。焼きすぎて焦げたものもある。場合によってはひどい有様の料理も食べることになる、それがバーベキューです。バーベキューは参加する、仲間と一緒に行う、という体験を楽しむものといえるでしょう。

既存の社交ダンスパーティーはレストラン型。規模によりますが一流ホテルを会場に、きちんとしたコース料理を食べつつ、最終的にプロのデモンストレーションを観賞して終わる。もちろんアマデモとして参加したり合間のダンスタイムで踊ったりすることはあります。対してS&Tは先生と一緒に競技に参加する。勝ち上がることも敗退することもある。一参加者として競技会の内容(順位)変え得るのですまたフロアーサイドに出店エリアがありダンスと関係のないものでも出店することができます出店という形で参加することができるのです。私たちはあん摩マッサージ指圧師として今回S&Tに出店しました。そして入場自体は無料。会場に入ってダンス競技会を観る、デモンストレーションを観る、出店エリアで買い物や体験をする、といったことが無料でもできるのです。観覧席を購入してそこでホテルの料理を食べながら観賞することもできますが。つまり様々な形でイベントに参加して能動的に楽しめる形式です。

既存の社交ダンスパーティーは参加するのになかなかの料金がかかります。それは場所代、料理代など諸々含んでいるので仕方ありません。反面、知り合いがデモンストレーションをするからという理由で席を買って来ている方も多くいます。ほぼ誰も知らない方々のデモンストレーションをみて、踊れないダンスタイムを眺めて、食事をする。トップ選手のダンスも興味がわかないこともあるかも。なかなか金銭的なハードルが高いのです。正直な話、当院に来院した社交ダンス愛好家の患者さんからパーティーはチケットノルマが大変という声を聞いたことがあります。デモンストレーションに出るなら出演料などの他に既定の枚数を買わないといけないという。そして来てもらった友人が最後まで楽しめるのかという懸念も。

 

それがS&Tは入場のハードルが下がり(無料)、ダンスにさほど興味がない人でも入場して楽しめるというのが画期的です。実際に当日は一緒に出店した鈴木恭平先生のマッサージ専門学校関係者の方が入場し、マッサージを受けました。おそらく社交ダンスなど知らないであろう。私はその方に同業者として専門技術について会話をしながらマッサージをしました。場内で生バンドの演奏が流れる中で。おそらくこのような場がなければまず生で社交ダンス(競技ダンス)を目にすることはなかったのではないかと思われる人です。出店ブースには社交ダンスと関係のないお菓子や地方の物産、チャクラのお店などがありました。多くはドレス、ダンスウェア―、シューズなどの関連店舗ではありますが。お店が目的で入場した人もいたはずです。その人たちが社交ダンスを知る機会となれば社交ダンス業界にとって吉となります。

 

また学連を含めて社交ダンス、競技ダンスを経験して別業種に行った人は大勢います。学連経験者が全員プロやアマチュア選手となるわけではありません。私も近いというか自ら近づけているだけで本来は関係のないあん摩マッサージ指圧師、鍼灸師です。私のように経験者だけど他職種に進んだ者が出店という形でイベントに参加する余地があるというのはチャンスだと思うのです。今回鈴木恭平先生の提案で母校の鍼灸マッサージ専門学校入学案内をブースに置きました。誰も手を取らなかったようですが、もしかしたら入学相談があったかもしれません。(※学連卒、ダンス経験者の鍼灸師は結構いるのです)。可能性は広がり、同窓会のようにS&Tの会場で再会する場面があるかもしれません。実際にプロとして会場にいる学連同期や後輩たちとたくさん私は会いました。自前の白衣を着る私はいちあん摩マッサージ指圧師として。向こうはダンス衣装にメイクをしたプロダンサーとして。こういう参加の間口が広がるのは可能性を感じます。

 

また出店側としての感想として主催者が非常に誠意を持ってくれましたBDオーナーズクラブが主催なのですが、本池先生は出店ブースを巡って体験をしてくれました。主催者、自身も競技会、デモンストレーションに参加する役割があるにも関わらず。司会の金光先生は要所要所で出店しているお店の紹介や宣伝を挟んでくれました。事前に出店を誘ってくれた新井由紀子先生は参加者全員が幸せになれるイベントを目指すと話していました。皆さんトッププロとして偉大な成績を残した方々。大先生という立場であるのに、自分のお客さん・生徒さんだけでなく、周囲への配慮や気遣いを欠かしません。本池先生などは少し前までフロアーでデモンストレーションを行っていたのに、出店ブースの片付けのため位置取りのテープを剥がして回っていました。リアルなことを言えば、丸一日拘束されて出店料を支払い諸経費がかかるわけで、商売としてはそれに見合うものがないといけません。当初は鈴木恭平先生の提案に乗り、関係のある先生方の義理という意識が高く占めていたのですが、参加した結果は大きな成果や手応えを感じました。商売として参加する価値があるという。

 

まだまだ感じたことはありますが、とめどないのでまた別の機会にします。20年以上ぶりにあった同じスタジオで卒業後プロになった学連同期、ダンス関係者の方などと情報交換する機会がありました。業界内にいる側からするとより実情がシビアになっていると言います。生き残るためにどうやっていくのか。時代や社会環境の変化に対応していく。当たり前のように冠スポンサーがついていますが、これも画期的なことです。当事者はもっと理解していますが競技会のこと、団体のこと、諸々の問題点が社交ダンス業界にあります。反対にこれだけの可能性を感じさせるのも社交ダンス業界です。S&Tというイベントはソフト面、ハード面を含めて大きな可能性があるものだとまる一日参加して思いました。

 

甲野 功

 

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