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来年、宮城県仙台市にあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師(総称して「あはき」)の短期大学が設立されます。
<短期大学で日本初 鍼灸マッサージ師に必要な3つの国家資格と学位取得が可能「鍼灸手技療法学科」設置へ 仙台赤門短期大学
TBS NEWS DIG 2024年8月30日(金) 18:42>
これは学校法人赤門宏志学院仙台赤門医療専門学校が、仙台赤門短期大学に鍼灸手技療法科を新たに設置するというもの。私は当初、新たにあはきのために仙台赤門短期大学を設立するのものだと認識していたのですが、既に仙台赤門短期大学は存在していて(2018年4月に看護学科開学)、そこに新たに鍼灸手技療法学科を設置するということでした。仙台赤門短期大学は名称から分かる通り仙台赤門医療専門学校と同じ学校法人赤門宏志学院が運営をしております。姉妹校にあたるでしょう。
専門学校から短期大学に移行するにあたって柔道整復科(赤門医療専門学校柔道整復医療科)の募集を停止することが発表されています。
つまり仙台赤門医療専門学校の柔道整復科が無くなるということになります。仙台赤門医療専門学校のあはき科(鍼灸マッサージ東洋医療科)も募集停止をしますが、それは仙台赤門短期大学鍼灸手技療法科に引き継がれます。一方、柔道整復科は募集停止で短大には組み込まれないので将来無くなるわけです。このことに少なからず私は驚きました。
私は柔道整復師でもあります。普段の業務はあはきがメインで保健所の開設届も鍼灸マッサージ院として施術所を構えています。柔道整復師としての施術所(接骨院)は構えていませんが日々の業務に柔道整復師として得た知識と技術は活きております。そして私が柔道整復師免許を返納しない以上は柔道整復師という国家資格を持ったままです。柔道整復師という当事者にとって伝統校がまた消えるということに驚きがあります。
柔道整復師の専門学校。略して柔整専門学校と呼ばれます。柔道整復師を養成するための施設で厚生労働省が主に管轄します。これが大学になると文部科学省管轄になります。専門学校は職業訓練校、大学は研究機関という大まかな分類がされていてそれぞれ厚生労働省、文部科学省となるわけです。柔道整復師養成施設においては専門学校の方が歴史が古く、柔整の大学が設置されたのは2000年以降になります。柔道整復師は江戸時代からある骨接ぎ・接骨と言われた外傷の応急処置を行う職業にルーツを持ちます。戦後はあはきと同じ法律で一括りにされていましたが、後に単独法として独立。現在は柔道整復師法に基づく国家資格としてあります。
柔道整復師を養成する柔整専門学校は、かつては大学医学部と同様に新設規制がされていました。条件を満たさないと新たに柔整専門学校を開設することができませんでした。それを不服として、開設許可を出さない国(当時の厚生省)を相手取り裁判が起きます。通称、福岡裁判とか北九州裁判と言われるもので福岡県で柔整専門学校新設申請を出すも一向に認可が下りない事業者が起こしたものでした。詳細は省きますが国が敗訴し柔整専門学校の新設が解禁となります。これにより2000年以降爆発的に柔整専門学校、および柔整大学が新設されていきます。福岡裁判が行われたのが1998年。福岡に新たに柔整専門学校(福岡医療専門学校)ができたのが1999年。1998年以前からある柔整専門学校を“伝統校”、福岡裁判後の1999年以降に新設された学校を“新設校”と業界内でよびます。
2024年4月段階で残っている柔整専門学校の伝統校が以下の通り。
①東京呉竹医療専門学校(東京都)
②仙台赤門医療専門学校(宮城県)
③仙台接骨医療専門学校(宮城県)
④関西医療学園専門学校(大阪府)
⑤明治東洋医学院専門学校(大阪府)
⑥米田柔整専門学校(愛知県)
⑦日本柔道整復専門学校(東京都)
⑧北海道柔道整復専門学校(北海道)
⑨東京柔道整復専門学校(東京都)
⑩日本体育大学医療専門学校(東京都)
以上10校です。
学校自体は1998年以前からあっても柔道整復科が設立されていない学校は除外しております。ちなみに今年3月に行われた第32回柔道整復師国家試験で受験した養成施設は115校。この115校には専門学校の他に大学、視覚支援学校が含まれており、また既に募集停止もしくは閉校していて浪人生の出身校としてカウントされているものもあります。それを差し引いても学校が大幅に増えたことが分かるでしょう。具体的にいうと福岡裁判前の柔道整復師国家試験の受験学校数は14校、第26回国家試験では122校まで増加します。なお国家資格になる前は都道府県別の資格でした。
柔整専門学校の伝統校は10校だけ。その中で赤門医療専門学校の柔道整復科が無くなるということです。今年7月には北海道柔道整復専門学校の閉校が発表されました。立て続けに伝統校の閉校、学科閉鎖が続いているのです。
ここで柔整専門学校伝統校だった14校をみてみましょう。
1.北海道柔道整復専門学校
2.赤門鍼灸柔整専門学校
3.仙台接骨医療専門学校
4.東京柔道整復専門学校
5.東京医療専門学校
6.日本柔道整復専門学校
7.大東医学技術専門学校
8.帝京医学技術専門学校
9.日体柔整専門学校
10.北信越柔整専門学校
11.米田柔整専門学校
12.行岡整復専門学校
13.関西医療学園専門学校
14.明治東洋医学院専門学校
最初に挙げたものと順番が違うのはご容赦ください。国家試験受験校一覧の順番から抜き出しました。また学校名が変わっているものもあります。
一つ一つみていきます。
北海道柔道整復専門学校は公益社団法人北海道柔道整復師会が運営しています。柔道整復師会の学校という珍しい学校です。今年募集停止を発表し閉校が決定しました。
赤門鍼灸柔整専門学校は現在の仙台赤門医療専門学校です。既に述べているように来年の仙台赤門短期大学に鍼灸手技療法科設置に伴い柔道整復科の募集を停止しました。
仙台接骨医療専門学校は東北柔道専門学校として設立された柔道整復師のみの専門学校です。
東京柔道整復専門学校は氷川台にある学校で2022年に国家試験問題漏洩が発覚しました。柔道整復師のみの専門学校です。
東京医療専門学校は現在の東京呉竹医療専門学校。鍼灸から始まった学校です。私の母校になります。2021年に夜間柔道整復科を募集停止しております。
日本柔道整復専門学校は学校法人花田学園が運営し、“花田”の方が知られた名前でしょう。鍼灸マッサージ専門学校、鍼灸大学も経営する学校法人です。
大東医学技術専門学校は大東文化大学も運営する学校法人大東文化学園が設立し、中央柔道整復師養成所から始まりました。大東文化大学にスポーツ・健康科学部健康科学科が設立されたため2012年に閉校します。
帝京医学技術専門学校は帝京柔道専門学校として設立されましたが、帝京短期大学への統合のため2010年に閉校します。
日体柔整専門学校は現在の日本体育大学医療専門学校。現在は歯科衛生士養成課程を持ちます。
北信越柔整専門学校は石川県にある唯一の柔整専門学校でした。現在は金沢救急救命専門学校に校名を変更し柔道整復科は募集停止しました。
米田柔整専門学校は愛知県の学校で昭和初期の柔道場をルーツに持ちます。柔道整復師のみの専門学校。
行岡整復専門学校は現在の大阪行岡医療専門学校長柄校。日本初の柔整専門学校でしたが2022年に柔道整復科は廃止しております。
関西医療学園専門学校は関西鍼灸柔整専門学校として設立されました。鍼灸、マッサージの科もあります。
明治東洋医学院専門学校は鍼灸学校として始まります。運営する学校法人明治東洋医学院は日本初の鍼灸大学にあたる明治鍼灸大学(現明治国際医療大学)も創立しました。
このように14校の柔整専門学校伝統校は、大東医学技術専門学校と帝京医学技術専門学校が学校編成により閉校、北海道柔道整復専門学校、赤門鍼灸柔整専門学校(現仙台赤門医療専門学校)、北信越柔整専門学校(現金沢救急救命専門学校)、行岡整復専門学校(現行岡医療専門学校長柄校)が募集停止となりました。新設校も数多くの学校が募集停止、閉校しましたが伝統校が消えるのは影響が大きいと私は感じます。特に柔道整復科のみでやってきた学校の閉鎖は。福岡裁判以降、柔道整復師の数は増加して供給過剰といえる状況になりました。柔整養成施設は生徒の取り合いになり、自然淘汰が進んでいます。そこに伝統校も入っているといえます。私が柔整専門学生だった頃とは確実に状況が変わってきていて、その流れは今後も続きそうです。
甲野 功
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