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最近耳にするようになった「大谷ハラスメント」という言葉。調べてみたらインターネット辞書のWikipediaに項目ができていました。それだけ世間に影響を及ぼす状況になっているのでしょう。
抜粋すると「大谷ハラスメント」とは
『大谷翔平に関する報道やプロモーションなどの過剰さを揶揄した言葉。大谷に限定せず、野球の過剰報道などに対する「野球ハラスメント」という語も存在する。大谷ハラスメントはあくまでメディアと視聴者の間の問題であり、大谷や所属チームのロサンゼルス・ドジャースはほぼ無関係である。』
と定義されています。
このように米国メジャーリーグで活躍するプロ野球選手である大谷翔平選手の報道が過剰であることに不満を持つ者が抱く嫌悪感といったところでしょう。ここでもあるように大谷選手本人や所属チームは何の落ち度も圧力をかけていることはなく、報道するメディアとそれを受け取る側の問題なのです。もはや少年マンガを現実が越えていると称される異次元の活躍をする大谷翔平選手。プロ野球選手として真摯にベースボールに向き合っているだけ。スーパースターゆえに勝手に「大谷ハラスメント」なる言葉が誕生してしまったといえます。
この大谷ハラスメント。私は非常に既視感があり、少年時代を思い出します。それはWikipediaの定義でも触れられていますが、私の頃は「野球ハラスメント」を大いに感じていたのです。野球ハラスメントだと範囲が大きいので正確にはプロ野球ハラスメント、巨人ハラスメントといった方がいいでしょう。昭和の終わりから平成の始め、私が小学生の頃は今とはくらべものがないくらいプロ野球が人気でした。現在のプロ野球ファンはそんなことはない、今でも人気だ、と怒るかもしれませんが間違いなく昭和の頃の方がメディアの露出度は上です。シーズン中はほぼ毎試合、巨人戦は生中継されていました。夜のスポーツニュースは長時間プロ野球の話題(セ・リーグばかりでしたが)。テレビCMは巨人軍の選手が起用。シーズンオフになればバラエティ番組に選手が出演。プロ野球珍プレー好プレー特集が放送。シーズンが始まる前は練習キャンプを連日取材しそれを毎日放送。このような感じでした。当時から野球に興味がなかった私には別に見たくもないのに延々とテレビは野球(特に巨人)を映しているという気持ち。当時はハラスメントなる言葉はなかったですし、あったとしても小学生の私が知る由もなく、「野球ハラスメント」なる概念はありませんでした。
今もそうですが、嫌なら見なければいいという意見があるでしょう。昭和末期から平成初期。今のようにパソコンもスマートフォンもタブレットも配信もない時代。テレビ以外の媒体は新聞、雑誌、ラジオという時代です。読売新聞は当然ながら巨人戦を大々的に掲載しますし、ラジオはテレビ以上にプロ野球中継をしています。否応なしに目に入ります。入るだけならばまだしも、夕方のアニメ放送をするゴールデンタイムが野球中継が入るのです。ドラゴンボール(Zも含めて)が今週も放送なしか、と落胆したものです。更に中継を延長するので9時以降の番組にも影響が出ます。ほとんど夜9時などに試合が終了しないのですから。毎度毎度見たかった番組の放送時間が遅れるのです。この頃はビデオ録画が普及していますがタイマー予約くらい。時間がずれればそれを自動補正するような機能はありません。いざ再生してみたら30分は野球中継だったということがよくありました。優勝決定など重要な試合は1時間も延長することがあったので観たかった番組が全て録画されていないということも。
今回の「大谷ハラスメント」が広がった理由はワールドシリーズの大谷翔平選手が出場した試合を急遽“再放送”した結果、放送予定だったレギュラー番組の放送が中止されたことが大きかったのです。時差があり日本では午前中に試合を放送しているのです。もちろん結果は出ています。それを同日の夕方に再放送するという。この情報社会で結果は知れ渡り動画も出回っていることでしょう。昭和、平成の頃はさすがに事前に方法予定が決まっていて(日本シリーズの勝敗によって放送することが前日に決まるということはありましたが)、気持ちの準備ができたものでした。このとき放送が見送られたのがフジテレビの『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』で、私はこの番組は子どもと一緒に観られるので録画予約をしておいたのでした。令和に昭和のドラゴンボールと同じような事態に遭遇するとはと感じてしまいました。
なお昭和・平成との違いとして、このワールドシリーズ再放送の裏では日本シリーズが放送されていたということ。日本のプロ野球界の最大の試合を放送しているところに邪魔をするかのように放送したということ。日本シリーズを主催する団体としては面白くないでしょう。テレビ放送はスポンサー企業の広告費で賄われるわけです。視聴率が下がればスポンサーは広告価値が下がるとして離れます。野球同士をぶつけてどうするのかという。ワールドカップ、オリンピックのように同時間帯に注目される試合があるならまだしも、時間帯ははっきりと分かれていたものを。こういった面からも「野球ハラスメント」や「メジャーリーグハラスメント」ではなく「大谷ハラスメント」となってしまいます。
メディアの過剰な報道、放送だけでなく実社会でも影響が出ているとWikipediaで紹介されています。職場での話題が大谷翔平選手のことばかり、彼が結婚して悲しいでしょうと決めつけられる女性会社員、といったエピソードが出ています。これも私にとっては既視感そのもの。私が小学生の頃は、男児は当然野球が好きだよね、野球をするよね、という同調圧力がありました。周囲は圧力をかけているという自覚が一切なかったでしょうが。初対面で、君はどこファン?と聞いてくる。もちろんプロ野球が好きなのが前提条件で、その上でどの球団のファンですか?と尋ねるのです。あの頃は野球に興味がありませんなどと言えば、非国民と罵られるような雰囲気でした(体感として)。かといって巨人とか阪神とか答えるとまた面倒なので阪急と答えるようにしていました(理由は察してください)。今よりも娯楽の選択肢が非常に少なく、誰もが同じものを観ていた右に倣えの時代でした。それに対して現代の令和時代、多様性を重視しようと叫ばれているのに、このような決めつけがあるのだなと思います。それだけ大谷翔平選手の功績が偉大であるということでしょうが。
大谷翔平選手は真摯にベースボールと向き合い、異次元の成績を残し続けています。その副産物で「大谷ハラスメント」なる言葉が生まれています。それが私が小学生の頃に感じたことと同質であることが興味深いです。
甲野 功
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