開院時間

平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)

: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)

 

休み:日曜祝日

電話:070-6529-3668

mail:kouno.teate@gmail.com

住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202

~地域散策 矢来能楽堂~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 矢来能楽堂
矢来能楽堂

 

 

当院に電車を使って来院するには都営大江戸線牛込柳町駅が最も近くて便利です。出口(南東口)から徒歩3分ほどで着きます。ただ都営大江戸線が全線開通したのは21世紀に入ってから。それ以前は東京メトロ東西線神楽坂駅都営新宿線曙橋駅から歩くしかありません。どちらも徒歩15分くらいかかります。また住所が市谷甲良町であるせいか、ごく稀にJR、地下鉄の市ヶ谷駅が最寄りだと勘違いする方もいます。市ヶ谷と市谷はかなり違うのですが。また神楽坂が近いしとても有名なので神楽坂のすぐそばだと思われる人も少なくありません。皆さんがよくメディアで目にする神楽坂はどちらかというと飯田橋駅より。東西線神楽坂駅は華やかなエリアの端っこという感じです。更に困ったことに神楽坂の印象が強いせいか都営大江戸線でも隣の牛込神楽坂駅で降りてしまう方もいます。牛込とつく駅が2つも並ぶとは想定していないのでしょうか。神楽坂が目に留まってしまい降りてやけに歩くぞということに。

 

さて、私が社会人になるまでは最寄りの電車は営団地下鉄(現東京メトロ)東西線神楽坂駅でした。曙橋駅より若干近い気がします。そのため出かける際は神楽坂駅をよく利用していました。場合によっては飯田橋駅、市ヶ谷駅まで歩きますが。神楽坂駅でも赤城神社がある有名な神楽坂エリアが近い出口ではなく矢来口と言われる出口の方です。新潮社旺文社が並ぶ出版業に馴染みのある出口。現在は駅前にラカグ(la kagu)があります。東西線神楽坂駅矢来口を出て牛込中央通りの緩やかな坂を上っていきます。ラカグ、新潮社とは反対側の住宅街。そこに目立たずあるのが矢来能楽堂です。

 

矢来能楽堂

 

矢来口(A2出口)からは徒歩2分とすぐ。少し通りの中に入ったところ。牛込中央通り沿いにはないので目立ちません。建物は横道から更に奥に進んだところ。ここに国の登録有形文化財に指定される歴史ある建築物があるのです。

 

矢来能楽堂とは公益社団法人観世九皐会が所有する能楽堂です。矢来というのは地名の矢来町に由来します。現住所も東京都新宿区矢来町60です。能楽堂は能、狂言を行う場所です。矢来観世家・観世九皐会の本拠地として活動拠点になっています。

観世九皐会とは。江戸自体の嘉永2年(1849年)四世観世銕之丞清済に次男源次郎(後の観世清之)が生まれます。この観世清之が明治時代に 観世銕之丞家から分家します。観世清之が中心となり、門弟を育てたのが始まり。明治41年 (1908年)に清之は家督を観世喜之(初代)に次ぎます。観世喜之のもとに集まっていた文人の一人に後の第23代内閣総理大臣清浦奎吾がおり、彼の命名により「九皐会」の名前が誕生します。現在の観世九皐会は三世観世喜之が当主。

 

明治44年 (1911年)に東京神田西小川町に能舞台を建築します。しかし大正12年(1923年)の関東大震災によりこの舞台は焼失してしまいます。昭和5年(1930年)に牛込矢来町に観世九皐会能楽堂を建築します。しかしここも昭和20年(1945年)の東京大空襲により焼失してしまいます。そして昭和27年(1952年)に現在の新宿区矢来町に能楽堂を再建し矢来能楽堂と改称するのです。建物としては現在東京都内にある能楽堂のなかで杉並区の大蔵流狂言山本家の舞台に次いで古いもの。平成23年(2011年)に国指定の登録有形文化財(建造物)となりました。建築物としても非常に貴重なものです。

 

この矢来能楽堂。私は小学生の時に能、狂言を課外活動で観賞しています。私の記憶ではPTA関係者か誰からが矢来能楽堂の人と懇意にしていて個人的なお願いで特別に小学生に能、狂言を見せてくれることになったのです。現在では近隣の小中学生が観賞教室に訪れるようですが、当時は非常に稀なことだったと記憶しています。というのも舞台が始まったら私語厳禁、声を出さない、咳もくしゃみもなるべくしない、大きな音を絶対にたてない、と先生から厳命されました。小学生に強いるのは結構厳しい内容です。そのため非常に緊張しながら息を殺して観賞したものでした。演目は狂言の『附子(ぶす)』、能の『土蜘蛛』。附子はコミカルで小学生でもわかりやすく、土蜘蛛は糸を投げるのが派手です。敢えて小学生にうけが良さそうな演目にしてもらったようです。余談として、小学校側は観賞者全員に感想文を書かせました。その中から特に良かったものを矢来能楽堂に提出するのです。当時からマニアックな見方をしていた私は足さばきの素晴らしさとか音を立てずに移動する様が良かったなどの内容を書き、見事担任から代表作文として選ばれたのでした。しかし字が汚いからもう一度綺麗に書き直しなさいと言われてしまったのでした。文章は良かったのに。

 

この矢来能楽堂。観劇以外でもたまに施設公開をしています。昨年の一般公開日に観に行きました。因縁の小学校観賞教室以来の入場。軽く30年は経過しています。舞台はどこも同じ造りですが大人になって知識がある上で見ると文化的、歴史的価値をより感じます。小道具の展示も行っていました。高校は國學院高校で神道の学校であり、日本史に力を入れています。歌舞伎観賞も必須行事でした。社会人になってからは数多くの神社仏閣を巡り知識も増えています。そのため小学生当時はわかなかった興味が。地域にこのような建造物があり文化が継承されていることを誇りに思います。

 

神楽坂にある矢来能楽堂。観劇あるいは施設見学に訪れてみてください。

 

甲野 功

 

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