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~特定商取引法の特定継続的役務7項目~

消費者庁 特定商取引法ガイドより
消費者庁 特定商取引法ガイドより

 

 

以前、整体院の回数券はクーリング・オフ制度が適用されないかもしれないということを紹介しました。

 

東京くらしWEB 整体院の回数券購入後の解約はできない?!~継続的なサービスの契約をする時は注意が必要です!~

 

このような注意を東京都が出しているのです。その理由として『自ら出向いて契約した場合の整体院での施術は、特定商取引に関する法律の対象ではないため、クーリング・オフ制度は適用されず、契約書面の交付義務も課されていません』と説明されています。この記載で登場する「特定商取引に関する法律」とは、通称「特定商取引法」あるいは「特商法」と言われるもので、“訪問販売等で業者と消費者の間における紛争が生じやすい類型の取引について、勧誘行為や広告内容の規制等紛争を回避するための規制およびクーリング・オフ制度等、特別の契約解除権等を設けることによって、取引の公正性と消費者被害の防止を図ることに関する法律”です。クーリング・オフ制度は本法律で規定されているわけです。

 

今回は特定商取引法でクーリング・オフ制度が適用されない特定継続的役務提供について説明します。

 

まず「特定商取引」とは一体どのような意味なのでしょうか。特定商取引とは、『訪問販売、通信販売及び電話勧誘販売に係る取引、連鎖販売取引、特定継続的役務提供に係る取引、業務提供誘引販売取引並びに訪問購入に係る取引をいう』と説明されます。箇条書きにすると、

訪問販売、通信販売、電話勧誘販売に係る取引

連鎖販売取引

特定継続的役務提供に係る取引

業務提供誘引販売取引

訪問購入に係る取引

と5種類の商取引をいうわけです。言うなればこれらに該当しない取引は特定商取引にならないため(特定商取引法で規定する)クーリング・オフ制度が適応されないというわけです。整体院の回数券は、(原則として)店舗に利用者が出向き納得して同意した上で契約しているので特定商取引に当たらない、すなわち特定商取引法の範疇にないという。この場合、『(契約を)解約する場合の条件や返金額などについては、原則事業者が設定した約款に従うことになります』と説明されています。

一方、整体院の回数券がもしも特定商取引法で規定する「特定継続的役務提供に係る取引」であった場合はクーリング・オフ制度が適応されると言えて、『(※)特定商取引に関する法律に規定する特定継続的役務提供を行っている場合は、法律の規制がかかります。』という注意書きが紹介したサイトに記載されています。

 

本題の「特定継続的役務提供」とはどのようなものか。まず「役務」という聞きなれない用語。これは“いわゆるサービス”をさします。そして「特定継続的役務」とは、“役務の提供を受ける者の身体の美化、知識・技能の向上などの目的を実現させることをもって誘引されるが、その目的の実現が確実でないという特徴を持つ有償の役務のこと”を意味します。説明は以下のサイトにあります。

 

消費者庁 特定商取引法ガイド>特定商取引法とは>特定継続的役務提供

 

よって特定継続的役務提供とは、政令で定める特定継続的役務を一定期間超える期間にわたり、一定金額を超える対価を受け取って提供することになります。具体的に特定継続的役務は7項目あり、期間と金額も加味されます。費用はいずれも5万円を超えるものです。

 

いわゆるエステティック

人の皮膚を清潔にし、若しくは美化し、体型を整え、又は体重を減ずるための施術を行うこと(いわゆる美容医療に該当するものを除く)。

期間:1月を超えるもの

 

いわゆる美容医療

人の皮膚を清潔にし、若しくは美化し、体型を整え、体重を減じ、又は歯牙を漂白するための医学的処置、手術及びその他の治療を行うこと(美容を目的とするものであって、主務省令で定める方法によるものに限る)。

期間:1月を超えるもの

 

いわゆる語学教室

語学の教授(入学試験に備えるため又は大学以外の学校における教育の補習のための学力の教授に該当するものを除く)。

期間:2月を超えるもの

 

いわゆる家庭教師

学校(幼稚園及び小学校を除く)の入学試験に備えるため又は学校教育(幼稚園及び大学を除く)の補習のための学力の教授(いわゆる学習塾以外の場所において提供されるものに限る)。

期間:2月を超えるもの

 

いわゆる学習塾

学校(幼稚園及び小学校を除く)の入学試験に備えるため又は学校教育の補習のための学校(幼稚園及び大学を除く)の児童、生徒又は学生を対象とした学力の教授(役務提供事業者の事業所その他の役務提供事業者が当該役務提供のために用意する場所において提供されるものに限る)。

期間:2月を超えるもの

 

いわゆるパソコン教室

電子計算機又はワードプロセッサーの操作に関する知識又は技術の教授。

期間:2月を超えるもの

 

いわゆる結婚相手紹介サービス

結婚を希望する者への異性の紹介。

期間:2月を超えるもの

 

いずれも5万円以上というのは、入学金、受講料、教材費、関連商品の販売など契約金の総額が5万円を超えるということ。この中で「いわゆる家庭教師」、「いわゆる学習塾」には、幼稚園又は小学校に入学するための(いわゆる)お受験対策は含まれていません。幼稚園、大学は対象外とあります。また「いわゆる学習塾」には、浪人生のみを対象にしたコースは対象になりませんが、高校生と浪人生が両方含まれるコースは全体として対象になります。なお役務(サービス)の内容がファックスや電話、インターネット、郵便等を用いて行われる場合も含まれることになります。

 

この7項目をみてみると、ある程度継続して行うも効果が確約できないものと言えます。例えばスポーツジムの利用だとすると1月以上で契約したとしても、利用することは問題なくできます。スポーツジムに通ったことで得たい効果(ダイエットや筋力アップなど)が必ず成し遂げられるかは分かりませんが。美容、学習、そして婚活。必ず満足いく成果が得られるかは定かではありません。このような取引は一度契約をしたとしても、途中で解約できるように特定商取引法で定めているわけですね。

 

特定商取引法の特定継続的役務。聞きなれない用語でしたが知っておくと何かのときにトラブル回避ができそうです。新社会人になったときに会社の新人研修でエステの契約に気を付けるようにと動画を見させられました。クーリング・オフ制度もそのとき知りましたが、詳しいことは学ばず来てしまいました。私自身より、家族や友人がおかしな契約に巻き込まれないように、調べておけて良かったです。

 

甲野 功

 

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