開院時間
平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)
土: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)
休み:日曜、祝日
電話:070-6529-3668
mail:kouno.teate@gmail.com
住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202
東京商工リサーチによると経営コンサルタント会社の倒産が過去最多だそうです。経営指南をするはずの“経営のプロ”であるはずが自身の経営が立ち行かなくなってします。この矛盾について解説したニュースがありました。
J‐CASTニュースBiz
「経営のプロ」コンサル会社、過去最多の倒産 調査担当者が明かす「勘違いコンサル」の実態
東京商工リサーチの調査によると、令和6年(2024年)の「経営コンサルタント業」の倒産が154件となり前年比7.6%増で過去最多。それまで過去年間最多だった令和5年(2023年)の143件を上回ったといいます。資本金でみると1億円未満の中小企業が152件(構成比98.7%)とほぼ全てを占めています。従業員数別でも5人以下の小規模事業者が143件(同92.8%)。つまり大企業ではなく中小規模の会社が倒産しているというわけです。更に今回の調査では負債総額1000万円以上の企業倒産が集計対象になっており、負債1000万円未満の倒産・廃業は集計に含まれていなとのこと。経営規模が小さいものを含めると倒産数はもっとあるのではないかと言われています。倒産の理由は過半数の66.2%が不況型倒産、事業上の失敗が15.5%だそう。巷の中小企業に多い後継者不足による倒産とは異なるわけです。
コンサルタント会社は戦略系、政策系、士業などの専門系など業種によって多様化しているといいます。戦略系は主に企業相手の経営全般にかかわるところ。政策系は政府や自治体などを対象に公共政策を立案・進言するところ。士業などの専門系は公認会計士、弁護士、税理士、中小企業診断士などの士業が専門知識を生かし、新たにコンサル会社を始めるところ。このように業種ごとに得意とするコンサルタントが異なるとのこと。そして一人で少ない開業資金で始めることができ、参入障壁が非常に低い。その分、玉石混交の業界となり淘汰が加速していると解説されています。更には東京商工リサーチの分析では『経営コンサルの業績は、コンサルタント自身の経験や人柄、人脈などにも大きく左右される。属人的な性質が強い分、いかに優秀な人材を確保し、顧客に価値を提供できるかが問われる。今後は、苛烈な生き残り競争がさらに進み、実績と特色を打ち出せないコンサル企業は淘汰される可能性が高い。』としています。
このニュースを読み込んだときに、自分自身の業界にかなり当てはまる内容だと思いました。似ている点として、参入障壁が低い、属人的な性質が強いということ。参入障壁が低いという点については、鍼灸院を開業すると仮定した場合、例えば飲食店(レストランなど)や美容室に比べれば、初期投資は非常に少なくていいわけです。何だったら出張専門とすれば開設届1枚を提出すればその日から始めることができます。鍼灸院やマッサージ院といった施術所は届出制といって開業してから届出を出します。そして臨検という保健所職員の立入検査を実施します。医療機関は許可制で開設する前に審査が入り簡単にできません。もちろん初期投資の額も違います。次に属人的な性質が強いというのはまさにそう。鍼灸院は鍼灸師の人そのものが勝負という感じです。
更に広げると国家資格を持たない者の開業、あるいは開業権が法律で規定されていない国家資格者の開業も同じような状況と言えます。コロナ禍のときに自宅サロン、整体院を開業する人が凄く増えました。リラクゼーション店、エステ店も含めて。一部屋あればその日から始められる。あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師、柔道整復師と違い保健所への申請も要らない。コンサルタント業も中小企業診断士という国家資格があるのですが、現実にはコンサルタントを名乗るのに特別な資格は必要ないのです。私が今日から治療院コンサルタントと名乗っても問題ないというわけです。コンサルタントでは極端な場合、自宅を事務所にしてスマートフォン1台で開業できるそうです。その結果、脱サラ組(サラリーマンを辞めて参入する人)が多いのだとか。あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師、柔道整復師は専門学校で3年勉強して国家試験を合格しないといけませんが、そうでないものは(極端な話)誰でも名乗れば始めることができるということ。似通っていると思うわけです。
属人的な性質についても、最初は知り合いから受注があっても実績を残せなかったらクライアントは離れていくと解説されています。これも我々の業種と同様で、開業しました→友人知人がお祝いに受けに来る、という流れはよくあるのですが、定着して継続して通ってくれるかは別の話。それまでと異なる患者と術者という関係性を構築できないと、一度行って義理は果たした、ということで終わりです。
何より他人の経営に口を出して圧倒的な成果を残さないといけないコンサルタント業。参入障壁が低くて誰でも始められる一方で継続することが難しいのは当然でしょう。私は勤務時代に外部から来た経営コンサルタントに嫌な目に遭わされたので信用していません。あじさい鍼灸マッサージ治療院を開業して10年ですが、経営コンサルタントの類をお願いしたことは一度もなく、独学と実践でここまできました。過剰な自負かもしれませんが業界の法律や状況をきちんと把握しているコンサルタントは自分以上にいないと思っています。本業としてこの仕事をしている人間でないと法律からガイドライン、過去の判例まで調べあげられないです。状況は変わっていきますし。更にこの業界はコンサルタントが入る負の一面があります。臨床技術の向上を第一にしてきている一方、経営面の勉強は疎かになっている(そこまで手が回らない)ことが多い術者。変なことを吹き込まれてルール違反をしてしまう。過去にあはき柔整広告ガイドライン検討会と言われる、厚生労働省主体の有識者会議でも話題にあがったのですが、コンサルタントによる悪影響が確認されています。
コンサルタント全てが問題あるわけでは決してありません。何年も前から参考にさせていただいているマーケター森岡毅氏の仕事もいわばコンサルタント業。担当した企業を回復させるお手伝いをしています。その一方で倒産数が過去最高という。玉石混交。どこか私の業界と似た部分があり、他人事ではないと思ったニュースでした。
甲野 功
コメントをお書きください