開院時間
平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)
土: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)
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住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202
勉強をする上でマンガは効率の良いツールです。この仕事い就くきっかけは小中学生の頃読んでいた『スーパードクターK』という少年マガジン誌で連載していたマンガ。医療と冒険活劇を合わせたものでした。昭和時代の荒唐無稽な内容と医学知識が同居したもの。現在も連載が続いており、『K2』として継続しています。昨年は作品展に出向きました。
それ以外にも『ゴッドハンド輝』や古くは『ブラックジャック』など医療(医学)マンガを読み参考にしてきました。最近は現在進行形で連載している『Dr.Eggs』(以下、ドクターエッグスと表記)を毎巻買って読んでいます。最近、最新第10巻が発売されました。
集英社 ホーム>集英社の>Dr.Eggs ドクターエッグス 10
このドクターエッグス。作者は三田紀房先生で、他にもビジネス系のためになるマンガを描いています。代表作は実写ドラマになった『ドラゴン桜』、実写映画化された『アルキメデスの大戦』でしょうか。それ以外にも経済を学ぶ上で『エンゼルバンク』と『インベスターZ』は良書として人に勧めています。元々三田先生の作品は注目していたところ、私と関りがある医療ジャンルの作品を描くことになり、手をとったのです。
本作は山形県の医学部に入学した主人公が医師になるために大学生活を通して成長する姿を描いています。従来の医療マンガは圧倒的な能力を持つ医師が困難な症例や手術を乗り越える作品が多いです。先に紹介した『スーパードクターK』はその極み。宇宙空間でも手術を行い、どんな難しい手術も成功させます。それは手塚治虫先生の名作『ブラックジャック』がスーパー医師というひな形を作ったことに起因するように思っています。その後、様々な表現がありますが主人公が非凡な他者にない特徴で医療現場での困難を解決する話ばかりです。一方、本作ドクターエッグスは医師になる前の医学生のお話。それも主人公は強い意志を持って医師を目指すわけではなく、何となく真面目に勉強してきて成績が良いから高校の先生に医学部進学を言われて、地方の医大に入ってしまった。親が医者というわけもなく。超人的な能力を持つわけではなく。ごく普通の勉強が得意で周囲の期待に応えるために勉強をしていたら成績が良かった高校生が主人公。その主人公が段々と医師となるための覚悟を持ち、授業・実習・試験・部活・恋愛・バイトなど大学生活を過ごしながら成長していく様子を描いています。詳細な取材の元、リアルで実際の医学部学生を。そこには非現実的なイベントは起きません。恐ろしくリアル(現実的)なのです。
最新10巻では、主人公は4年生となりOSCE対策の授業を受けます。OSCEとは「共用試験OSCE」のことで医療面接と身体各部位の診察方法をみる試験です。ここで主人公は医療面接の指導を受けます。医療面接のロールプレイをした結果、指導教官から課題点を指摘されます。そのときの台詞を抜粋します。
「今 必要なものは型だ」
「診察の手順を手際良く行う型を覚えること」
「そして正しい型を身につけること」
「型が正しければ いずれしっかりした診断もできるようになる」
「自信もつく まわりから信頼もされる」
「型を磨く これが医師になるための第一歩だ」
「医師に限らずなんでもそうだ 型が美しければ上手という証明だ」
この言葉を受けて主人公は納得し自分の医療面接の問題を確認します。
このエピソードは、非常に心に響きました。自分のことにも当てはまると。施術の型ができているのか。正しい肩を身につけているのか。改めて考えてしまいました。医療面接は医師ではない私も必須です。新規患者さんには必ず行うこと。また技術においても鍼の型、灸の型。できているのか。あん摩マッサージ指圧といった徒手手技は熱意をもってやってきたのである程度自信があります。ついでに資格を取りにいった鍼灸は学生時代に真面目に練習しなかったので型が定まっていない気がします。卒業後に臨床現場と教員養成科の授業で鍛えられましたが我流が型として定着しているような。最初の頃にきちんとした型を修得していなかったのではないかと思い返すのです。
正しい型を覚える。その型を崩して応用することが型破り。正しい型ができていないのにそれをしたら形無し(型無し)。似て非なるもの。今一度、特に鍼灸技術の、型というものを考える必要を感じています。ドクターエッグスを読んで良いきっかけになりました。
甲野 功
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