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~柔道整復師、無資格従業員施術の詐欺容疑で逮捕~

MRT宮崎放送より 宮崎市の整骨院で無資格従業員が施術も嘘の証明書を作成 交通事故の共済金をだまし取った疑い
MRT宮崎放送より 宮崎市の整骨院で無資格従業員が施術も嘘の証明書を作成 交通事故の共済金をだまし取った疑い

 

 

2月13日に、宮崎県宮崎市の整骨院で起きた容疑で福岡市在住の柔道整復師が逮捕されたという報道がありました。

 

<MRT宮崎放送

宮崎市の整骨院で無資格従業員が施術も嘘の証明書を作成 交通事故の共済金をだまし取った疑い 柔道整復師の男を逮捕

 

記事を抜粋します。

 

宮崎市の整骨院で、無資格の従業員に施術をさせたにもかかわらず、嘘の証明書を作成し、共済金をだましとったとして、柔道整復師の男が逮捕されました。

詐欺の疑いで逮捕されたのは、福岡市に住む柔道整復師の男(41)です。

警察によりますと、男は、自身が経営する宮崎市の整骨院で、交通事故でけがをした50代の女性に対して、無資格の従業員に施術させたにもかかわらず、資格を持つ容疑者自身が施術をしたという虚の内容の証明書などを作成。

女性に対して、去年9月と10月に施術した分の共済金7万円を自動車保険を取り扱う共済事業者からだましとった疑いが持たれています。

 

補足して説明します。整骨院(接骨院)は国家資格である柔道整復師でないと開設できない、法律上は施術所に分類される、施設です。非柔道整復師でもオーナーとして作ることはできますが必ず開設者として柔道整復師が所轄の保健所に届け出を提出して保健所職員の臨検を受けないといけません。これは柔道整復師法という法律に規定されていることです。

柔道整復師は脱臼、骨折、捻挫、打撲、挫傷などの急性外傷に対して(医師の許可を得ずに)応急処置をすることが認められております。脱臼、骨折に関しては応急処置後の施術をする場合は医師の同意が必要です。捻挫、打撲、挫傷に関しては医師の同意は必要ありません。そして急性外傷の処置・施術に関しては受領委任払いという患者さんの代わりに保険者に健康保険料を請求することが歴史的に認められてきました。よって患者さんは保険証を見せてレセプトと言われる書類に署名をして柔道整復師に代わりに請求をお願いすることで、窓口負担だけで済む仕組みがあります。そうでない償還払いというシステムでは全額100%分を患者が窓口で支払い、その後に患者本人が保険者に請求をして、3割負担の場合は残りの7割分の料金を還付してもらいます。

当然のことですが急性外傷以外ではこの制度は適用されません。まだ市井に病院が満足に無かったときに急なケガをして病院ではなく接骨院にかかるときに、患者の金銭的負担を減らすためのものでした。一時的とはいえ外傷治療に全額を支払い、自分で申請書を書き提出し、場合によっては数ヶ月後に保険差額分が入金される、というのは大変です。急性外傷に限ったものであり、肩凝りや慢性的な腰痛には適応されません。ところが肩凝り、腰痛を肩関節捻挫、腰部捻挫ということにして柔道整復師が保険請求をするという事例が横行していました。いわゆる“不正請求”というもの。患者は保険が利くマッサージ店のような感覚で利用しました。更に通院実態がないのに複数日通院したことにする“水増し請求”ということもありました。その窓口外の保険分は保険者である企業や協会けんぽに請求がいきます。当然違法行為になりますが、きちんと取り締まられず放置されてきた時期もありました。現在はかなり取締りが厳しくなり、保険請求をするには柔道整復師側もクリアする条件が課されおり、不正請求自体が減ってきていると言えます(まだ地域差はあるようですが。少なくとも東京都心は15年前に比べるとかなり減ったと思います)。

 

今回の事件は交通事故にあった患者さんが整骨院を事故後の施術として利用した際に、柔道整復師の資格を持たない非柔道整復師が施術をしたことが問題の発端となります。交通事故被害者は自賠責保険や共済などで保障が出ることがままあります。その際に治療費として整骨院での施術も考慮されます。そのため整骨院では施術しましたという記録を書類にし、証明書として提出し、その施術料を還付してもらい交通事故被害者からは窓口で料金をもらわないことがあります。もちろん保険会社や共済事業者と契約した上です。当然のことながら柔道整復師が施術を行わなければなりません。柔道整復師法に“業務独占”という項目があり、医師を除いて柔道整復師でなければ柔道整復の施術を行ってはいけないと規定されています。柔道整復師でない従業員が施術をしたのであれば書類上虚偽にあたるわけです。柔道整復師が施術しましたという証明にならないわけですから。虚偽の内容で共済金7万円を共済事業者から支払わせた。それが詐欺にあたるだろうと。

 

その先の記事を抜粋します。

 

警察の調べに対し、男は「有資格者の登録があれば無資格の従業員に施術させても問題ないと思った。共済金はだましとっていない」と容疑を否認しています。警察は、余罪があるとみて捜査しています。

 

逮捕された柔道整復師は、本当の柔道整復師が整骨院で登録されていて(おそらく施術状況を管理していれば)柔道整復師資格のないスタッフ(従業員)に施術させ、かつそれで施術証明書を出しても問題はない(共済金は受け取れる)と考えていたようです。だから共済金をだまし取っていないと容疑を否認しているのでしょう。その主張はさておき、記事には『警察は、余罪があるとみて捜査しています。』とあるように今回が初めてではないとみている節があります。

 

柔道整復師でもある私がこの報道を知ったときに幾つか感じたことがあります。

まず一点目はまだこのような問題が起きるのか、と。数年前までは報道がありましたが最近は聞かなくなっていました。

次に逮捕された柔道整復師の“有資格者の登録があれば無資格の従業員に施術させても問題ないと思った”という認識。これは確かに10年以上前ならそうだったと思います。私が知る限り、非柔道整復師が整骨院で柔道整復師が行う業務を平気でしていた実態があります。学生、鍼灸師、国家資格のない整体師など。そしてその施術で保険請求をかけていた。保険請求をするのが柔道整復師であれば問題ないという認識。きちんと関係法規を勉強すれば違法だと分かるのですが、全く摘発されなければ問題はないと思ってしまいます。はっきり言えばどこでもやっていたと思います。しかし今は違います。数年前に千葉県では非柔道整復師の従業員を施術させたとして院長、現場の柔道整復師、そして施術をした従業員の3名が逮捕される事件が起きています。無資格者が施術をすれば逮捕させるという事例があるわけです。本当に“有資格者の登録があれば無資格の従業員に施術させても問題ないと思った”と認識していたとしたら逮捕された柔道整復師は危機管理意識が低いと感じます。

一方、容疑を否認するために分かった上で敢えて捜査ではこのように証言している可能性もあります。

 

このような事件報道が出ると毎回疑問に思うのですが、どうして発覚したのだろうかということ。患者さんは施術をする人が柔道整復師免許を取得しているのか否かを判断できるのでしょうか。整骨院という場所で白衣を着ていたらまず区別はつかないと思います。あからさまに素人丸出しの技術や立ち振る舞いなら分かるかもしれませんが。美容院に入店したとして、髪を切ってくれる人が美容師あるいは理容師免許を持っているか判別つくでしょうか。当院のような個人で行っているところは免許原本を掲げているので分かるとは思います。柔道整復師免許は賞状大でとても大きく、自動車運転免許のように携帯できるようなものではありません。オーナー院長ならまだしも、スタッフならば免許を提示しているという事はまずないでしょう。どうして一般の患者さんは無資格者の施術だと分かるのでしょうか。当然書類は柔道整復師の名前になっているので、書類の氏名と実際に対応してくれた従業員の名前が違うから気付いたのでしょうか。普通はそのようなことに気付きませんし、気付いたとしても気にしないでしょう。代表者の名前で書類を作成したのだろうなと納得するのでは。

 

調べてみると別のニュースには

県警によると、今回の事案とは別に、損害保険会社から容疑者が経営する整骨院について、施術実績のない保険請求があるとの相談が県警にあり、その後の捜査で今回の容疑が判明したという。

という情報がありました。既に別件で交通事故被害者の施術に関して実績のない保険請求があると警察に相談がされていた。その捜査から今回の容疑が判明した。つまり警察の捜査対象であり、調べてみたら逮捕に足る証拠があり、逮捕に至ったということのようです。だから警察は余罪があるとみていたのです。こうなると無資格従業員に施術をさせて虚偽の書類を使い共済金を得た事よりも、本命はもっと大きな容疑にあるのかもしれないと推測してしまいます。

 

話は大きくそれますが、現在吉本興業所属の芸人達が違法オンラインカジノを利用していたとして警察に事情聴取されているという報道があります。利用を認めた芸人には、違法だと思わなかった、グレーだと思った(※ブラックではない、怪しいけれど違法行為ではないという判断)と証言している者もいます。それに対して同じ吉本興業の芸人には、会社(吉本興業)が散々コンプライアンス研修をしてオンラインカジノの危険性は周知してきたはずなのに、という声を上げているというニュースもあります。このオンラインカジノ報道と今回の逮捕例は本質が同じだと思います。本当はダメなことだと理解はしているが、誰も摘発されていないからやっても大丈夫だと認識して続けていて、ある日突然発覚する。そして報道され大きな社会的ダメージを受ける。

 

これまでに柔道整復師の逮捕例はありました。そこから学ぶ危機管理が必須だと思います。罰金刑以上の刑罰がくだると柔道整復師免許失効の可能性があります。そして違法行為だと判明していることは、今は表面上の問題が無くてもやらない。大丈夫、大丈夫、みんなやっているから。では済まされず、ある日突然本業が行えなくなるかもしれない。それを肝に銘じる。この報道をみて思いました。

 

甲野 功

 

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