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~美容分野において医師法違反の摘発が進む~

ニュースサイトより
ニュースサイトより 医師法違反の報道

 

 

最近気になった報道が2つあります。

まずはこちら。

 

<ヨミドクター

医師免許持たずに美容注射、看護師に指示した経営者親子を容疑で逮捕…「オンライン診療」と虚偽説明

2025年2月13日

 

美容関連の事業所経営者(48歳)とその娘(23歳)を、医師免許を持たないのに看護師に指示して点滴注射をさせたとして、兵庫県警は2月13日に医師法違反(無資格医業)容疑で逮捕したというのです。この親子は2023年10月から翌2024年5月頃にかけて、看護師に指示して美容目的で医療行為にあたる点滴注射を利用者6人にさせた疑いです。点滴注射をしたのは看護師でありこの容疑者らではありません。直接点滴注射はしていないのです。しかし看護師といえど法的には、点滴注射を行えるのは医師から指示を受けた場合に限られます。医師の指示の下、という条件なのです。技術も知識も有していても、看護師が独断で点滴注射をすることは認めらえていません。医師免許を持たない容疑者が看護師に点滴注射をさせたこと。そこが今回の容疑のポイントです。

昨年のうちから問題は表面化しており、記事よれば2024年9月に管轄の保健所は医療法に基づく改善措置命令を同事業所の関連法人に出しています。是正勧告を出しているのです。事業所側は、医師によるオンライン診療を経て点滴注射を行っていたと説明したというのですが、実際は利用者6人への医師の診察は行われていませんでした。虚偽の説明をしていたのです。新型コロナウィルスから直接対面で医師が診療を行わないオンライン診療が広まりました。その法的な隙間を狙ったというのです。

 

医師法違反疑いで逮捕というニュースですが、それが美容目的のため、ということに注目しています。実際に健康被害は起きていなかったと報道にあります。被害者が出たわけではなく、事故を未然に防いだという結果になるでしょうか。

 

そしてもう一つがこちら。

<MBC南日本放送

「悪い血を出さないといけない」医師法違反の罪でエステサロン経営の会社役員に罰金50万円の略式命令

2025年2月18日(火) 13:49

 

こちらはエステサロン経営者が医師法違反の罪で逮捕され、さらに進んで、罰金50万円の略式命令が出たというものです。具体的には医師免許を持っていないのに医療行為をしたというもの。具体的には医師免許を持っていないにも関わらず、経営するエステサロンにて、男女3人に対し医療用のピンセットを使って皮膚などを削りました。ピンセットで皮膚を削っただけと思うかもしれませんが、この3人は流血する怪我を負います。これはれっきとした医療行為になります。更にはこの経営者は「悪いところを治すには悪い血を出さないといけない」と話したと言います。報道によれば被害者は「病院で治らない難病も治せる」などの噂を聞いてサロンを訪れていました。

エステサロンという美容目的の施設での医師法違反になります。ただこちらの方は治療する意図があるようでより悪質かもしれません。悪いところを治すには悪い血を出さないといけない、という理論は鍼灸師が扱う淤血を体外に出そうという刺絡に通じるものがあり他人事とは思えません。また美容院で治らない難病も治せる、と謳うのも鍼灸師で同じようなことをする人もいます。エステサロンの範疇なのかという疑問が浮かびます。

 

ちょっと経路が違うところがありますが、共通しているのは美容関連での医師法違反ということ。医師免許を持たない非医師による医療行為(医行為)が違法行為に該当します。それは医師法に抵触します。当たり前ですが医師免許を持たずに医行為を行うことは違法行為です。法律(医師法)で明記されていますし、罰則も規定されています。平たく言えばニセ医者と同じです。社会的な罪は重たいわけです。これが素人が投薬したりあまつさえ手術をしたりしだしたら大変な問題になります。非医師の医療行為は罪が重いです。誰だって素人に手術などされたくないでしょう。苦しくて医師にかかったと思ったら医師免許を持っていませんでした、となったらたまったものではありません。

ところが美容、エステの分野では医療行為に該当することでも医師以外の者が行っていることがままあります。それを最近しっかりと取り締まるようになってきたと私は感じるのですそれも医師法違反として。法的な解釈として、医行為とは専門的な知識と技術がなければ健康被害を起すおそれのあるもの、とされる場合があります。健康被害が起きている時点で医行為(医療行為)と断定できるでしょう。危険な行為を特別に許すのが免許であり、それが医師免許であるわけです。エステには健康被害が生じるおそれのある高出力機器を用いることがあります。医師免許を持たない者がそれをつかって利用者に施術することは医師法違反になります。そのことをここ数年きちんと検挙しているように感じるわけです。

 

私は仕事柄この手の報道は日々チェックしています。特にあじさい鍼灸マッサージ治療院を開業してからは当事者意識が高くなり。肌感覚ですが開業した10年前はここまで美容エステ分野の医師法違反は聞かなかった記憶です。思い返すといくつか契機となる出来事がありました。

 

まずは2020年のタトゥーが医師法違反ではないという最高裁判決。これは医師免許を持たない者がタトゥーをすることは、感染症リスクがあり医行為に該当するため、医師法違反だということで逮捕した事件です。裁判の結果、タトゥーは文化的側面があり医師免許を持たない者が行っても医師法違反とは言えないという判決が下ります。これは一部に衝撃を与えました。文化活動だと言えば健康被害がおきるおそれがあることを(非医師が)やっても罪に問われないのか、と。

この後2023年に厚生労働省医政局は、アートメイクは医行為に該当するという見解を示します。アートメイク。具体的には眉毛や唇に美容目的でタトゥーを入れるもの。やっていることはタトゥーと同じですが美容は美容整形外科の分野であり、医師免許を持たない者がアートメイクをするのは医師法違反になるというのです。ここで文化的側面は医行為にしないが美容は別だという線引きをしたように感じます。

そして2020年に総務省が実施した医業類似行為等による健康被害の調査です。これはコロナ前から始まったくらいの頃に大規模調査を行い、エステティックでの医師法違反が問題であるという調査結果を出しました。それを踏まえて総務省は消費者庁と厚生労働省に勧告を出しているのです。更に勧告を受けた消費者庁は警察庁に協力依頼を出しました。

この流れがあって、現在の美容エステ分野における医師法違反による摘発が増えたのではないかと思うのです。他にも昨年2024年に厚生労働省医政局はHIFU施術も医師でないと行ってはいけないと通達を出しました。HIFUとはエステでよく用いられる器具なのですが、医師免許を持たないエステティシャンがお客に使用したら医師法違反疑いになるとしています。過去には脱毛レーザーで出力を抑えるカバーをつけ忘れて施術をして火傷を負われせたエステティシャンも医師法違反疑いで書類送検された事件がありました。

 

今後も美容エステ分野での取り締まりは続くと思われます。違法行為に該当するのですから当たり前です。一方、同じく総務省から勧告を受けた、いわゆる医業類似行為における健康被害についてはどうでしょう。鍼灸やあん摩マッサージ指圧も該当します。美容と同様により厳しく取り締まることになるのでしょうか。個人的にはその準備が着々と進められているように思います。

 

甲野 功

 

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