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ついに『あん摩業、マッサージ業、指圧業、はり業、きゅう業若しくは柔道整復業又はこれらの施術所に関して広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針~あはき・柔整広告ガイドライン~』(以降、「あはき・柔整広告ガイドライン」と表記)が完成しました。そのことが厚生労働省ホームページで発表されました。
厚生労働省ホームぺージ あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師に係る広告等
平成30年(2018年)から広告検討会を重ねて、昨年令和6年(2024年)7月に唐突と感じる最終回第11回が完了。途中、新型コロナウィルスのパンデミック、柔道整復師国家試験問題漏洩事件などを挟み6年間。当初は2019年に完成させる予定だったものが押しに押して。昨年7月の最終検討会の後にパブリック・コメントを募集します。昨年の夏以降動きが無いなと思っていましたが、パブリック・コメントには81件の意見が寄せられ、72件の意見が参考になりました(※9件は質問に無関係だったとのこと)。
あん摩業、マッサージ業、指圧業、はり業、きゅう業若しくは柔道整復業又はこれらの施術所に関して広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針案に関する意見募集の結果について
72件の意見に回答を出すのも時間がかかったのでしょう。平成30年(2018年)から始まったあはき・柔整広告ガイドラインは令和7年(2025年)についに形となりました。早い段階から情報をチェックしてきた私にとっては感慨深いものがあります。広告検討会にも2度会場に足を運びました。施術所名称で二転三転した経緯もみてきました。整骨院という屋号が使える、使えない。○○鍼灸治療院や○○マッサージ治療院は可で単なる○○治療院は不可。前回検討会で公表されたガイドライン案の内容に非常に驚かされました。今回の完成版も大枠は変わっていないので、本当にこれでやっていうのだな、という気持ちです。
本日情報が出回り、SNSでは大きな話題になっています。これまでの経緯を知らなかった人は本当に?!という驚きととまどいがあるようです。いつの間に、勝手に、こんなことが決まっている、という声も挙がっているようですが何年もかけて決めてきたこと。その経緯も検討会議事録として残っています。パブリック・コメント募集という意見を聞く場面も設けられました。
どのようなものになっているのか。ガイドライン自体はかなり長文になっています。厚生労働省は概要をまとめた資料も作成しているのでそちらから参照すると分かりやすいでしょう。
このガイドラインのポイントを8つ挙げています。
①原則として限定的に認められた事項以外の広告が禁止されてきたあはき師法及び柔整師法の規定する範囲内において、これまでの基本的な考え方は引き続き堅持しつつも、利用者が適切に施術所等を選択するために必要かつ正確な情報の提供を確保する観点から、その運用の留意事項を定めたこと。
②医療と紛らわしい表記が認められないことは重要な点であり、本指針はこれを十分考慮した上で広告可能な事項の例等を記載することとしたこと。
③「医療広告ガイドライン」を参考にしつつ、指導等の実効性を担保するとともに、診療を必要とする状態の者の適切な診療を受ける機会や施術所等の利用を希望する者の適切な施術を受ける機会の喪失が起こり得るような広告を規制の対象とするという考え方に基づき作成したものであること。
④あはき・柔整に関する広告は、あはき師法、柔整師法に加え、広告関連法令(医療法、医薬品医療機器等法、景品表示法、不正競争防止法、健康増進法)等による規制の対象に含まれるものであること。
⑤利用者が施術所等を選択する上でその名称は重要な情報であることから、国家資格保有者によるあはき・柔整の業態であること等、利用者が正しく認知できる名称が必要であることを示したこと。
⑥違法性が疑われる広告等に対して、都道府県等が指導等の措置を適切に実施できるよう、どのようなものが広告違反として問題となるかを明らかにするため、広告に係る基本的な考え方を示すとともに、具体的な表示例や指導上の留意事項等を取りまとめたこと。
⑦原則としてインターネット上のウェブサイト等は、あはき師法及び柔整師法の広告規制の対象とはならないものの、インターネット等を通じた情報の発信・入手が極めて一般的な手法となっている現状に鑑み、ウェブサイト等の内容の適切な在り方についても本指針に定めることにより、関係団体等による自主的な取組を促すこととしたこと。
⑧無資格者による行為により発生した事故の情報が寄せられていること等を踏まえ、無資格者による広告の適切な在り方についても本指針に定めたこと。
専門用語が多いので慣れていないとよく分からないかもしれません。「あはき」とはあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の頭文字で3つの国家資格とその業務を示します。「柔整」とは柔道整復師の略です。
これまでに何度かこのあはき柔整広告ガイドラインのポイントを紹介してきました。
これまで曖昧だった部分をはっきりさせて、具体的にこれはOK、これはNGとしています。重要なことの一つにウェブサイトは原則広告に入らないということ。原則なので広告とみなして規制対象になるものもありますが、基本的には広告規制の対象にならないという。一方、SNSのことにもかなり具体的に例を挙げています。インフルエンサー、広告記事、有名人を出すといった現代的な事情を考慮しています。あはき法、柔整法という法律ができたのが昭和時代。その当時の状況で課せられた法律の広告規制内容はもはや現実的ではなくなっています。しかし法律である以上、法改正をしない限り無視することもできません。その折り合いをつける意味でもガイドラインが求められます。さらにあはき法、柔整法だけでなく、医療法、医薬品医療機器等法、景品表示法、不正競争防止法、健康増進法など広告関連法令等にも考慮したものとなっています。それにより具体的な禁止広告例が挙げられており、かなり具体的になっています。
また規制する側のことにも言及していて行政指導の手順をマニュアル化しています。この場合はここに連絡しましょう、改善が見られない場合等には、刑事訴訟法第239条第2項の規定により告発を行うことを検討する旨まで記載されています。この部分からも効力を発揮するものだと感じます。
何より画期的だと思うのは、無資格者の行為に関する広告についてきちんと言及していることです。医療系国家資格を持たない者はその活動を規制する法律がなく、野放しでした。それを厚生労働省が管轄外だとせずに明確に向き合う姿勢を示しています。さらに無資格の定義を、従来の医療系国家資格を持たない者に加え、例え国家資格を取得してもその業務範囲外のことを行っている者も無資格者として扱うとしていること。一緒くたに無資格者としてみなすことは画期的だと私は思います。
このような新しいあはき柔整広告ガイドラインですが、重要なことがもう一つあります。それは関係各所の厚生労働省医政局がこのガイドランを出した通達をしていることです。
あん摩業、マッサージ業、指圧業、はり業、きゅう業若しくは柔道整復業又はこれらの施術所に関して広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針(あはき・柔整広告ガイドライン)について
各都道府県知事、保健所設置市長、特別区長という管轄する所轄の長に対して。通達には
『
あはき・柔整に関する広告だけでなく、無資格者による広告も含めた広告の在り方について検討を行ったところであり、これを併せて本指針に定めています。
貴職におかれましては、別紙の内容について十分に御了知いただくとともに、管下の施術所及び関係団体等に対する周知をお願いします。あわせて、不適切な広告の実施者に対し、その是正に向け必要な行政指導等を実施していただきますようお願いします。また、広告に関する苦情相談窓口を明確化し地域住民に周知するとともに、当該地域を所管する消費生活センター等の消費生活相談窓口に寄せられる場合があるため、苦情・相談の状況について、定期的に情報交換する等、消費者行政担当部局等との連携に努めるようお願いします。さらに、医療法(昭和23年法律第205号)、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)、不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)、不正競争防止法(平成5年法律第47号)、健康増進法(平成14年法律第103号)等の他の法令に抵触する広告であることが疑われる場合において、各担当課室がそれぞれ連携して広告実施者への指導等を行うなどの対応を適切に行っていただくようお願いします。
なお、本指針は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的助言であることを申し添えます。
』
とあります。各種法律を挙げつつ、あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師、柔道整復師だけに限らず無資格者の広告についても該当し、各担当が適切な対応を行うように依頼しています。実は広告を出す側だけでなく、指導する関係各所に向けて作成したのがこのあはき柔整広告ガイドラインであるわけです。これまでは情報としてあったものが、実際に効力を持つことになります。それは広告内容を取り締まる関係各所が行動にうつすからです。
美容分野においては医師法違反での摘発が進んでいると感じています。私の業界は広告規制の面から摘発が進む可能性を感じています。
甲野 功
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