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~屋号は強い広告媒体である~

あはき・柔整広告ガイドライン概要 広告可能な事項の具体的な内容(1/4) より
あはき・柔整広告ガイドライン概要 広告可能な事項の具体的な内容(1/4) より

 

 

先日ついに完成した「あはき・柔整広告ガイドライン」。一部のネット上で大きな話題となりました。

あはきとは

あん摩マッサージ指圧師

はり師

きゅう師

の頭文字をとっています。

柔整”とは

柔道整復師

の略称です。あはき・柔整とは

・あん摩マッサージ指圧師

・はり師

・きゅう師

・柔道整復師

の4つの国家資格名あるいはその資格を持つ者やそれらの業務内容を示します。

よく鍼灸師という表現をしてしまうのですが、法律上ははり師、きゅう師と別の資格です。ただほとんどの人が2つの資格を同時に取得するので片方だけ持っているというケースは非常に稀なのです。また三療師といってあはきの3資格を持つ人もいます。この4つの資格(あはき柔整)は厚生労働省が管轄する医療系国家資格で法的に開業権が認められております。法的には施術所といって個人で独立して店舗を持つことができます。あはきに関しては出張専門として店舗を持たずに開業することができます(※法的な表現では開設するといいます)。医療系国家資格では医師、歯科医師を除くと開業権を正式に認めている資格は珍しく特例といってよいでしょう。施術所を開設するには診療所や病院と同様に保健所に届出を出して保健所職員の審査を受けないといけません。診療所・病院は許可制で施術所は届出制という違いがありますが、どちらも保健所及び地方自治体や厚生労働省の指導下にあります。

 

現在の法律では通称“あはき法”(正式名称:あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律)であはきが一括りになっており、別に柔道整復師法があります。昭和45年以前はあはきと柔整は一つの法律でまとめられています。そのような歴史的背景もあり、開業権のある4資格に対する広告ガイドライン、すなわち通称「あはき・柔整広告ガイドライン」が6年の年月をかけて完成したのです。完成はしましたが今後も改訂する可能性はあります。本文は非常に長いのですが、厚生労働省医政局医事課が概要をスライドにまとめております

 

厚生労働省 あはき・柔整広告ガイドライン概要

 

私は何年も前からこの広告ガイドラインに注目しており本件を作成するための広告検討会の進捗状況をつぶさに観察してきました。私はあはき柔整全ての資格を持っていて、施術所(具体的にはあじさい鍼灸マッサージ治療院)を開設(開業)しているのでダイレクトに影響を受けます。内容自体は昨年の夏の時点でほぼ完成していたので、発表になって大騒ぎするようなことはありません。昨年の時点でこれが正式に発表されたら大変なことになるとは思っていましたが。このガイドラインが施行された後は開業時の(それまでの)常識が覆るなと感じていました。具体的に一つ挙げると施術所名称に関することです

 

私が11年前に開業するときも施術所名称、すなわち院の屋号については保健所から指導がありました。当初はシンプルに「あじさい治療院」で始める予定だったのですが、担当した新宿区保健所職員からその名称では受理できず、鍼灸マッサージなどの文言を入れるように言われます。そのため現在の「あじさい鍼灸マッサージ治療院」となりました。そして今度のあはき・柔整広告ガイドラインにおいても施術所名称(=屋号)については細かい制約があります。ガイドライン概要からその部分を抜粋します。

 

施術所の名称 (※)あはき法・柔整師法規定事項

 

利用者が安心・安全にあん摩マッサージ指圧、はり、きゅう及び柔道整復の施術を受けるためには、利用者が正しい情報に基づいて施術所等を選択できることが重要である。利用者が施術所等を選択する上で、その名称は重要な情報であることから、

・国家資格保有者による、あはき・柔整の業態であること

・法令に基づき都道府県に届けられ適法であること

・医療機関と紛らわしい名称を用いていないこと

について利用者が認知できる名称である必要があること。

まず『利用者が安心・安全にあん摩マッサージ指圧、はり、きゅう及び柔道整復の施術を受けるためには、利用者が正しい情報に基づいて施術所等を選択できることが重要である。』と述べております。至極当たり前なのですが、敢えてこう書くのはあはき柔整ではない者が開業した施設が多数ある現状を考慮しているのでしょう。利用者のために屋号は重要な情報であることを示した上で、具体的に

国家資格保有者による、あはき・柔整の業態であること

法令に基づき都道府県に届けられ適法であること

医療機関と紛らわしい名称を用いていないこと

(※便宜上数字を振っています)

の3つを条件にしています。

①は既に書いたようにあはき柔整者以外の施設も多数あること。また国家資格を持っているがあはき柔整でない者の施設もあることも考慮していると思われます。

②は都道府県、すなわち現実的には所轄の保健所に届けられている適法の施術所(=保健所の認可が下りている)であるという条件。中にはあはき柔整の資格を持っているのに保健所に届出を出さないで開業しているケースもあるのです。

③は医療法に準ずるもので病院・クリニック・診療所・助産院らと思われるような名称は使用できないのです。

 

施術所名称(屋号)については議論が紛糾しました。まずあはきでは治療院という屋号を使用するところが従来多かったのですが、“治療”という用語は医師の行為にしか使えないから治療院は病院と勘違いさせるから不可とする意見です。常識的に治療院と聞いて医師がいる病院と勘違いする人がいるのかという疑問があります。この意見に対してはマッサージ治療院、鍼灸治療院など資格内容を前に付けて業態をはっきりさせるという条件で可になります。当院があじさい鍼灸マッサージ院ではなくあじさい鍼灸マッサージ“治療”院で継続できることになりほっとしました。柔整に関しては整骨院を正式に不可にするか。法的には接骨院であり、厳密には整骨院は法律で許可されたものではありません。柔道整復師国家試験でもこの内容は出題されたことがあります。ところが以前から整骨院と付ける施術所が非常に多く、今さら禁止にするのは無理があります。一度はガイドラインで不可にする決定がされたのですが異議申立てがあり、今回のガイドラインではその件については記載しないという決定となりました。

 

それを踏まえて可能な屋号と認められない屋号の具体例が紹介されています。

【広告可能な名称の例】※一部抜粋

 

業態を特定せずに「施術所(院)」と表記すること(例)○○施術所(院)

※「国家資格保有」を併せて表示するなど、利用者にとってわかりやすい名称とすることが望ましい。

提供する施術業態に「治療院(所)」を付けること (例)○○鍼灸治療院、○○鍼灸療院、○○鍼灸治療所等

施術所が併設されている場合等に併記すること (例)○○接骨院・鍼灸院、○○接骨院・○○鍼灸院等

これまでと違う点として国家資格保有などあはき柔整を持つ者であることをアピールする意図がくまれています。かつては国家資格(あはき柔整)を持っていることを前面に出すことは控える方針だったのです。治療院(治療所)が業態を付ければ可能になったのは既に述べた通り。そして鍼灸院と接骨院を併設している場合は“・”で区切ることが求められます。私のように鍼灸(あん摩マッサージ指圧も)と柔整を両方持っている場合、例えば「あじさい鍼灸整骨院」のような屋号にするパターンが多かったのです。それは不可であり、やるならば「あじさい鍼灸院・接骨院」というようなことにしないといけないというわけです。この点に関してはより細かいのでまた別の機会に書きます。

 

そして使用してはいけない例です。

【広告不可能な名称の例】 ※一部抜粋

 

病院又は診療所と誤解する恐れがあるものを含んでいる名称 (例)○○治療所、メディカル、クリニック、リハビリ等

対象者を限定するもの (例)女性専門療院、交通事故専門、アスリート等

・施術内容、技能、方法を含んでいる名称 (例)不妊鍼灸、背骨専門、無痛治療、電気療法等

効能を含んでいる名称、優良な施術所と思わせる名称 (例)姿勢改善、小顔矯正、背骨矯正、巧み等

※英語にしたり、一般的に同じ意味と認識される別の用語・呼称を用いる等表現方法を変えても表示は不可

医療法の関係で病院又は診療所と誤解される(業態が抜けた)治療所やメディカル、クリニック、リハビリといった用語は使用できません。つまりメディカル、クリニックは当然そうなのですが、例えば「牛込柳町リハビリ鍼灸院」のような屋号も不可となります。“リハビリ”は理学療法士の名称独占に抵触する可能性もあります。次に要注意なのが“施術内容”、“技能”、“方法”を含んでいる屋号です。現在でも経絡治療鍼灸院、浪越指圧マッサージ院といった業界内の流派を屋号に付けているところがあります。そういったものは今後開業時に認められなくなるでしょう。概要にはありませんが本文では他にも

あはき、柔整以外の業態と紛らわしい名称

対象者を限定するもの

その他、施術所と分かりにくい名称

といった内容を具体例を出して屋号には使えないとしています。このガイドラインの中でも特に厳しくなるという印象を受けます。おそらく今後開業する際に屋号を考え直す人が出てくるのではないでしょうか。

 

屋号に対して細かく使用不可の条件を本ガイドラインで課しています。すなわち施術所の屋号は強力な広告媒体であることだと言えるのでしょう。まず広告とは何かという定義において、本ガイドラインでは“あはき柔整の広告”の定義として次の①から③までの要件のいずれも満たす場合に該当するものとしています。

利用者を施術所等に誘引する意図があること【誘引性】

施術者の氏名又は施術所等の名称が特定可能であること【特定性】

一般人が認知できる状態にあること【認知性】

屋号は特に②の特定性に直接関わること。広告3要素の一翼です。開業する者にとって屋号は我が子の名前のようなもの。こだわりがあります。一方、広告としての機能がとても強いのでガイドラインで規制する対象であるとも言えます。

 

これから施術所を開業する(開設する)あはき柔整の人は屋号を決めるのにより注意が必要です。屋号は強い広告媒体なのです。

 

甲野 功

 

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