開院時間
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摂社、末社という言葉をご存知でしょうか。これはメインの神社の中にある境内社であることが多いのですが、本殿以外にある小さな社がそれにあたります。戦前の旧官国弊社という位の高い神社においては、摂社と末社を区分する基準が設けられていました。摂社は本殿御祭神の荒魂や后神・御子神、関係のある神や地主神などを祭った、特別な由緒がある社。この基準に当てはまらないのを末社としています。戦前の基準を採用する場合もありますし、特に本社との由緒の深い神社には摂社の呼称が用いられることがあります。例えば伊勢神宮は内宮、外宮がメイン(正宮)ですがその二社を含めた125の摂社、末社まで全てを含めて伊勢神宮なのです。そして本社と同一の境内地にある境内社と、境内地外にある境外社もあります。伊勢神宮の場合、内宮と外宮同士がかなり離れている上、多くの境外社が広く点在しています。
由緒正しい規模の大きな神社にいくと摂社や末社も興味深く観察します。
東京十社という都内で格式のある神社の一つ、富岡八幡宮。参拝にいったときに、その境内にある特徴的な神社を知りました。それが七渡神社です。
この七渡神社、私はてっきり富岡八幡宮の摂社だと思っていたのですが、調べてみると富岡八幡宮創建前から祭られていようです。富岡八幡宮の境内社でありますが摂社というわけではないようです。その佇まいが立派で独りしていると感じたものでした。今回はこの七渡神社を紹介します。
富岡八幡宮の参道を進み右手にあります。御祭神は市杵島姫命(イチキシマヒメノミコト)。別名七渡弁天社。市杵島姫命とは須佐之男命(スサノオノミコト)の剣を天照大神(アマテラスオオミカミ)が噛んで吹きだして生まれた宗像三女神の一人。細かい説明を省きますが誓約という儀式で互いの主張を確認するときに生まれた三人の女神の一人が市杵島姫命。古事記の神話では一見意味の分からないことで神様が生まれるのです。そして生まれた宗像三女神が御祭神の市寸島比売命と多紀理毘売命(タギリビメノミコト)、多岐都比売命 (タギツヒメノミコト)です。絶世の美女神でといわれ美と芸術、商売繁盛、芸能、財運などにご利益がある神様です。弁天はもともとインドの神様が仏教に取り入れられ弁才天となりました。増長天とか帝釈天といった○○天というのは海外の神様が仏教に帰依したもの。更に福禄と長寿を授ける宇賀神と習合し、弁才天は福神の性格を持つこととなり弁財天となります。海外の神を日本の仏教にして、更に神道と同一視して神様として祭る。神仏習合という神道と仏教を一緒にする日本ならでは考えがあります。非常に柔軟で、宗教対立とは無縁な思想だと私は思います。弁財天というと弁天池。池を伴うことが多いのです。境内には池があり橋が渡されています。この弁天池が昭和20年の東京大空襲や大正12年の関東大震災から人々を守ったといいます。
特に象徴的なものが上部を失った鳥居。東京大空襲では富岡八幡宮は本殿を含めて大部分が焼失してしまいます。ところが七渡神社はほとんどが無事でした。しかし焼夷弾の直撃により鳥居の上部が崩れ落ちました。その状態のままで鳥居が残されているのです。2本の石の柱が残されているのです。下町は東京大空襲の被害を受けていますがはっきりとその痕跡を残しているところは珍しいです。保存されて展示された資料はありますが。昭和100年、戦後80年の節目となる今年。知っておく史跡といえるでしょう。
粟島神社が合祀されています。粟島神社の御祭神は少名彦命。裁縫上達の神様として信仰を集めていて、一寸法師のモデルになった神様として知られています。針塚があるのも関係するのかもしれません。
境内社として永昌五社稲荷神社もあります。稲荷神社の特徴である鳥居のトンネル、千本鳥居があります。
先に紹介した上部を失った鳥居の先には合末社があります。車析社・客神社、野見宿禰神社、住吉社、聖徳太子社、天満天神社、祖霊社・花本社の6社です。野見宿禰、聖徳太子という伝説的な歴史上の人物があるのが面白いと思います。
富岡八幡宮が非常に立派で目立ちますが、右側にある七渡神社も味わい深いです。富岡八幡宮を訪れたらこちらも参拝してみてください。
甲野 功
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