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~鍼の話 良導絡測定~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 良導絡測定
良導絡測定

 

 

本日は良導絡測定について触れます。これが鍼(はり)の内容なのかというと厳密には異なると思いますが、良導絡は鍼に分類されると思いますので“鍼の話”のカテゴリーに入れたいと思います。

 

まずは良導絡とは。良導絡は医師であり医学博士の故中谷義雄先生により、京都大学医学部第二生理学教室笹川久吾教授のもとで確立された治療法です。中谷先生は良導絡測定器(ノイロメーター)を考案し、昭和25年(1950年)にこれを用いて腎炎の患者の皮膚の電気抵抗を測定し、東洋医学でいうところの経絡(腎経)に似た形の電気の通りやすいスジを発見するのです。経絡というのは気が流れる通路のようなもので手足から体幹にかけて合計12本存在しています。それは肝・心・脾・肺・腎・心包・胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦の12種類で、前半を臓、後半を腑に分類されています。「五臓六腑に染み渡る」という言葉の五臓六腑はこのことです(※心包は数えない言い回し)。中谷先生は東洋医学でいう経絡に似た電気の通り易いスジ(経路のような意味)が見つかり、それを“良導絡”と名付けます。良導絡という言葉は技術体系も意味しますが、電気抵抗を測定して電気の通りやすい(伝導しやすい)というところです。

 

良導絡測定器(ノイロメーター)で皮膚の通電抵抗を測定すると良導絡上には多くの良導点(周辺より電気の通りやすい点)が存在し、それらの電流値を合計して良導点の数で割ると平均電流が出て、これがその良導絡の興奮性を示します。平均電流に一番近い反応良導点を代表測定点と名付けます。代表測定点の電流値により各良導絡の興奮性を表します。中谷先生は多数の測定データから基準となるものを割り出し、“良導絡測定”という測定方法を確立するのです。そして良導絡測定によって得られた数値を専用の様式でプロットしていくと“良導絡カルテ”となります。

 

良導絡測定は行っていることは現代科学的なのですが東洋医学の経絡を踏襲しています。経絡は手足に各6つ、合計12本あるとしています。良導絡においてもH1H6F1F6と定義しています。HはHand、すなわち手。FはFoot、足を意味しているのですが、経絡でも手の○○経、足の△△経という名称となっており、十二経絡とH1~H6、F1~F6の良導絡は互いに対応しております。そして良導絡測定の代表測定点は手首、足首周辺にありますが、これは経絡の原穴とほぼ一致します。原穴とは各経絡上にある重要な経穴です。そのため、東洋医学を修得している鍼灸師にとっては馴染みがあり、反対に東洋医学を知らないとどうして手首や足首周りで計測するのか理解に苦しむことでしょう。

中谷先生の導き出した理論では、交感神経の興奮性が電流量と正比例するとしています。交感神経とは自律神経のことで、自律神経には交感神経と副交感神経の2つがあります。それぞれシーソーのような関係にあり、片方が高まるともう一方は弱まります。交感神経が優位のときは戦闘態勢にあり、副交感神経が優位の時は安静状態にあります。不眠症の原因として考えられることに、副交感神経が優位にならず交感神経優位であるため覚醒状態が強いままで入眠できないことが挙げられます。良導絡では交感神経より興奮すれば電流量も増えると考えます。各良導絡の電流量(=興奮性)を測定して、良導絡専用カルテに値を記入(プロット)します。そこから平均值、生理的範囲を求めます。そうすることで、各良導絡のデータが標準より高い(興奮)、または低い(抑制)かによってその良導絡の関係する病態の変化を推定することがでます。

 

何が言いたいかというと、入り口は東洋医学の理論を用いていますが、測定方法は科学的(物理的)であります。そして測定データを客観的にすることができます。鍼灸師が古くから用いる脈診や腹診といった測定手法は術者の感覚によるものが強く客観性に乏しいのです。数値化が難しい。ところが良導絡測定は誰が見てもはっきりとビジュアル化、数値化できるのです。このことは非常に画期的で現代科学と伝統的な鍼灸との懸け橋になるものと私は考えています。

良導絡学会は良導絡測定を“簡易人間ドック”と称しています。良導絡測定で測定しているのは自律神経の状態です。自律神経の働きを数字によって調べる方法であると。そして各臓器(※五臓六腑らの12項目)の機能異常は手と足にある代表的測定点を測定する。その電流量によって各臓器の働きが異常に高まっているか、また疲れているかを判定する。この考えは伝統的な東洋医学を踏襲しています。また電流量の平均値は、現在の体質的な元気や、体力の程度に応じた値としてみることができる。よって電流量の多寡で、その臓器に原因している症状が分かる。良導絡測定により体質、体力、弱っている系統(血統、家系的体質)を知ることができて、隠れている症状をも知ることができる。このように説明しています。

 

具体的に良導絡測定はどのようにするのでしょうか。

ノイロメーターを用意します。その形状は電気を測定するテスターに近いです。患者は片手で握り導子を持ちます。これはアースの役割を果たします。術者は患者の手に12カ所、足に12カ所ある代表測定点に測定導子(測定部)を当てて表示される電流量を測定します。その数値を良導絡カルテに記入していきます。計測が終わったら生理的範囲を設定し、異常良導絡を求めます。このように完成したカルテの状態から数値の意味を考察し、不問診(不健康な良導絡とその状態を考察)と治療方針(興抑調整点の決定)を出します。細かい説明は専門的になるので省略します。手書きでプロットした私の測定データを載せておきます。これは私が鍼灸マッサージ教員養成科時代に授業で計測されたときのものです。

パソコンにソフトを入れれば自動プロット、データ解析してくれます。パソコンと連動したノイロメーターの画像を載せています。こちらは私が数年前に教員養成科の卒業研究の被験者として測定してもらったときの画面です。臨床で良導絡をする先生はパソコンと連動して使っている場合が多いです。

 

良導絡は鍼灸の技術にカテゴライズされますが、良導絡測定は自律神経測定の方法に分類されます。鍼灸などの外的刺激を受けた体がどのような変化を示すのかを測定するために良導絡測定を行うという研究を、私の母校の鍼灸マッサージ教員養成科では、何件もしてきました。私の教員養成科同級生もネパール棒灸の効果を測定するために良導絡測定を採用しました。翌年はその実験について、条件を変えて行う追実験が行われました。その時も当然ですが良導絡測定が用いられました。

 

良導絡は直流電流の鍼通電刺激です。その前段階に良導絡測定を行い、刺す経穴(ツボ)を選定します。しかし良導絡測定そのものが大きな可能性を秘めていると私は感じています。マニュアル化された測定方法、客観的なデータ、決まったフォーマット。当院では用いてしませんが医師と鍼灸師を繋ぐ貴重なツールであると考えています。

 

甲野 功

 

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